2026年F1第14戦スペインGPで初のF1開催を終えたマドリンクでは、早くもレイアウト変更を求める声が相次いでいる。決勝ではオーバーテイクの機会がほとんど生まれず、ランド・ノリス(マクラーレン)はターン18〜19の撤去を含む具体的な改修案まで示した。
優勝したアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)も、現在のレイアウトでは仕掛けること自体に大きな接触のリスクが伴うと指摘。オリバー・ベアマン(ハース)は、建物などの制約が比較的少ないにもかかわらず、設計上の自由度を十分に生かせていないと失望を示した。
一方、フェラーリのチーム代表を務めるフレデリック・バスールによれば、主催者側も追い抜きの難しさを問題として認識しており、将来的な変更に前向きだという。
ノリス、直線後のヘアピン化で追い抜き改善提案
金曜日のドライバーズ・ブリーフィングではすでに、レイアウト変更が議題に上っていた。決勝を終えたノリスは、改善すべき場所は明確だとの考えを示した。
「明らかに変えるべきところはいくつかある。ターン18と19はなくしてしまえばいい。意味がない。もっとストレートを長くして、その先をヘアピンにすればいい。どうやったらこの設計を見て『最高だ』って思えるのか、僕には分からない」
イギリスの専門誌『Autosport』によると、メディアセンターにいた多くの人が危うく眠りそうになったと指摘すると、ガブリエル・ボルトレート(アウディ)は「僕も危うく寝そうになったよ!」と答えた。
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マドリンク(F1スペインGP)のコースレイアウト図、2026年
ノリスが提案したのは、ターン17から20までをより直線的につなぎ、その先に幅広い進入を持つヘアピンを設ける形だ。サーキット・オブ・ジ・アメリカズのターン1やターン10を例として挙げた。
「もっと幅広い進入にすれば、全員にとってはるかに仕掛けやすくなるし、レースも楽しめるようになる」
一方、ターン5〜7については「ステアリングを切りながらブレーキングしないといけない時点で、レースをするという目的に反していると思う」とし、オーバーテイクを難しくしていると指摘したが、同時にこのセクションの変更は容易ではないだろうとの見方も示した。
仕掛け不可「80%は接触する」とアントネッリ
決勝を制したアントネッリも、レイアウトがドライバーに仕掛けをためらわせているとの見方を示した。
「オーバーテイクのチャンスを生み出していないのは明らかだし、仕掛けようという気にもさせない。80%くらいの確率で接触する可能性があるからね」
ドライバーたちは、予選の1周ではテクニカルなマドリンクを堪能したものの、決勝ではオーバーテイクのチャンスがなく、ただ周回を重ね続けるだけだった。ノリスもその点では評価を分けている。
「予選では素晴らしい。でも僕にとっては、今のところ素晴らしいレーシングコースとは言えない」
それでも、改修によって評価が変わる余地は十分にあると考えている。
「可能性はかなりあると思う。レースに適したコースにできると思うし、こういう変更をしてくれるなら来年ここに戻ってくるのを楽しみにすることができる。走っていて楽しいコースではあるし、素晴らしいレースコースになる可能性はあると思う」
ベアマン、バクーとの比較で「設計不全」を指摘
ベアマンは、建物などによってコースレイアウトが大きく制限される一般的な市街地コースと比べ、マドリンクには設計上の自由度が大きかったことを踏まえて失望を示した。
「オーバーテイクしやすいコースレイアウトを造るのに、天才である必要はないと思う」
Courtesy Of Madring
マドリンクのコースレイアウトとパドックなどの施設配置を示した詳細設計図、2026年F1スペインGP
比較対象として挙げたのが、次戦アゼルバイジャンGPの舞台となるバクー市街地コースだ。
「バクーではそれができているし、向こうの方が周囲の建物による制約はずっと多かった。その意味では少し残念だった。来年はもう少し面白くなってほしい」
マドリンクは市街地コースに分類される一方、多くの区間が専用トラックとして新たに設けられている。ベアマンは、特にターン5から17付近には比較的大きな設計の自由度があったとの認識を示した。
「現地に来てレイアウトを見た時に『僕らに何をさせたいんだ?』って感じだった。少し残念だった。基本的にはターン5からターン17まで、かなり自由に造れたはずだ。その自由度を最大限に生かせたとは思わない」
10年契約のマドリンク、早期改修の可能性
ドライバーから厳しい評価が出る一方、バスールはマドリードでのイベント全体については高く評価した。
「オーバーテイクについては議論の余地があるが、イベント全体としては素晴らしかったと思う。設備もそうだし、街でも非常に温かく迎えてもらった。この部分については公平に評価して、マドリードが成し遂げた仕事を称えるべきだと思う」
また、主催者側は決勝を終えてから初めて一連の問題を認識したわけではないとも強調した。
「彼らは木曜日にも我々のところに来たし、金曜日の夕方にも、オーバーテイクが難しくなると思うかと聞きに来た」
バスールによれば、主催者は今後のレイアウト変更にも「非常に前向き」で、制約が大きいモナコなどと比較すれば、マドリンクは変更できる余地が大きいと指摘した。
マドリンクはF1と10年間の開催契約を結んでいる。初開催となった本大会では、予選での見応えとは対照的に決勝でのオーバーテイクの難しさが露呈したが、主催者側が改修へ前向きな姿勢を見せているだけに、まずは2027年大会に向けて議論がどこまで進むか注目される。
