「RayNeo GT Max」と「RayNeo Pocket TV 2 Dolby Vision Edition」を約3週間使ってみた
RayNeoは、59度の広視野角と267インチ相当の大画面を表示できるARグラス「RayNeo GT Max」を、9月4日に発売する。発売に先駆けて3週間程度、実機を使うことができたのでレビューをお届けする。
製品パッケージにも「Worldwide Olympic Partner」のロゴが
RayNeoは、TCL傘下のARグラスに特化したブランド。2025年の第3四半期には、世界のARグラス市場でシェア24%を獲得し、シェア率トップになっているほか、オリンピックの公式ワールドワイドパートナーも務めている。
「RayNeo GT Max」
4日に発売されるRayNeo GT Maxは、そんなRayNeoブランドが展開する最新モデル。対応スマートフォンなどとUSB-Cケーブルで接続することで、映画やドラマ、ゲームなどを大画面で楽しめる“メガネ型ディスプレイ”だ。
RayNeo GT Maxでは、従来モデルから光学設計を刷新し、モジュールを29%薄型化しつつ、広視野角を実現。さらにデュアルレイヤーMicro-OLEDにより、色域はDCI-P3カバー率98%、コントラスト比200,000:1、最大1,200nitsの入眼輝度、最大120Hzのリフレッシュレートに対応している。
別売りの「RayNeo Pocket TV 2 Dolby Vision Edition」と組み合わせたところ
また近日発売予定の別売りアクセサリー「RayNeo Pocket TV 2 Dolby Vision Edition」と組み合わせることでDolby Visionに対応するのも特長。RayNeo Pocket TV 2 Dolby Vision Edition自体はGoogle TV端末なので、YouTubeやPrime Video、Apple TV、U-NEXTなどのアプリを使って、動画を楽しめる。
Bang & Olufsenと共同チューニングした4スピーカーシステムをツル部分に搭載
メガネのツル部分にはスピーカーも内蔵。Bang & Olufsenと共同チューニングした4スピーカーシステムで迫力あるサウンドを楽しめる。
そのほか、映像処理チップとして「Vision 4000」、3DoFによる空間表示を担う空間コンピューティングチップとして「Zone 360」を搭載。
グラス単体で頭の動きにあわせて画面が動く「追従」、頭の動きにかかわらず画面を1カ所に固定できる「固定」、頭の細かな動きを補正しつつ画面を追従させる「ブレ補正」の3つの表示モードを利用できる。ヘッドトラッキング対応の空間オーディオも利用可能。
本体はシンプルなデザイン。新型モジュールで映り込みもほぼなし
左が「RayNeo GT Max」。右は他社製品の「XREAL 1S」
グラス本体は、フロント部分に大きめのシェードを備えたようなデザイン。競合製品では、このシェード部分の透明度を変えられる自動調光機能を備えたものもあるが、RayNeo GT Maxにはそういった機能はない。その分、グラスをかければすぐに映像に没入できるシンプルな仕様となっている。

付属のUSB-Cケーブルは、右側ツルの先端に接続する
スマホなどと接続するUSB-Cケーブルは、右側のツル先端に接続する仕様。ケーブルはシリコンのような被膜に覆われており、長さも手元で測ってみたところ約120cmと十分で取り回しやすい。
またツルの部分は外側に少し広がる仕様なので、さまざまな頭の大きさにもフィットしてくれる。3週間試した限り、特に締めつけ感が気になることもなく、快適に使うことができた。
入眼輝度最大1,200nitsを謳うディスプレイは、かなり明るく、映像にドット感もなく、快適に視聴できる。明るさは9段階で調整可能だ。
RayNeo GT Maxの光学モジュール
左がRayNeo GT Max。右は他社製品だがBirdbath方式の光学モジュールを採用している「XREAL 1S」
上がRayNeo GT Max。他社製品だがBirdbath方式の光学モジュールと比べると、大幅にコンパクト化されている
