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    「突き詰めて言えば保身」日本公認会計士協会・手塚氏が指摘する上場企業による会計不正の真因

     上場企業による会計不正の公表件数が増加傾向にある。2025年3月期には56社に達した。経営者への業績達成圧力や権限集中などを背景に、不正リスクが高まりつつある。重大なリスクを見落とさず、企業価値の毀損(きそん)を防ぐための内部統制やガバナンスはどうあるべきか。そもそもなぜ不正は起きるのか。日本公認会計士協会相談役の手塚正彦氏が、会計不正の実態や執行側・監督側が果たすべき役割について語った講演の内容を紹介する。

    ※本稿は、JBpress Innovation Review主催の「取締役イノベーションフォーラム」における「特別講演:不正から企業価値を守る~第三者委員会報告書に学ぶ「危ない組織」の特徴と具体的防止策~/日本公認会計士協会相談役、公認会計士 手塚正彦氏」(2026年5月に配信)を基に制作しています。

    会計不正は「他人事」ではない

     上場企業による会計不正の公表件数は増加傾向にあり、2025年3月期には56社に達した。約3900社ある上場企業全体の1.4%に過ぎないが、公表に至っていない事例も数多くあると推測されるという。

     公認会計士として33年にわたり監査に携わってきた手塚氏は、「子会社も含めて会計不正が一件もなかった企業グループは極めて稀」と、自身の経験を踏まえて指摘する。

     一方、監査人がCEOやCFOに不正リスクについて尋ねると、ほとんどが「重大なリスクはない」と答えるという。監督する側は、そうした表面的な回答に安心せず、潜在的なリスクの大きさや変化を継続的に注視する必要がある。

     公表に至るような重大な会計不正は、発生確率が低くても、顕在化すれば企業価値に甚大な負の影響を与える「テールリスク」である。過去には廃業や上場廃止に至った企業があるほか、株価が約3分の1に落ち込んだ事例もある。訴訟、レピュテーション(評判)の毀損(きそん)、人材流出、ビジネスの縮小、第三者委員会の調査費用など、その影響は多岐にわたる。

     それほどの負のリスクがあるにもかかわらず、なぜ不正は起きるのか。手塚氏は、倒産した企業の経営者と対話した経験から「突き詰めて言えば、保身。この意味を執行側も監督側もよく考えていただきたい」と語る。

    不正のトライアングルと「危ない組織」の特徴

     会計不正の原因は、「動機」「機会」「正当化」からなる不正のトライアングルで整理できる。

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