2026年9月
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    全員が渋滞予測を見て、混む時間を避けたら【1万台のシミュレーション】

    朝、あなたは渋滞予測を見ます。9時台は混む、と出ています。
    だから1時間早く出ることにしました。

    ――もし、1万人の全員が、同じことをしたら。

    パソコンの中に1万台が通る道を作って、確かめました。

    答えは「渋滞は消えませんでした。移動して、大きくなりました」。
    ただし、誰も間違ってはいませんでした。

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    ■ 目次
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    00:00 渋滞予測、見ますよね
    00:41 この街のしくみ
    01:56 あなただけが、予測を見たら
    02:56 全員が見たら
    04:25 渋滞は、移動して大きくなった
    05:15 誰が損をしたのか
    06:41 取る相手が、いなくなる
    08:17 今回わかったこと

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    ■ 今回の条件でわかったこと
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    ① あなただけが予測を見ると、大きく得をします
     47.27分が31.60分へ。15.66分も速くなりました。
     400回ためして、損をした回は1回もありません(0%)。

    ② 全員が予測を見ると、街ぜんたいは10.58分遅くなりました
     47.54分が58.12分へ。40通りの街すべてで遅くなっています。
     ※①の47.27分と②の47.54分は測り方が違うので、引き算しないでください。
      ①は「その1人だけの平均」、②は「街1万台の平均」です。

    ③ 渋滞は消えず、移動して大きくなりました
     9時台に出た車は3,884台から0台へ。誰も9時台に出なくなりました。
     それでも行列は7.2kmから14.8kmへ、2.1倍にのびています。
     いちばん混む時刻が、09:45から08:30へ移っただけでした。

    ④ 予測は外れます。しかも大きく
     全員が動いたあとの実際の待ち時間は、予測と平均27.50分ちがいました。
     予測は「昨日の実績」です。昨日の話をもとに、今日、全員が動くからです。

    ⑤ 「1分待ち」と言われて、55.1分待った人がいました
     背番号6153番。本来は9時22分に出るはずが、予測を見て8時22分に出発。
     予測は「1分待ち」。実際は55.1分待ち、所要85.1分。
     予測が無ければ59.6分でした。予測を信じたぶん、25.5分損しています。
     同じ目に遭った人は、10万人あたり18,775人。珍しい人ではありません。

    ⑥ それでも、誰も予測を見るのをやめません
     半分が予測を見る街では――
     予測を見た人 42.28分/予測を見なかった人 53.99分。
     同じ街の中では、予測を見た人のほうが11.70分も速いままです。
     だから、やめる理由がありません。

    ⑦ 予測を見た人が速くなれた理由
     予測を見なかった人が、元の時間に残っていたからでした。
     全員が見ると、その差がなくなります。
     4台に1台が見る -1.96分(街ぜんたいは速くなる)
     半分が見る   +0.59分
     4台に3台が見る +5.08分
     全員が見る   +10.58分
     ※マイナスは、予測が無かった日より速いという意味です。

    ⑧ 30日つづけると、混む時刻が毎日ずれていきます
     100通りの街で調べて、前の日と同じ時刻になった日は1日もありませんでした。
     そして、およそ10日でひとまわりします。
     ※ぴったり10日で戻る街は、10のうち4つでした(100通り中39通り)。
      「10日周期」と言い切れるほど、きれいには戻りません。

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    ■ 実験の条件(前提)
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    【道】
    ・1本だけ。途中に1か所、みんなが少しずつ速度を落とす場所があります
     (上り坂やトンネルの入口。国内で渋滞の最大の原因とされている形です)
    ・すいていれば30分で着きます(時速100kmなら、およそ50km)
    ・2車線ありますが、その1か所を1時間に通れるのは3,000台
     (1車線あたり1,500台。国内の実測に近い水準)
    ・行列の長さは、1台7.5m(車の長さ+車間)を2車線に並べて計算しています

    【車】
    ・1万台
    ・本来出発したい時刻は6:00〜11:59。9:00にいちばん集中します
     (集中の強さは、8時〜10時に出たい人が7割になる強さ)
    ・追い越しはありません。先に来た車から順に通ります

    【渋滞予測】
    ・内容は「昨日の実績」です(きのうは9時が混みました、と出す)
    ・15分きざみで出ます(「9時15分〜9時30分は◯分」)
    ・発表は1分単位に丸められます(現実の渋滞予測と同じ)

    【予測を見た人の動き方】
    ・ずらせるのは前後1時間までです
     (「夜中3時に出ればいい」とならないための枠です)
    ・自分の時間帯がいちばん良いなら、動きません
    ・動く人は、空いている時間帯の中から3分の幅でばらけて選びます
    ・「予測を見ない人」には、見られない人・見ても動けない人
     (始業時刻が決まっている、子どもを送る、など)が含まれます

    ※事故も、天気も、抜け道もありません。
     この道しかなく、乗る・乗らないの選択もありません。

    【試した回数】
    ・街ぜんたいの比較:条件ごとに40通りの街
    ・あなた1人だけの比較:400回
    ・日ごとに混む時刻が動くかの確認:100通りの街×30日

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    ■ 結果の数値
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    【誰も予測を見ない世界】
    ・平均所要時間    47.54分
    ・いちばん長い行列  7.2km(1,910台)
    ・9時台に出た台数   3,884台
    ・いちばん多く出る時刻 08:45
    ・いちばん混む時刻  09:45
    ・いちばん待つ人の待ち時間 38.0分

