【現代死生考】米デューク大のアン・アリソン教授と僧侶が語る、日米で異なる墓参りと死者との関係の結び方
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鵜飼 秀徳
作家・正覚寺住職・大正大学招聘教授
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2026.9.5(土)
京都・大谷祖廟(写真は筆者、以下同)
米デューク大学教授で文化人類学者のアン・アリソン氏は、30年以上にわたり日本の日常生活と政治経済の関係性を調査してきた人物である。近年は、孤独死、葬送儀礼の変化へと研究領域を広げている。このたび、調査のために来日したアリソン氏が京都・嵯峨の正覚寺を訪れた。住職である筆者と、日米の墓参りの違い、墓じまいなどについて話し合った。
日本の「死」に着目した理由
鵜飼:アリソンさんはこれまで、日本でどのような研究をしてきたのでしょうか。
アリソン:1990年代から日本の企業社会やジェンダーについて研究してきました。東京のクラブに自ら入り、ホステスになって実地調査をしたこともあります。客であるサラリーマンに酒を注ぎ、たばこに火をつけ、会話を交わすことを通じて、企業による接待文化が「企業戦士」としての男性性をどう作り上げるのかを論じました。
また、東京都内の中流家庭地域で約5年間フィールドワークを行い、母親が子どもにつくる弁当や漫画、性表現などを材料にして、日本社会で母性や性、欲望がどのように作られているのかも調べてきました。
鵜飼:それらは、戦後日本のイエの変化としても捉えることができますね。高度経済成長期からバブル期、そしてバブル崩壊と人口減少期へと移りゆく中で、ムラやイエのかたちは大きく変わりました。
日本の社会構造の変化を捉えながらフィールドワークを重ねてきたアリソンさんの関心が、日本人の「死」を取り巻く諸問題へと移っていったのはどういうことでしょう。
アリソンさん
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アリソン:バブル崩壊後、長期不況や人口減少の局面に入った日本社会が、不安定になっていくことに関心を持つようになりました。非正規雇用が増え、仕事が不安定になり、家族も変わっていきました。結婚しない人も増え、ひとりで暮らす人も増えてきました。以前の日本では、会社や家族が人の居場所になっていましたが、それがだんだん弱くなっていった。
鵜飼:その先に「死」の研究が出てきたということですね。
アリソン:そうです。家族が変われば、亡くなり方や亡くなった後のことも変わります。たとえば、孤独死の問題や、墓や弔いの変化として表れます。
日本では、イエの墓に入ることが当たり前でした。でも今は、家族の墓に入らない人、入れない人も増えています。そこで、墓、特に自動搬送式納骨堂や樹木葬などの永代供養を調べるようになりました。
鵜飼:今回、最初にお聞きしたいのが墓参りの習慣です。アメリカ人はどのくらい墓参りをするのでしょうか。
アリソン:日本人ほど頻繁にはしません。日本人は節目節目で墓参りをしますね。
鵜飼:日本では、年中行事の中に弔いごとが組み込まれています。春と秋に彼岸があり、8月にお盆があります。正月に寺に行く習慣もあります。日本人は季節ごとに墓参りをするような民族ですが、アメリカではどうでしょう。
アリソン:アメリカでは、そういう形では墓参りはしません。もちろん墓参りに行く人はいますが、「この季節だから家族みんなで墓参りに行く」という習慣はありません。
鵜飼:アリソンさん自身はどうですか。
