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    在日米軍基地が攻撃される可能性をどう考えるか、安保3文書改定を前に必要な国民的議論

    松村 五郎

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    2026.9.4(金)

    日本が採り得る安全保障政策のオプションは?

     このような事態に備えて、日本が採り得る安全保障政策としては、大きく二通りの政策オプションがある。

     一つは自衛隊による武力行使は、あくまでも日本領域(米軍基地も含む)の防衛のために限定する、すなわち従来から言われている意味での「専守防衛」に徹する策である。

     そしてもう一つは、2015年の平和安全法制で導入された存立危機事態の認定についてやや積極的な政策判断を採り、台湾や韓国で米軍が交戦状態に入り、日本政府が存立危機事態に該当すると認定し、武力行使の新三要件を満たすと判断した場合には、自衛隊も必要最小限度の武力行使を行うという策である。

     ここでは便宜的に、前者を「専守防衛重視策」、後者を「集団防衛重視策」と呼ぶことにするが、両者には、それぞれ利点と欠点がある。

     台湾や朝鮮半島で武力紛争が発生し、かつ在日米軍基地があるからといって、直ちに中国や北朝鮮などが日本領土への攻撃に踏み切ると決まっているわけではない。

    「専守防衛重視策」の利点は、日本領域が攻撃を受けたならば、断固として防衛力を使用して守り抜くという決意を示して、周辺の戦争が日本に拡大することを抑止するとともに、それでも攻撃があった場合には、領域防衛に全力を尽くせるという点にある。

     一方でその欠点は、日本と価値観を同じくする台湾や韓国防衛への支援が、直接の戦闘参加ではない間接的手段に限られることと、米軍への支援も在日米軍基地防護以外は間接的になることである。

     他方「集団防衛重視策」の利点は、当初から日米両国の軍事行動を連結し、台湾や韓国の防衛にコミットすることを示すことで、中国や北朝鮮などによる台湾や韓国への攻撃に対する抑止力を高められることにある。

     反面、欠点となるのが、その抑止がうまくいかなかった場合に、日本が周辺の武力紛争に当初から加わることで事態がエスカレートするリスクが高まり、日本領域も早い段階から攻撃対象となる可能性がある点である。

     どちらのオプションを採るかギリギリまで曖昧にしておけばよいのではないかとの意見もあろうが、軸足をどちらにするのかによって、防衛力整備の内容や自衛隊の配置、演習(特に米軍との共同演習)の内容は大きく変わってくる。

     そして何より、これは日本国民にとって大きな分岐点であり、国民がしっかりと議論を重ねて決めるべき重大問題なのである。

     また日本がどのような行動を取るか、関係各国があらかじめ認識できるようにしておくことで、危機の渦中で過剰な不信感や期待感が生まれるのを防ぐこともできる。

     政治的に議論が困難な問題だからといって曖昧にしておくと、実際に周辺で危機が発生した際に国内での議論が尽くせないため、国家の重大な岐路であるにもかかわらず、成り行き任せになってしまいかねない。

     ちなみに筆者個人としては、上記の利点と欠点を勘案した上で、「専守防衛重視策」を採ることを軸足として日本の安全保障政策を組み立てるべきだと考えている。

     筆者は、「集団防衛重視策」によって抑止力を高める利益よりも、抑止に失敗した場合に日本領域が早期に戦場となるリスクをより重く見る。

     地域における事態の抑止がかなわなかった場合、そのエスカレーションを避け、日本の領土が戦場となり、国民の安全が脅かされる危険を最小限に抑えるべきだとの考えからである。

     このような考え方に対しては、それで将来的に日本の安全保障の基盤である日米安保体制を維持していけるのかとの不安を指摘する声も多い。

     これは、日本の安全保障を考える上で最重要のポイントであるので、次にこれについて考察してみたい。

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