    【あなただけが予測を見る(400回)】
    ・見ないとき 47.27分 → 見たとき 31.60分
    ・速くなった分 +15.66分(幅 +14.40〜+16.93)
    ・損をした回 0%/速くなった回 77%
    ・(参考)実際に動いた人だけで見ると +20.28分
    ・まわりの25%も見ている +13.41分(損をした回 0%)
    ・まわりの50%も見ている +12.46分(損をした回 14%)
    ・まわりの全員が見ている +9.11分(損をした回 34%)
    ・★30日つづけると -2.26分(初日は得。続けると損になります)

    【全員が予測を見る(40通りの街)】
    ・平均所要時間  58.12分
    ・誰も見ない世界との差 +10.58分(幅 +10.41〜+10.74)
    ・いちばん長い行列 14.8km(3,950台)= 7.2kmの2.1倍
    ・9時台に出た台数 0台
    ・いちばん混む時刻 08:30
    ・前へずらした台数 6,147台/後ろへずらした台数 1,789台
    ・動かなかった台数 2,063台(21%)
    ・前へずらした人は、全員が「いちばん混む時刻より前」に出ています(例外0台)
    ・予測と実際の食い違い 27.50分
    ・★30日つづけると +13.90分(初日の+10.58分より悪化します)

    【半分が予測を見る(40通りの街)】
    ・予測が無かった日 47.54分
    ・街ぜんたい    48.14分(+0.59分・幅 +0.41〜+0.77)
    ・予測を見た人   42.28分(-5.26分)
    ・予測を見なかった人 53.99分(+6.44分)
    ・同じ街の中で、予測を見たほうが速い分 +11.70分

    【予測を見る人を増やす(40通りの街・初日)】
    ・4台に1台が見る -1.96分(幅 -2.10〜-1.82)
    ・半分が見る   +0.59分(幅 +0.41〜+0.77)
    ・4台に3台が見る +5.08分(幅 +4.89〜+5.26)
    ・全員が見る   +10.58分(幅 +10.41〜+10.74)

    【1台を追いかける(背番号6153番)】
    ・本来の出発希望時刻 09:22 → 実際の出発 08:22(60分早めた)
    ・予測で言われた待ち時間 1分/実際に待った時間 55.1分(食い違い +54.1分)
    ・所要時間 85.1分/予測が無かったら 59.6分(+25.5分)
    ・同じ目に遭った人 18,775人/10万人

    【30日つづける】
    ・前の日と同じ時刻になった日:100通りの街すべてで0日
    ・ぴったり同じ日数で戻る街:100通り中39通り(10日が38、13日が1)
    ・高さのくり返しの強さ:まんなか0.97(100通りすべて0.8超)
    ・動画で見せている街:100通りのうち、動いた日の割合と時刻の種類数が
     まんなかに近いものを選んでいます(30日で8種類の時刻に現れます)

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    ■ この結果が言える範囲(ご注意)
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    ・これは、上に書いた条件でのシミュレーションの結果です。
    ・1万台・道が1本だけの、架空の実験です。
     事故も、天気も、抜け道もありません。
    ・実在のどこかの道路や渋滞予測を再現したものではありません。
    ・★実際の渋滞予測を、見なくてよいという話ではありません。
     この実験の中でも、予測を見た人のほうが、
     予測を見なかった人より速いままでした(42.28分と53.99分)。
    ・★そして、みんなが毎朝、予測をそのまま信じる世界の話です。
     現実の人は、外れた予測を覚えて、次からは違う動き方をします。
    ・遅くなったのは「街ぜんたいの平均」です。個人が遅くなったのではありません。
    ・「およそ10日でひとまわり」の「およそ」は外せません。
     ぴったり戻るのは100通りのうち39通りです。
    ・距離(およそ50km)は、モデルに入っている値ではありません。
     入っているのは「すいていれば30分」で、時速100kmとして換算したものです。
    ・混雑の集中の強さ(9時に集まる度合い)に実測の裏づけはありません。
     仮定として扱い、強さを振って確かめています。

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    ■ 参考にしたモデル
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    行列の計算は、待ち行列の教科書でいう D/D/1
    (来る時刻も、通すのにかかる時間も決まっている、通れるところが1つ)です。
    交通の分野では bottleneck model として知られ、
    「決まった時刻に集中してやってくると、どれだけ待つか」を調べる標準的な形です。

    W. S. Vickrey, “Congestion Theory and Transport Investment”,
    American Economic Review 59(2), 1969.

    ※シミュレーションのプログラム・図表・映像は、
     すべて本プロジェクトで作成しています。

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    ■ 音楽・素材
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    BGM(YouTube オーディオ ライブラリ)
    ・Floating Lanterns – The Mini Vandals
    ・Pulsar – The Grey Room / Density & Time
    ・Turn In The Sun – Simon Herody

    実写素材:動画AC
    ・高架下の渋滞(動画AC 184349)
    ・夜のインターチェンジ(動画AC 164500)

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    もしもの実験室では、「世界の条件を変えたら何が起きるのか」を
    パソコンの中のシミュレーションで確かめていきます。
    チャンネル登録していただけると、次の実験報告が届きます。

    #シミュレーション #渋滞 #渋滞予測 #交通 #検証

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