初期衝動を超えるその日まで
──踊る側から、人の魅力を引き出す側へと転じることを決意したのは、どのような出来事がきっかけだったのでしょうか。
わたしは小さいころから、センターに立ちたい、前に出たいという性質ではなく、早くからそれを理解して肯定的に受け入れていました。だからこそ、出役として燃えている自分が、本来の自分の性質とどこかずれている気がずっとしていた。
そんななか取り組んだのが、演出家としての最初の作品になった「DRESS CODE」でした。自分がつくったもので誰かが輝いていて、それに心から感動した。わたしにとっては、踊ることも、そこで得られる評価も、喜びではなかった。わたしのすべては、誰かを輝かせるためにあるんだ。これを絶対に逃してはいけない──。そんな確信を、あの遅れてやってきた初期衝動をきっかけに手に入れたんです。
──これまでのキャリアのなかで、その初期衝動に迫る瞬間はありましたか。
完成度や納得という意味では、直近の(Perfumeの)東京ドーム公演で、頭のなかに描いた世界に少し近づいてきた実感がありました。しかし、あの衝動を超える瞬間には、まだ出合えていない。だからこそ、あの感覚をもう一度味わうまではやめられない。それが、いまもこの仕事を続けている理由のひとつかもしれません。
Photograph: Tomohiko Yoshida
軽やかに、もっとはしゃいでいたい
──「WIRED Innovation Awards」のタグラインは「この革新は、未来のシアワセのために」です。仕事のなかでMIKIKOさんが幸福を感じるのは、どのような瞬間ですか。
誰かが輝いているとき。演出や振り付けをした相手が本番を終えて、自分自身に感動できている瞬間を見たときが、いちばんうれしいですね。
──以前の取材では、これからのPerfumeの3人にも「Perfumeとしてに限らず、どんなかたちでも自分なりに輝いてほしい」とおっしゃっていましたよね。
そうですね。その輝きを見ることが、わたしの変わらない初期衝動だから。そして、わたしが感じているような衝動を、あらゆる人に感じてほしいとも思います。
ただ、それが感じられなかったり、やりたいことが見つかっていないとしても、苦しまなくていい。表舞台に立つ人もいれば、その人を応援すること自体が人生の喜びだという人もいて、それぞれがいるべき場所にいることで社会は成り立っているから。
そうしたなかで、心の底から湧き上がるそれぞれの「好き」に出合ってほしい。情報で自分が埋め尽くされる社会だからこそ、本当の自分を知り、愛せる場所をつくることが、これからわたしが追い求めたいことです。
──人の輝きに喜びを感じるMIKIKOさん自身は、これからどのように輝いていきたいと思っているのでしょうか。
いまこの年齢でしかできないことを、ずっとやっていく──でしょうか。Perfumeも、いまだからできることをやっているからこそ、ずっといまがいちばんきれいなまま、輝いたままでいる。
