2026年9月15日にSIEより発売されるプレイステーション5(PS5)用ソフト『Marvel’s Wolverine』。その名の通り、Marvelヒーローの中でも屈指の人気を誇る、ウルヴァリンを主人公としたアクションアドベンチャーだ。開発は『Marvel’s Spider-Man』シリーズを手掛けたInsomniac Gamesが行っている。
今回、SIEから発売前に『Marvel’s Wolverine』のコードを受領。発売前にがっつりプレイしたMarvelファンの筆者が、少し突っ込んだ内容までをレビューしていくつもりだ。致命的なネタバレなどはしないが、主人公や主要キャラクターの説明、大枠のシステムがわかればいいという方は、下記の動画や過去の記事だけご覧いただくほうが無難かもしれない。
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なお、本稿の写真には一部過激な暴力表現を含むものがあるので、それを念頭に置いて読み進めていただきたい。
※本ソフトはCEROより“18歳以上のみ対象”の指定を受けておりますが、掲載にあたってはファミ通の掲載基準に従い考慮しております。
過激な暴力表現は本作の魅力だが、メインディッシュではない
本作を語るうえで触れておかなければならないトピックはいくつかあるが、まず大前提から。本作はCERO Z(18才以上のみ対象)に指定されており、過激な暴力表現を含んでいる。『Marvel’s Spider-Man』シリーズが15歳以上対象だったので、より大人向けになったわけだ。その大きな理由は、ゴア的な表現。なにしろ、ウルヴァリンは自慢の爪で敵を切り裂いて戦うインファイターのヒーローなので、戦えば流血やら身体欠損などがついて回るのだ。
こういったゴア表現の話題になると「海外版にあるゴア表現が日本版で表現されてないと冷める」的な意見が出たりもする。結論から言えば日本版でも流血表現&身体欠損はがっつりある。北米版とまったく同じかどうかは、並べて比べていないのでわからないけれど。ただ、ヌルい表現だからと冷めるようなことにはならない、というのが筆者の感想。というか、ある程度プレイすれば「ゴア表現がメインディッシュのゲームじゃないな」とわかるので、あまり気にならないというところも強いのかもしれないが。

相手はサイボーグ兵士なので、片足を切り飛ばしたくらいは問題ないはずだ!(このあとメチャクチャとどめを刺した)
件のゴア表現だが、アクセシビリティで調整可能なので、「血がドバドバとか、苦手なんですが?」という方も安心していただきたい。暴力表現をオフれば、流血表現は完全にナシにできるし、欠損シーンにはモザイクもかかる。ついでにアクセシビリティ関連でもうひとつ。本作は画面酔い対策もけっこうしっかりしているので、それが理由でアクションゲームを苦手としている方も、遊べるんじゃないかと思う。
1本道のゲームのおもしろさを再確認できる 『Marvel’s Spider-Man』シリーズはニューヨークの街を舞台にした箱庭的なゲームだったわけだが、本作はそこまでの自由度はない。ストレートに言ってしまえば、わりと1本道のゲームだ。ただ、それが不満なのかと言えば、そういうわけでもないし、ふつうにおもしろく遊んでいける。むしろ、やめどきがわからなくなる。
というのも、ストーリーが展開していく途中に切れ目的なものがほとんどないからだ。物語が進行するとサブタイトル的なものは表示されるが、べつに章立ての構成でもないし、ミッション選択画面的なものもほぼなし(ゼロではない程度)。メニュー画面などを出さない限り、物語はどんどんと進んでいく。その中でプレイヤブルなアドベンチャーパートになったらウルヴァリンを操作するし、敵が出てきたらバトルをするし……といった具合。感覚的には、マジで映画。

本作には新宿・歌舞伎町をモチーフにした街並みも登場。あくまでもMarvel世界なので、現実に忠実かというとそういう感じでもない。言葉にすると、ジャパリカンくらいの感じ?
もちろん箱庭的な作りがウルヴァリンに合わないというのが大前提なのだろうけれど、『Marvel’s Spider-Man』シリーズにあった自由度を捨てたことによって、“素”に戻るタイミングがなくなった気がするのだ。いい意味で1本道なので、「さて、つぎはどうするかな?」なんて考える余地がなく、だからこそこの世界に没入したままでいられる。仮にバトル中に倒されたとしても、3秒もしないうちに少し手前からリトライできるので、「中断しようかな?」と思う間もなく、気付けばリトライしていたりするのだ。このへんの作りは非常に巧みで、ちょっとやられた感もあった。
パリィの痛快さと、本作最大のバトルシステムの発明
ゲームの根幹となるバトルだが、これも塩梅がいい。歯ごたえがあるけれど、めちゃくちゃ難しいわけではなく、そのバランス感は絶妙なのだ。ただ、以降でバトルを語る際にひとつ謝っておきたいのは、以前の記事で「パリィはそこまで大事じゃないかも」的なことを書いたこと。以前の記事は2時間ほどバトルをプレイしたうえでの感想だったのだが、まったくの誤りである。申し訳ない。ゲームをしっかり遊んだ結果、本作はパリィが超大事なゲームだとわかった。