筆者がRayNeoのARグラスを使うのは今回が初めてだが、光学モジュールが刷新された影響か、グラス自体はかなり軽め。RayNeoの従来製品と同じ、Birdbath方式の光学モジュールを採用している他社製品(XREAL 1S)と比べても、フロントヘビーな印象がなく、長時間使っていても鼻に重さを感じにくい。
またBirdbath方式では、左右や下からの反射による映り込みが気になることが多いが、新しい光学モジュールを採用しているRayNeo GT Maxでは、反射や映り込みはほとんど気にならず、映像への没入感を高めてくれる。
鼻あては複数サイズが同梱されており、フィッティングを調整できる
視力補正には専用・別売のインサートレンズを使う仕組みで、製品購入時に公式のレンズ作成サービスを利用できる。

操作用のボタンは左側ツルの下側に2基、右側ツルの上側に1基
操作用の物理ボタンは左側ツルの下側にふたつ、右側ツルの上側にひとつの合計3つ。左側は音量操作ボタンとメニューボタン、右側は映像の追従・固定・ブレ補正のモードを切り替えるボタン。
メニューボタンを押すと、画面の明るさや2D/3Dモードの切り替え、AI-HDR/SDRの切り替え、映像モードの切り替え、サウンドモードの切り替えなどが可能。映像モードはStandard、Movie、Eye Car、Readの4種類が用意されている。
表示するスクリーンサイズも変更可能だが、選択できるのはオリジナルサイズの100%、映像にズームして周囲の黒縁を減らす115%、映像のクロップを防ぐ85%の3つで、細かくサイズを指定することはできない。
またメニュー表示は英語と中国語のみ対応。日本語には対応していないので、その点は注意してほしい。
設定はシンプルで、手軽に使いやすい
今回は私物のGalaxy Z Fold 5と組み合わせて、NetflixやYouTubeを視聴。表示設定は明るさ最大、画面サイズはオリジナルサイズの100%で、没入感のある映像を楽しめた。アクションゲームの実況など、画面の動きが激しい場合は画面サイズを85%にすると、画面酔いを多少軽減できる。
ディスプレイの明るさも十分で、発色も良好。抜けるような青空や、木々の青々とした様子もしっかりと描かれている。内蔵スピーカーもサウンドのバランスは良く、セリフもクッキリと聴きやすい。爆発や銃声など、アクションシーンの肝である低音は、ズシンと芯のある響きではないものの、必要十分な迫力は味わえる。
画面サイズの表示設定については、上述のとおりRayNeoの画面サイズは3段階から選ぶ仕組みでとてもシンプル。一方、例えば競合のXREAL製品は、より細かく画面の表示サイズと表示距離を設定できるので、「自分の好みに合わせて細かくチューニングしたい」という人には物足りなさがあるかもしれない。
ただ初めてARグラスを使う人や、「気軽に大画面を楽しみたい」という人には、シンプルに選べるRayNeo GT Maxのほうが使いやすいはず。メニュー表示が日本語に対応すれば、より手軽に手を出しやすくなるので、このあたりはアップデートなどによる対応に期待したい。
Bang & Olufsenと共同チューニングしたというサウンドも、ズシンと身体の芯に響くような低音は味わえないものの、銃撃や爆発といったアクションシーンの迫力は十分で、セリフも埋もれずにしっかりと聴き取れる。YouTubeで音楽MVなどを見ても、やや厚みが物足りないものの、全体のバランスも良好な印象だった。
付属のケース
ケースにはUSB-CケーブルとRayNeo GT Maxをまとめて収納できる
ちょうど飛行機と新幹線で移動する機会があったので、機内/車内でも使ってみた。
飛行機内でも使ってみた。あらかじめスマホにダウンロードしたコンテンツを視聴
こうした移動時間はコンテンツを楽しむ絶好のチャンスだが、スマホの小さな画面では物足りなさを感じてしまうもの。また隣に座っている人の目線が気になって集中できないという人もいるだろう。
機内でも快適に映像を大画面で楽しめる
しかし、RayNeo GT Maxのようなデバイスを使えば、スマホ以上の大画面で、周囲の目線を気にすることなくコンテンツに没頭できる。今回は飛行機は1時間30分前後、新幹線は3時間前後の移動だったが、どちらもあっという間に目的地に到着したと感じるくらい、コンテンツに没入できた。
