【著者が語る】『シーラカンスに会いに行く』の高野真吾が語るシーラカンスの魅力と謎の生態をめぐる人々の熱狂
インドネシアの漁師に捕獲されたシーラカンス(写真:ロイター/アフロ)
「生きた化石」として広く知られるシーラカンス。その神秘的なビジュアルばかりが独り歩きしており、「生きた化石」として有名になった経緯や、昨今も冷めやらぬ研究者や愛好家の熱狂について知る人は少ない。特に1980年代、シーラカンスを捕まえようと、アフリカ沖コモロ諸島まで出かけていった日本人による「シーラカンス学術調査隊」が存在していたことは驚きの秘話だ。謎めいた生態で今なお人々を惹きつけるシーラカンスについて、『シーラカンスに会いに行く』(ポプラ社)を上梓した高野真吾氏(ジャーナリスト)に話を聞いた。(聞き手:中川 翠、ライター)
──2001年に愛媛県総合科学博物館が行ったアンケートによれば、本書の主人公であるシーラカンスの知名度は71%にもなると書かれています。
高野:シーラカンスのイラストや写真を教科書や図鑑で見たことがある人も多いと思います。それがシーラカンスの知名度の高さにつながっているのでしょう。
シーラカンスはヒレが多く恐竜時代の生物を思わせる独特の体形を持つ魚です。化石記録によると、約3億5000万年前から体のつくりが大きく変わっておらず、現在、生き残っている種は深海に生息しています。近年はインドネシアとアフリカ東岸から西インド洋にかけて生息が確認されています。
──シーラカンスに興味を持ったきっかけについて教えてください。
高野:子供のころから恐竜好きで、将来の夢は恐竜博士でした。そして私は大の魚好きです。
約2億3000万年前~6600万年前の恐竜時代のはるか以前からその面影を今に伝えるシーラカンスは、恐竜に興味を持つ私にとって魅力的な存在です。加えて、シーラカンスは魚でもあります。大好きな恐竜と魚、両方の要素を掛け合わせたシーラカンスのことは前々から気にはなっていました。
私のシーラカンス熱に火をつけたのは、2025年1月に知人の誘いで聴講した第4回国際シーラカンスシンポジウムです。シーラカンス研究者たちのマニアックな研究報告を聞き、自分もシーラカンスに関わりたいと思うようになりました。
──本書には「シーラカンスに会いに行くための僕的ガイド」というセクションがあります。
高野:このセクションでは、シーラカンスの故郷、アフリカのコモロ諸島を訪問するためのガイドブックに加え、日本国内で出会える施設やぬいぐるみも紹介しています。
実際に深海のシーラカンスに会いに行くのは難易度が高いので、「会いに行く」の解釈を拡大して違う形での出会いも紹介し、読者の皆さんにシーラカンスを身近に感じてもらえるようにしました。
──特に印象に残ったのが、1980年代に日本からコモロ諸島まで赴いて調査した「シーラカンス学術調査隊」(以下、学術調査隊)です。
