1977年式GTX-Eのフルオリジナル! MK63キャリパーと14インチアルミのみで走らせる
改造されたスカイラインが当たり前になったなかで、ノーマルのまま30年以上を過ごしてきた個体がある。日産「スカイライン(C110)」、通称ケンメリの2ドアハードトップだ。1977年式のGTX-Eで、外装の塗り直し以外はほぼ新車時のまま。オーナーが手を入れたのはブレーキとホイールだけだという。その維持の考え方を聞いた。
濃いグリーンのボディに「栃木54」ナンバー、ノーマルを保つケンメリの2ドアハードトップ
スカイラインがチューニングの定番になった理由は、2代目までさかのぼる。フロントノーズを延長して6気筒エンジンを搭載したGTが加わり、若者の乗るスポーツカーとしての人気を決定づけた。以降、歴代モデルは手を加えられることを前提に扱われ、今でもエンジンやボディのカスタムはポピュラーな存在である。
そうなってくると、改造を受けずにノーマルのまま残っている車両のほうが貴重になる。とくにトップグレードやマニュアルシフト車を中心に、状態の良い無改造車は年々見つけにくくなっている。栃木県で開かれたスカイラインノーマルフェンダー保存会の会場には、そんなノーマル車両が数多く集まっていた。今回取材したのは、その中でもオリジナルをキープしているケンメリの2ドアハードトップだ。あまり見かけることのない濃いグリーンという渋いボディカラーで、「栃木54」という古い分類番号のナンバープレートを掲げている。オーナーの山本さんに、ノーマルのまま乗り続けてきた経緯を聞いた。

1994年に23歳で購入した1977年式GTX-E、レースカバーも新車から残る
この個体は、山本さんが自分で買った最初のクルマである。
「このクルマは自分で購入した初めてのクルマで、1994年、23歳の時に購入しました。前オーナーは普通に乗っていた方だったみたいなんですが、かなりこのクルマを大切にしていたようで、丁寧に乗っていたことがわかる良い状態でした。ボディの外側のみ一度純正色でリペイントしていますが、基本的にフルオリジナルで、助手席とリアシートのレースカバーもおそらく新車から装着されていたものです」
年式は1977年、グレードはGTX-Eで、ケンメリの最終年式にあたる。GTX-Eは1975年9月に追加されたグレードで、キャブレターに代えて電子制御燃料噴射のEGIを組み合わせたL20E型を積み、排出ガス規制に適合させたモデルである。山本さんもインジェクション車ゆえに、エンジンのチューニングには手を出さなかった。

ちなみに「栃木54」というナンバーは、1995年に2年車検となった際に取得したものだそうだ。1995年の道路運送車両法の改正までは、車齢が11年を超えた自家用乗用車は毎年車検を受ける必要があり、改正を機にナンバーを取り直した個体は少なくない。
改造は対向4ポットのMK63キャリパーと14インチ純正オプションホイールのみ
GTX-Eは当時の最上級グレードということもあって、内装も豪華である。ウッドパネルのダッシュボードにウッドステアリング、パワーウインドーを備え、さらにこの個体はクーラーも装着している。
山本さんはもともとケンメリのこのスタイルが気に入っており、基本的にノーマルのまま乗ってきた。唯一の変更点はブレーキで、ストッピングパワーを強化するため、ローターはそのままに対向4ポットのMK63型キャリパーへ交換している。足まわりは購入当初、純正のスチールホイールが備わっていた。のちに当時の14インチ純正オプションホイールを手に入れ、これに履き替えている。

「2ドアハードトップとしてはかなり状態も良いし、ここまでオリジナルだと何もいじる必要もないので、今後も何もする気はありません。今はこのクルマのために建てたビルトインガレージに保管しているので、この状態を長くキープできると思います」
手を入れないという選択も、クルマとの付き合い方のひとつである。山本さんは23歳で出会った1台を30年以上そのままの姿で預かり、前オーナーが積み上げてきた状態を次へつなごうとしている。ビルトインガレージの中で静かに時を重ねるケンメリは、走らせるためだけでなく、残すために手を尽くされてきた1台なのである。