ただ、RayNeo GT Maxはシェード部分が少し透けているため、飛行機では頭上の照明、新幹線は各車両の先頭にある電光掲示板の映り込みが気になる場面も。また特に暗いシーンでは、映像越しに現実世界が透けて見える瞬間が何度かあった。
映像を隅々まで余すことなく堪能したいという場合は、何らかの対策が必要だが、新幹線の電光掲示板など、RayNeo GT Maxを着けたままでも周囲の状況が確認できるのはメリットと言える。
アクセサリ連携でDolby Visionも
「RayNeo Pocket TV 2 Dolby Vision Edition」。RayNeo GT Maxと組み合わせるとDolby Visionコンテンツを楽しめるようになる
RayNeo GT Maxの最大の特長は、別売りアクセサリーのRayNeo Pocket TV 2 Dolby Vision Editionと組み合わせることでDolby Visionに対応すること。今回はRayNeo Pocket TV 2 Dolby Vision Editionも借りることができたので、さっそく試してみた。
RayNeo Pocket TV 2 Dolby Vision Editionは、OSにGoogle TVを採用した手のひら大のデバイス。単体でNetflixやYouTube、U-NEXTといった各種動画配信アプリが使えるため、RayNeo GT Maxと組み合わせるとスマホ不要でさまざまなコンテンツを楽しめる。
左側のUSB-Cが電源用、右側USB-Cがグラス接続用
側面にはmicroSDカードスロットも備える
本体にはバッテリーを内蔵。底部にはARグラス接続用とは別に、電源用USB-Cポートも搭載しているので、ARグラスを使いながら本体を充電することもできる。正面にはNetflixとYouTubeのショートカットボタンを備える上、「LIVE TV」と「星マーク」のボタンも、好きなアプリのショートカットを割り当てられる。microSDカードスロットも備えている。
そして、このRayNeo Pocket TV 2 Dolby Vision EditionとRayNeo GT Maxを組み合わせたうえで、Dolby Vision対応コンテンツを再生すると、自動的にDolby Vision再生に切り替わる。特に設定を変えずにスムーズにDolby Visionコンテンツを楽しめるのは嬉しいところ。
端末の動作もスムーズで、なによりスマートフォンのバッテリー残量を気にせずに映画やドラマ、YouTubeなどを楽しめるのは便利なポイント。OSの制約上、動画コンテンツのローカル保存ができないのは難点だが、Wi-Fiがある環境なら問題なく使用できる。
唯一、機になる点を挙げるとすれば初期セットアップの面倒さ。映像がグラスに表示されるという仕組み上、端末自体の初期設定や、各サービスへのログイン時、画面に表示されるQRコードをスマホで読み込んでログインすることができないので、ID/メールアドレスや、パスワードなどを手打ちしなければならない。
一部サービスでは、画面に表示されるコードを、スマホなどのブラウザで入力してログインする仕組みも整えられているが、グラスをズラしたり、外したりしないとスマホの画面が見えない。セットアップ/ログインは1度だけの作業だが、少し煩わしさを感じる部分だった。
初めての“本格メガネ型ディスプレイ”に
細かな設定不要で、大画面でコンテンツを楽しめるRayNeo GT Max。競合製品にはより多機能なものも存在するが、シンプルな使いやすさという点ではRayNeo GT Maxは初めての1台としても使いやすいだろう。
また別売りではあるが、RayNeo Pocket TV 2 Dolby Vision Editionと組み合わせるとDolby Visionでコンテンツを楽しめるのは大きな魅力。Netflixやディズニープラス、U-NEXTなど、対応コンテンツを配信するサービスも増えているので、手軽にDolby Visionを楽しめるディスプレイとして、RayNeo GT Maxを選ぶのも選択肢のひとつだ。
