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    インタビューに応じたチョン・ノミン(撮影・井利 萌弥)
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     「善徳女王」や「結婚作詞 離婚作曲」シリーズなど、数々の韓国ドラマで存在感を放つ俳優、チョン・ノミン(60)が10月3日、東京・渋谷のアンジェパティオで、日本で初となる単独ファンミーティングを開催する。実は50回以上も来日しているという筋金入りの日本通。日本のファンへの特別な思いや、俳優としての活動を広げる意欲を語ってくれた。(井利 萌弥)

     32歳で遅咲きの俳優デビューを果たしたチョン・ノミンだが、それ以前の会社員時代も含めると、来日回数は優に50回を超える。「レンタカーを借りて一人であちこち運転しては、地元の人たちが集まるお店を探してふらっと入っています。築地市場にお気に入りのウニ丼の店があって、そこは移転先まで自分で調べて追いかけて行きました。少しお高いですが、本当においしい。こうして話しているだけでも、また食べたくなってきますね」と目元を和ませる。

     すっかり日本のグルメに魅了されているようだが、それ以上に感心しているのが、人々の秩序や配慮。「車が多いのに、皆さん整然と秩序を守っています。そして、行き過ぎなくらい“すみません”や“ありがとう”を口にする。他人に対する配慮が、とても深いのだと思います。その影響か、私も日本人と会うと、知らず知らずのうちに“あ、すみません、ありがとう”と頭を下げてしまうんです」と笑う。

     そんなチョン・ノミンを俳優として国外で初めて受け入れたのも日本のファンだった。「2009年に初めて空港に降り立ったとき、女性の方々が集まっていて、知っている素振りをしてくれていたんです。ホテルに着いてからも夢見心地でした」と、当時の喜びを今も鮮明に覚えている。「そのときに好きになってくれた方々は、今でもずっと応援してくれています。今年1月にハワイに行って、服屋さんに入ったら、日本人の方が一人走って来て、抱きしめられました。“自分が一番好きな俳優が来た!”と大喜びでした。日本のファンの方々は、ずっと付いてきてくれるんだということを肌で感じて、とてもありがたいです」。

     日本のファンに対する感謝の念は、並々ならぬものがある。かつて、自身の誕生日にファンが韓国を訪れ、本人が不在のなかファン同士で誕生日会を開いているのをSNSで見かけたという。チョン・ノミンは「わざわざ来てくれたのに申し訳なかった」と、自らファンの元に赴き食事を共にした。そんな飾らないサービス精神の持ち主だからこそ、TikTokのフォロワーも半数以上を日本人が占めている。

     日本の映像作品にも造詣が深く、「ハリウッド作品よりも多く観ている」というチョン・ノミン。とりわけ「いつか自分でも演劇の演出を手掛けてみたい」と熱望するきっかけとなったのが、「ワンダフルライフ」「そして父になる」「万引き家族」といった是枝裕和監督の作品だ。「ただただ日常の中で、人々が静かに生きている姿をありのままに切り取っている。是枝監督がどんな精神世界を持って作品を撮っているのか、非常に興味があります。もしオファーをいただけるなら、喜んでその演出の下で演技をしたいです」と、少年のような笑顔を見せる。

     さらに、日本と韓国の表現における「決定的な違い」についても独自の考察を明かした。「韓国の作品は、怒りや悲しみといった感情を外に向けて思い切り発散し、爆発させることでストーリーを動かします。しかし日本の作品は、他者への配慮や“迷惑をかけたくない”という想いから、感情を内にぐっと抑え込みますよね。どちらが良い悪いではなく、その我慢する情緒の中にこそ、日本ならではの繊細な演技の美しさがある。僕自身も、いつかそんな日本の情緒的な感情表現を用いた演出に挑戦してみたいです」。

     お互いに思いやり、長く続く日本のファンとの関係を「友達のよう」と愛おしそうに語るチョン・ノミン。10月に開催される待望の日本初ファンミーティングは、彼にとって「お隣の近所に遊びに来て、大切な友人に会うような温かい時間」。大好きなファン、そして日本の文化や情緒と、表現者としてさらに深くつながるための特別な一日になりそうだ。

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