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    在日米軍基地が攻撃される可能性をどう考えるか、安保3文書改定を前に必要な国民的議論

    松村 五郎

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    2026.9.4(金)

    ハワイ諸島付近で開催された世界最大規模の国際海上演習である環太平洋合同演習(RIMPAC)で、洋上補給を受ける米空母「セオドア・ルーズベルト」(7月26日、米海軍のサイトより)

     8月末の概算要求で、防衛費として過去最大となる約8兆8900億円が計上された。

     さらに、要求額を示していない「事項要求」も多数盛り込まれており、年末の予算編成では大幅に上積みされ、10兆円規模に達する可能性も指摘されている。

     また年末には、「国家安全保障戦略」を含む「安保3文書」が改定され、今後の国家安全保障政策や防衛力整備の基本的な方向が示される予定である。

     筆者は、自衛官として35年、その後研究者として10年、計45年間にわたって国家安全保障について考え続けてきたが、その間ずっと日本における安全保障議論に一つの違和感を持ち続けてきた。

     それは、日本の防衛について議論される際、日本周辺の国際情勢と関係なく、日本が突然攻撃を受けるかのようなシナリオを前提に、日本の防衛体制構築が論じられてきたという点である。

     最近でこそ、安倍晋三元首相の「台湾有事は日本有事」という発言を機に、中国による台湾への軍事侵攻と日本の防衛が関連付けて論じられるようになったが、これも実質的には、従来型の「日本が突然攻撃を受ける論」とあまり変わらない。

     なぜなら、台湾が軍事侵攻を受けると、自動的に日本も戦争になるという前提で議論されていることが多く、その際の日本の国家としての主体的判断が捨象されているからである。

     そこで以下では、防衛予算の本来の目的である日本の安全保障について、特に軍事的な側面を中心に、一から考えてみたいと思う。

    日本に戦争が起きるとしたらどのような事態か

     年間10兆円規模にも達しかねない膨大な防衛費を投じて防衛力を強化するからには、それによって日本が武力攻撃を受けることを抑止し、万が一抑止できなかった場合にも有効に対処して、日本国民の被害を最小限に抑えることができなくてはならない。

     それでは、具体的に日本が武力攻撃を受ける蓋然性が高い事態とは、どのような事態なのだろうか。

     もちろん、テロ事案や偶発的衝突など、発生の可能性が比較的高い小規模事態に備えるだけでは十分ではない。

     日本国民に大きな被害を及ぼしかねない日本領土への本格的な武力攻撃が起きるとして、蓋然性が高い事態とはどのような状況なのかを具体的に考え、それに対応できる防衛力を構築しなくてはならない。

     そのような事態とは、ある日突然、脈絡なく日本が攻撃を受けるということではないだろう。

     それよりも可能性が高いのは、北東アジアの戦略環境の中で国際的な紛争が生じ、それが日本に対する攻撃につながるという状況だろう。

     今後20年程度を見通した上で、そのような事態として筆者が特に検討すべきだと考えるのは、第1に中国による台湾への武力侵攻、そして第2に朝鮮半島での北朝鮮と米韓の間の大規模軍事衝突である。

     朝鮮半島に関して筆者は、この期間に北朝鮮あるいは韓国が武力による南北統一を目的として全面戦争を開始する可能性は低いとみている。

     より現実的なシナリオとして考えられるのは、非核化等を目的とする米国による北朝鮮への圧力強化に起因する紛争か、北朝鮮国内が内乱等で不安定になって米韓が安定化に乗り出さざるを得なくなるような事態であろう。

     それでは、これらの台湾事態や朝鮮半島事態は、どのようにして日本への武力攻撃に結びつくのだろうか。

     本来の争点との関連では、中国や北朝鮮が日本を攻撃する理由はないし、むしろ敵を増やしたくはないだろう。

     台湾の場合には米軍が介入する可能性が高く、朝鮮半島の場合には米韓同盟に基づいて米軍が参戦する可能性が極めて高い。ポイントとなるのは、その結果、在日米軍基地がその作戦基盤になるという点である。

     中国や北朝鮮としては、米軍の戦力発揮を妨害するために在日米軍基地を攻撃するか、あるいはその前段階として、日本が米軍に基地を使わせないよう軍事的に威圧してくる可能性がある。

     日本としては、米軍の行動が国際規範から大きく外れるものでない限りは、価値観を共有する台湾や韓国の危機に際して介入する米軍に、基地を使わせないという政策判断の余地は非常に限られるだろう。

     その結果として、在日米軍基地、すなわち日本の領域も攻撃を受ける可能性を覚悟しなくてはならないことになる。

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