敵の攻撃をパリィすると、「カキン!」という音とともに派手なエフェクトが出現。攻撃をパリィされた(敵によっては複数回の成功が必要)敵はよろけるので、その隙を突いて攻撃できるという寸法だ。
たとえば、コンボを叩き込んでいる最中に敵の攻撃モーションが見えたとしよう。それに反応してパリィのボタンを押すと、本作はコンボのボタン連打中でも、割り込んでパリィが発動してくれる。だから「周囲の敵の攻撃が怖いから、コンボを控えめにしておこうか」なんてことは考えなくてOK。適当にボタンを連打して攻撃しつつ、敵の攻撃アクションにだけ反応すればいい。結果、敵を攻撃するという爽快感をまったく削ることなく、パリィの気持ちよさもいい感じに引き立てることに成功している。
何なら「これはパリィありきでは?」というバトルになっているボス戦もある。そういう相手とのバトルは、負けても「敵が強かった!」というより「パリィするタイミングをズラされちゃった!」という感覚。だから不思議と「もう1回!」という気持ちになる。相手の動きを覚えれば案外簡単に勝てたりもする。だからこそ、初回プレイ時は攻略記事などを見ることなく、ぜひ敵にやられて「どうすればいいのかな?」と考えてほしいと思った。それも込みで本作の難易度は設計されている感じがするから。

序盤で戦うオメガ・レッド戦。ここでパリィの重要さを学べるようになっている。

育成すると任意で装着できる“アダプテーション”には、パリィ入力受付時間を延長するものもある。これを装着しておけば、より雑な操作でもパリィが発動してくれるのがありがたい。
そして本作最大の発明と言えるのが、ウルヴァリンのヒーリングファクターを表現したラストスタンドだ。ラストスタンドがどういうシステムなのかと言えば、「敵を倒したり、アクションを成功させたりすると溜まるレイジゲージが一定量あれば、体力が尽きても満タンで復活できる」というもの。このシステムのおかげで、体力が減ったときに「もっと攻める」という選択肢が生まれたわけだ。これが、言うなれば猪突猛進タイプのウルヴァリンのパーソナリティーにキチンとマッチしていて、とてもすばらしい。

肋骨や頭蓋骨が見えるくらいの大ダメージを受けて瀕死に。でも、ここから数秒で体力が全快しちゃうのが、ヒーリングファクターのすごいところ!
個人的な感想を言えば、レイジとヒーリングファクターの組み合わせが『Marvel’s Spider-Man』にあったウェブスイングの気持ちよさほどの発明なのかと言われると、ちょっと答えに詰まる。ただ、Marvelヒーローたちのことを死ぬほど考え抜いて、ゲームのメカニクスと合致させた愛のある発明であることは、どちらも変わりがないなと思うのだ。仕上がり具合もかなりいい感じなので、『Marvel’s Spider-Man』が好きだったMarvelファンなら、本作も刺さるはずだ(扱うヒーローの問題で、コメディ的な要素は少し減った気がするけれど)。
昔さんざん聞いたけど、遊べる映画ってこういうことじゃ? とくに筆者はある程度Marvel作品を知っているからこそ、最初の印象は「ヴィラン的なポジションの多いセイヴァートゥースやミスティークがウルヴァリンの仲間なの!?」というインパクトが絶大。ジーン・グレイこそ出てくるものの、おなじの仲間であるサイクロップスやストームは登場しない(ちょっと残念な気持ちもある)。いわゆる映画などでおなじみの『X-MEN』的な環境ではないのだけれど、マルチバース当たり前のアメコミがベースの作品なので「そうでなくちゃ!」といった感じだ。
もちろん、Marvel作品をまったく知らなくても本作は楽しめる。そもそも物語はある程度Marvel作品を把握している筆者にも「どういう世界観なのかな、これ?」と思わせたまま物事が進んでいき、あとでいろいろわかっていくスタイル。なので、Marvel作品初心者の皆さんも同じ気持ちになるはずだ。

誰がどんなキャラクターなのかも、作中でちゃんとチェックできるので、映画などで予習をする必要もない(Marvel作品の知識があるとニヤリとできる部分はあるけれど)。

作中にたびたび登場する“悪夢の試練”というミッションをクリアーすると、ウルヴァリンの失われた過去の記憶が呼び覚まされる。多くは言わないが、ひと通りクリアーして過去の記憶を読んでおくことを推奨する。
そして、Marvel初心者の方にもっとも知っておいてほしいのは、「コミックがベースだし、ヒーローのウルヴァリンが出てきて悪を倒して勧善懲悪ぅ! 的な話なのよね?」という感覚で遊ぶとズレが生じますよ、ということ。わざわざ意識するものでもないけれど、特異な能力を持つ人類“ミュータント”が出てくる本作は、マイノリティーの苦悩など、現代社会にも通じるわりとシリアスな部分も描いていたりする。ある意味、そういうところも大人向け。まあ、これは本作に限らず、Marvel作品全般に言えることなのだけれど。
映画的であることは前述したが、物語のうえで「そうなの!?」と感じてしまうような驚きの作りかたやメリハリの効かせかた、伏線の張りかた、アクションシーンの見せかたなども含め、とてもハリウッド的。個人的に非常に好みのタイプだった。

明言されてはいないが「これはあの映画のオマージュなんじゃないかな?」なんていうシーンもいくつか。映画に詳しい人なら、そういったものがよりわかるかもしれない。
ほかにも語れる要素はあるのだが、発売前にあまり多くの要素を知ってしまうのもナニなので、このあたりに留めておく。とにかくMarvel好きの筆者からすれば、ウルヴァリンの新しい物語をゲームとしてキチンとおもしろい作品にしてくれたInsomniac Gamesの開発陣に「ありがとう!」と言いたい。
そしておもしろかったからこそなのだが、ほかの『X-MEN』系のヒーローやヴィランが作中に登場してほしかったという本音があったりもする。本作発売前にこういうことを言うのは我ながらどうかと思うが、「本作のシステムを使えば、同じヒーリングファクターを持っているデッドプールも主人公にできちゃうんじゃない?」なんて思ったり。そのくらいゲームとしての作りに不満はなく、しっかり楽しめたことを皆さんにお伝えして筆を置きたいと思う。
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