2026年9月
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    夏休み明けは、学校に行き渋る子が増える。文部科学省の調査によると、2024年度に不登校となった小中学生は35万3970人にのぼり、過去最多を更新。不登校の子どもの数は12年連続で増えている。一方、9月は子どもの自殺者数も増える傾向にある。文部科学省の調査では、平成21年以降の児童生徒の自殺者数を日別にみると、8月後半から増加し、特に長期休業明けの9月1日に多くなる傾向があり、「9月1日問題」とも呼ばれている。不登校と自殺に直接的な関係があるということではないが、長い休みが終わり、学校生活が再び始まるこの時期は、子どもの気持ちや行動に変化が表れやすい時期でもある。

    そんな子どもの変化や、親の悩みに40年にわたり寄り添ってきたのが、相談員の池添素(いけぞえ・もと)さん。書籍『不登校から人生を拓く――4000組の親子に寄り添った相談員・池添素の「信じ抜く力」』(講談社)では、ジャーナリストの島沢優子さんが、池添さんと不登校を経験した親子への取材を通して、葛藤や、その先にある変化を丁寧に描いている。この記事では、夏休み明けから学校への行き渋りが始まった親子のエピソードを、書籍から抜粋してお届けする。

    ※令和8年7月3日児童生徒の自殺予防に係る取組について    
    ※令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について 2025年10月29日発表

    娘の不登校に「その日が来たか」

    京都市在住でスチールモデルのなんこさんは小学4年生の夏休み明けから登校できなくなった。始業式から7日後の朝、キッチンで朝食をつくる母・有理子さんに「今日は学校行かへん」と告げた。ひとりっ子で両親は共働き。有理子さんは娘が学校に行ってくれないと仕事に行けないので困るはずだが、そこまで慌てなかった。しゃがんで顔をのぞきこみ「え? なんかあったん?」と尋ねはしたが、こころのなかで「来た来た、その日が来たか、みたいな感じ」だった。

    なぜなら保育園時代から発達障害の特性があって、広場に4歳から通っていたからだ。行事に参加できなかったり、不安が強く、集団生活に馴染めないところがあった。診断では「自閉スペクトラム症に近い感じ。グレーゾーンです」と言われ、療育手帳は発給されなかった。広場が提供する保護者同士の交流会では「小学校に上がると行き渋ることが多いよ」と子育ての先輩たちから聞いていた。

    図書館で本を選ぶなんこさん。写真提供/有理子さん

     

    結局、その日から不登校になった。行けない理由はわからないまま。校内にある学習障害の子どもたちが通う「LD通級」にも行けなくなった。ほかの小学校からも児童が来て勉強するクラスで、1年生から通っていた場所だ。有理子さんは池添さんに「学校に行けなくなりました」と連絡し相談に乗ってもらった。開口一番こう言われた。

    「お母さん、このまま学校に行けなくなっても、おうちで子どもに好きなことさせてあげて。これをしたらダメとか、こうしなさいではなく、子どもの『こうしたい』っていう思いをいったん受け止めてあげよう。なんで? って言いたくなるような時も『うん、わかった』って言う。これ口癖にしてください」

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