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米カリフォルニア大学サンディエゴ校グローバル政策・戦略大学院教授
アップルとユニクロに共通する稼ぎ方
初期のJNC(Japanese New Company。日本の伝統的な大企業を指すJTCとの対比で、筆者が名付けた「シン・日本企業」)はテレビや洗濯機などの一般的な製品、シンプルな窓ガラス、基礎化学品、鉄鋼といったコモディティ化された部品ではたいして利益が望めないことをいち早く受け入れた。JNCはその代わりに、高度なカメラ技術を用いるビジョンセンサーや医療機器、特殊化学品など、バリューチェーンの中でより複雑で利益率の高い分野に進出し始めた。
たとえば、携帯電話やノートパソコンについて考えてみよう。最も利益率が高いのは川上の設計、画面を改善する偏光板や輝度フィルムといった高品質素材、もしくは機械を動かす半導体などだ。川下の小売も利益率が高い。一方、今日のノートパソコンの組み立ては高度に機械化された大量生産プロセスであり、利益率が最も低い。
実際に、アップルと、ユニクロを展開するファーストリテイリングのビジネスモデルはまさに図表1のようになっている。両社はともにデザイン段階で非常に強く、使用する素材(優れた画面品質を実現する高価なフィルムや、ヒートテックやエアリズムなどの先端素材)に細心の注意を払ってきた。

写真=iStock.com/carterdayne
※写真はイメージです
中間段階は低賃金の国にアウトソーシング(外部委託)している。小売段階は値崩れしないようにコントロールできる直営店で製品を販売している。こうした直営店は、アップルでは非常に洗練されたスタイルで、ユニクロでは極めて効率的に運営されている。
ソニーもパナソニックも苦しんだ撤退
東アジアから競合他社が台頭してきたことを受けて、先頭を走ってきたJNCは川上から川下まで強力なスキルを持って競争できるように自社を作り替え、コモディティ化したセグメントを段階的に縮小せざるを得なくなった。
多くの日本企業にとってそれは一筋縄ではいかなかった。ソニーやパナソニックがテレビから撤退するのにどれだけ時間がかかったか考えてみてほしい。三洋電機やオンキヨーなどかつて名を馳せた企業も、消費者向け最終製品から完全に撤退しきれぬまま姿を消すこととなったが、こうしたケースは珍しくなかった。
技術の最前線である上流に移るということは、他国で発明された技術のフォロワー(追随者)の立場から、技術の最前線の企業へと転身することを意味した。日本は幸いにも、強力な製造基盤、高水準のものづくりの技術、何十年にもわたって磨き上げてきた技術リーダーシップを土台にして転換を図ることができた。
これまで蓄積してきた匠たくみの知識と組織能力を活用し再構築することで、他の国々が必要とする材料、部品、機器を考案し、改良する方法をJNCは見出したのだ。この強固な基盤によって、コモディティから撤退し、そうした製品の製造に欠かせない先端マテリアル、高度な部品、製造機械、ファクトリー・オートメーション(FA)のサプライヤー(供給業者)となっている。
