1792年 眉山の山体崩壊と有明海の大津波
1792年、有明海で何が起きたのか——
有明海に浮かぶ九十九島(つくもじま)。
その美しい島々は、かつて対岸の山の一部でした。
寛政4年(1792年)、半年にわたる地震と普賢岳の噴火の末、新月の夕暮れ、マグニチュード6.4の地震をきっかけに眉山(まゆやま)の東側が崩壊。約3億4千万立方メートルの土砂が島原の町を飲み込み、そのまま有明海へなだれ込みました。
山体崩壊が引き起こした津波は海を渡り、何の前触れもなかった対岸・肥後(熊本)を襲います。
熊本県側だけで死者5,158人、負傷811人、最大遡上高は22.5メートル(現・宇城市)に達しました。総死者・行方不明はおよそ15,000人、
被害は有明海の両岸120キロ以上に及ぶ、日本の火山災害史上最大の惨事となりました。
島原で山が崩れ、海を渡って、対岸の人が亡くなった——
これが「島原大変肥後迷惑」です。
津波を起こすのは、地震だけではありません。
山体崩壊も、海底地すべりも、海を動かします。
そして閉じた内海では、対岸の出来事が、こちらに届く。
有明海、大阪湾、東京湾、伊勢湾——
揺れを感じなかったから安全だとは、限らないのです。
📖 主な参考文献
・都司嘉宣・日野貴之(1993)寛政四年(1792)島原半島眉山の崩壊に伴う有明海津波の 熊本県側における被害,および沿岸遡上高. 東京大学地震研究所彙報 68, 91-176
・相田 勇(1975)1792年島原眉山崩壊に伴つた津波の数値実験. 地震 第2輯 28, 449-460
・国土交通省 九州地方整備局 雲仙復興事務所『島原大変 — 寛政四年(1792年)の 普賢岳噴火と眉山山体崩壊』
・宇佐美龍夫(2003)最新版 日本被害地震総覧. 東京大学出版会
・太田一也(1969)眉山崩壊の機構に関する考察
⚠️ 本動画についての注意
・映像は史実に基づいて構成した**イメージ画像**です。1792年の記録写真ではありません。
ただしカット3の3D地形図だけは**実測の標高データ**です(上記「地形データの出典」参照)。
・1990〜1995年の雲仙普賢岳の噴火・火砕流災害とは**別の出来事**です。
・「寛政4年4月1日」は和暦、「1792年5月21日」は西暦で、同じ日を指します。
・遡上高は場所によって大きく異なります(下記参照)。
・研究・教育目的の解説です。実際の避難は必ず気象庁および各自治体の公的情報に従ってください。
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🌊 なぜ「地震が起こしたのではない津波」なのか
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M6.4は、津波を起こす地震としては小さい規模です。
(参考: 2011年 東北地方太平洋沖地震は M9.0)
この津波を起こしたのは地震そのものではなく、地震に誘発された**山体崩壊**でした。3億4千万立方メートルの土砂が有明海に突入し、大量の海水を押しのけたのです。
同じことは、海底地すべりや火山活動でも起こりえます。そして**揺れが小さくても、大きな津波が来る**ことになります。
現在の津波警報は、地震の位置とマグニチュードから津波を推定します。この仕組みは、非地震性の津波を事前に捉えることが原理的に苦手です。
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2件のコメント
大きい川に土砂崩れが凸し、村一つが消滅するくらいの津波が起きることがある。
陸からの(海への)土砂崩れ、山体崩壊で起きる津波は100m超えもある
Elliot Creek (2020) Canada 107 m tsunami
The La Paloma Mega Tsunami / Ancient mega-tsunamis in Hawaii
島原大変肥後迷惑と呼ばれる災害ですね