「これを実現する方法としては、もっとも自然で、もっともシンプルなものです」とクーリーは語った。
それから20年後、DESIによって、ダークエネルギーが実際に時間とともに変化している可能性を示す観測結果がもたらされた。この結果を受け、クーリーはペンシルベニア大学の同僚であるメンシャン・リンとマーク・トロデンとともに、素粒子物理学の基礎理論である量子色力学に相当する理論をダークセクターにも想定し、その相互作用を記述するモデルを構築した。この新しいモデルでは、ダークエネルギーのエネルギー密度とダークマターの質量が連動して変化する。
別の最近の研究でも、同様の可能性が示されている。『Physical Review D』に1月に掲載された論文では、宇宙の過去のある時期に、ダークマターがそのエネルギーのごく一部をダークエネルギーへと移した可能性が示されている。
「ダークマターは宇宙の膨張に対する主なブレーキ役です」と、著者のひとりであるフランスのモンペリエ大学の宇宙物理学者エルサ・テイシェイラは語る。そのブレーキを緩めることで宇宙の膨張が加速したと考えられる。
一方、フランス国立科学研究センター(CNRS)の物理学者ダヴィッド・アンドリオは、ファントム・エネルギーのような振る舞いが現れるのは、基本的には物理的な変化というより、計算上の帳尻合わせにすぎないと語る。「ダークマターの質量の変化や進化はすべて、ダークエネルギーという箱に入れられてきたのです」と、2025年5月にダークエネルギーとダークマターの結合をめぐる独自のモデルを発表したアンドリオは語る。
ハーバード大学の物理学者カムラン・ヴァッファもこれに同意する。「ダークマターとは無関係にダークエネルギーを計算できるという考え方は間違っています。宇宙論研究者がしばしば置き、DESIチームも採用したその前提こそが、物理的に受け入れがたいファントム・エネルギーという結論を導いてしまったのです」とヴァッファは語る。

フランスのモンペリエ大学の宇宙論学者、エルサ・テイシェイラは、ダークエネルギーとダークマターが相互作用する宇宙論モデルを研究した。
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ダークエネルギーとダークマターの関連性を考えるべき理由は、DESIの発見以外にもある。テイシェイラらの最近の研究は、両者の相互作用を考慮することで、少なくとも一部のシナリオでは、宇宙論における最も根強い問題のひとつである「ハッブルテンション」、つまり「ハッブル定数」を巡る観測値の食い違いを緩和しうることを示している。
現在の宇宙の膨張率を示すハッブル定数だが、その値は、宇宙初期の膨張の様子を伝える光から求めることができる。また、超新星と呼ばれる星の爆発など、現在の宇宙の状態を示す比較的新しい現象を利用して測定することもできる。宇宙論の標準モデルによると、その膨張率はどのように測定しても同じになるはずだ。しかし近年、初期宇宙の膨張率とより最近の宇宙の膨張率には、約9%の食い違いがあることが判明している。
テイシェイラと共同著者たちは、この食い違いについて「系統誤差によるものなのか、それとも新たな物理学の兆候なのかを巡って、宇宙論コミュニティ内で激しい議論が巻き起こっています」と記している。このモデルでは、ダークエネルギーとダークマターが相互作用する場合、異なる膨張率によるこの食い違いは、危機的な問題ではなく、むしろ自然に生じるものとして説明できる。
弦理論と暗黒次元
ダークエネルギーとダークマターが実際に影響を及ぼし合っているのであれば、ふたつが共通の起源をもっていることを意味する可能性があるとクーリーは語る。
