

ボディはコンパクトに、描画エリアは拡大。手元のWacom Pro Pen 2もそのまま使える新型Wacom Intuos Pro。テレビCM編集の現場でこの新型機を一年使い込んだサンゼさんに、率直な感想を聞いた。
レポート● サンゼ


サンゼ(和田光司)
1987年生まれ、東京在住の映像クリエイター。ポストプロダクションを経て独立し、株式会社リヒトグラフ代表。テレビCMのオフライン編集を軸に、モーショングラフィックスまで手がける。ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS エディター賞受賞。著書に『動画でわかるAfter Effects教室』。YouTubeでAfter Effectsのチュートリアルを発信。note連載「負け筋をほどく」
note: https://note.com/sanze/m/m7d1418eb0fb8
YouTube: https://www.youtube.com/@sanze-studio
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こんにちは、映像クリエイターのサンゼです! YouTubeで公開してるAfter Effectsチュートリアルで僕を知ってくれてる方も多いと思いますが、普段はテレビCMのオフラインエディターをしています。
ペンタブレットの使用歴は業界歴と同じで約20年。新卒で入ったポストプロダクションで、先輩がペンタブを操る姿を見て「いいな」と思ったのがきっかけでした。初任給でIntuos3を買い、4、5、Proと買い替えながら、Premiere ProとAfter Effectsでの編集を支える相棒として使い続けてきました。新型Intuos Proに乗り換えて1年。長期ユーザーとしての正直な実感を書いていきたいと思います。
Wacom Intuos Pro
Wacom Intuos Pro Small PTK470K0C 41,580円
Wacom Intuos Pro Medium PTK670K0C 62,480円
Wacom Intuos Pro Large PTK870K0C 82,280円


映像編集にペンタブという選択
ご存じの方も増えてきたと思うのですが、映像編集とペンタブの相性ってすごくいいんですよ。ペンタブは絶対座標なので最初は難しく感じるかもしれませんが、慣れてくると、画面の中を手で掴んでいるような感覚で作業できるようになります。カットを並べ替えて、キーフレームを打って、マスクを切る。特にAfter Effectsのマスク切りやグラフエディターの調整は、ペンのほうが圧倒的に直感的です。作業が速くなるので、手放せなくなりました。

最薄部わずか4mmのフラットな薄型ボディで。コンパクトになっても描画エリアは拡大し、持ち運びやすさも実現した。
新型に替えて最初に感じたこと
まず、めちゃくちゃいいです。同じMサイズでも、旧モデルよりボディがかなりコンパクトになって、それでいて入力範囲はむしろ広がっている。繊細な操作がしやすくなりました。
そして、何より軽い。僕の仕事は、撮影現場でリアルタイムキャプチャーをしながら仮組みをして、自宅スタジオで仕込み、機材ごと制作会社へ持ち込み、クライアント企業でプレビューと、いくつもの段階を経て進みます。つまり、ペンタブを含む機材一式を持って移動する機会が、とにかく多いんです。
とくにシビアなのがロケです。スタジオ撮影なら機材は一度組んだらそれっきりですが、ロケは場所移動のたびに編集ブースもつど組み直しになります。だから、設営が簡単で身軽なことが、そのまま現場での機動力につながる。今回のモデルは、軽さの一点だけでも買いだと思っています。
マルチモニターとペンタブの操作範囲
よく視聴者さんから質問をもらうのが、マルチモニター時のペンタブ設定です。僕は自宅では2枚のモニターを使っていますが、ペンタブの操作範囲はメインの操作画面だけに割り当てています。サブモニターは資料表示に振っておいて、ペンでは触らない。画面の中を手で掴む感覚は、操作範囲を欲張らないことで保てると思っています。
サブモニター側の操作は、ペンタブを握ったままマウスでやります。ホイールでのスクロールなんかは、マウスのほうが早い。「ペンかマウスか」ではなく、両方を使う。作業によって最適解で考える。道具は使い分けてこそです。もうひとつ、ロケにはモニターを何枚も持ち込めません。自宅のマルチモニター前提に慣れすぎると、現場のシングルモニターでズレを感じる。だから操作範囲はメインモニターで完結させて、自宅と現場の身体感覚を揃えておく。持ち運びやすい新型なら、「いつもの環境」をそのまま現場に持ち出せます。
Wacom Pro Pen 2がそのまま使える安心感
個人的にすごく嬉しかったのが、Pro Pen 2をそのまま使える点です。僕はPro Pen 2に、今は販売終了している木製グリップを付けて愛用しています。木は樹脂と違って、触れたときに冷たくない。使い込むほど手に馴染んでいって、長年握ってきたこの一本には、僕の手の形が染み込んでいる気がします。
それを新しいIntuos Proでもそのまま使い続けられるのは、本当に嬉しいポイントでした。今の描き心地に慣れている方も、安心して移行できるはずです。

サンゼさんが長年愛用するWacom Pro Pen 2も、新型Intuos Proでそのまま使用可能。使い慣れた作業道具、描き心地を保ちながら移行できるのは大きい。一方、新登場のPro Pen 3はサンプリングレートが向上し、ペンの軌跡をより忠実に再現するという。
変わるものと変わらないもの
映像業界は今、AIツールをはじめ技術の進歩が本当に速く、何に投資するべきか迷うときがあります。ただ、迷いなく投資できるのが、入力デバイスのような、人間の体の延長にある道具です。ソフトウェアは時代とともに入れ替わっていきますが、人間の体には、アップデートがありません。手の形も指の動きも、10年前と変わらない。だから、体に直接触れる道具への投資は、一番息の長い投資になる。
多少値段が張っても、ペンタブ、モニター、マウスといった手に触れるものにはこだわったほうがいい。変化の速い時代に、僕がたどり着いた投資の基準です。
これから編集を始める人へ
最後に、これからペンタブの導入を考えている方へ。ペンタブの操作は、自転車に乗るようなものです。最初はけっこう転びます。でも一度乗り方を覚えたら、もう乗れない状態には戻れない。それくらいの必須アイテムです。
新型Intuos Proは軽くて、丈夫で、これまでの資産をそのまま活かせる。長期ユーザーとして自信を持っておすすめできる一台です。画面と手元のシンクロ率を高めてくれるこの相棒と、これからも長く付き合っていくつもりです。




