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    Beats 360 オーバーイヤーヘッドフォン。価格は59,800円

    Beatsが新しいオーバーヘッドタイプのヘッドフォンを発売する。名前は「Beats 360」。カジュアルな利用を軸にした製品である。

    この製品にはデザインと機能の両方で大きな特徴がある。評価機材の提供も受けているので、音質・使い勝手を含めてお伝えしたい。

    イヤーパッドなどの交換で個性を演出

    まず、本製品の特徴から説明しよう。

    写真でわかるように、Beats 360はカラーリングを重視し、ファッション性を突き詰めた製品だ。

    正式名称は「Beats 360 オーバーイヤーヘッドフォン」。価格は59,800円(税込)で、9月22日よりApple.comで予約を開始し、店頭では9月24日から発売する。

    本体カラーはブラック・クラウド・ピンク・スカイの4色。Bluetooth 5.3に対応し、対応コーデックはAAC・SBC。アクティブノイズキャンセル(ANC)機能を搭載。iPhoneをはじめとしたアップル製品に加え、Androidのエコシステムにも対応する。また、Beatsのオーバーイヤーヘッドフォンとしては初めて、IPX4等級の耐汗耐水性能を備える。

    4つの基本色を準備。写真に写っているのはピンクとスカイピンクの本体スカイの本体ブラックの本体

    ANCとパーソナライズされた空間オーディオをオンにした場合、最大32時間の再生が可能。高速充電機能も備えており、5分間の充電で最大1時間の音楽再生ができる。

    最大の特徴は、イヤーパッドとヘッドバンドクッションを自由に変更できることだ。本体カラーと同じ色のものが付属するが、それに加え、Performance Knitクッションキットと、UltraPlushクッションキットが販売される。

    本体に付属するPerformance Knitクッションは、スポンジ系のクッションとニット素材を採用。36本の高強度マイクロファイバーをダイヤモンドニット構造で織り、通気性と軽やかな着け心地を重視している。

    別売のPerformance Knitクッションキットは、ブラック・クラウド・ピンク・スカイ・ネイビー・ボルトの6色展開で8,900円。

    UltraPlushクッションキットはBeats Studio ProやBeats Solo 4と同じ素材のレザーを採用し、ブラックとクラウドの2色展開で、価格は同じく8,900円。

    クッションは簡単に付け替えができる。別売があるということは、組み合わせも自由だということだ。

    クッションを付け替えてみたあらゆる場所で「ファッション」になったオーバーヘッド型のニーズに対応

    アップルのハードウェアエンジニアリングおよびオペレーション担当バイスプレジデントであるマシュー・コステロ氏は、Beats 360が「オーバーイヤータイプのヘッドフォンの使われ方が大きく変化してきたために生まれた製品だ」と説明する。

    アップルのハードウェアエンジニアリングおよびオペレーション担当バイスプレジデントであるマシュー・コステロ氏

    Beats Electronicsは2014年にアップルに買収され、現在はアップルの子会社だ。コステロ氏はアップルによる買収以前からBeats Electronicsで最高執行責任者(COO)を務めていた、Beatsのキーパーソンの1人である。

    コステロ氏(以下敬称略):Beats Studioをはじめとする製品は消費者の支持を受け、3000万台以上が販売されました。そのなかで見えてきたのは、ヘッドフォンの使われ方の変化です。

    オーバーヘッド型のヘッドフォンは、スタジオで音楽をつくったり、部屋で音楽を聴いたり、飛行機で移動中に使ったりするものでした。しかし今は、もっとアクティブな使われ方をしています。大きなヘッドフォンをつけて、ジョギングやフィットネスなどの活動をすることはない……と思われていましたが、今は全く違います。

    そこで、コンシューマエレクトロニクスの視点からは一歩引いて考えることにしました。

    フットウェアには色々な組み合わせがあります。そして、軽くて足にフィットして、動き回っても苦にならない。その上で、個性をコーディネイトできます。

    だとすれば、オーバーヘッド型のヘッドフォンでも同じようなものが必要。だからこそ、最初からライフスタイルニーズを重視して開発しました。

    こうした発想から、イヤーパッドなどを交換できる構成が生まれた。すでにいくつかのヘッドフォンでは、公式の形ではないものの、別売・別カラーのイヤーパッドをつけている人もいる。アップルの「AirPods Max」ではそうした姿も見かける。

    その上で、最初から「交換」を前提にしたのがBeats 360だ。フィットネスなどで汗がついても、すぐに交換して洗える。(洗う場合には、洗濯機も使えるが手洗いを推奨)

    シーンによって求められる色合いも変わるので、服や帽子を変えるように組み合わせも変えていける。

    複数のイヤーパッドを気軽に用意できるからこそ、シーンに合わせて変更するというスタイルが採れるのだ。

    筆者もつけてみた。バンドを含めてかなりカジュアルだ

    なお、イヤーパッド自体は樹脂のロックで留める構造で、特に複雑なわけではない。アクセサリーメーカーなどが「独自のイヤーパッド」を作ることも可能だろう。

    コステロ氏は「他社からも出てくるようなことがあれば、面白い現象と言えます。少なくとも、弊社の側で止めることはしません」とコメントしている。

    実は「完全ワイヤレス」に近い構造。チップもiOS/Android両対応のオリジナル

    今回の製品は、デザイン変更だけが注目点ではない。正確にいえば「デザインを変え、使い心地を変えるために技術面でも大きな変更をした」というべきだろう。

    Beats 360は、見ての通りオーバーヘッド型のワイヤレスヘッドフォンだ。だが実は「完全ワイヤレス型ヘッドフォンの親戚」でもある。

    上にバンドがついているが、非常に細いことにお気づきだろうか。実はここには「電源」しか通っていない。音声自体は完全ワイヤレスイヤフォン(TWS)と同じく、左右の耳にワイヤレスで伝送されているのだ。電源だけ残した理由は、左右別々に充電するのが面倒であることと、頭頂部で支える必要があるからだ。

    バンド部。内部には電源しか入っていないのでかなり細い

    イヤーパッドは簡単な機構で留まっていると説明したが、その背後では相応に高度な技術が使われている。

    本来、イヤーパッドの材質が変わると、ヘッドフォンの音やノイズキャンセルの効き具合は大幅に変わってしまうものだ。

    詳細な感想はのちほど述べるが、Beatsはその違いを最小限にとどめた。そのために同社は、イヤーパッドの違いによる音響の差を計測し、自動的にチューニングする仕組みを内蔵したのだ。また、イヤーパッドを取り付けると、そのことをBeats 360自身が認識し、接続音のようなものが鳴る。

    9つのMEMSマイクを搭載し、そのうち8つをANCに利用しているという。結果としてANCは、Beatsのフラッグシップである「Beats Studio Pro」の1.75倍の性能になり、同社製品としては過去最高性能になった。

    また、コントロール用のチップは、Beatsが独自開発した「第4世代チップ」になったという。アップルのH2ではなく、Beats独自のものだ。結果として、アップル製品同士の連携はもちろん、Androidのエコシステムでも使える。Fast PairやFind Hubなど、Androidのエコシステム内で使える機能にも対応した。この点は、アップル製品との差別化点でもある。

    こうした部分は重要だが、あくまで表に出るのは「スタイル」だ。イヤーパッドが変更できること、カジュアルにつけられることが主軸であり、それを支える形で技術開発が行われているわけだ。

    実機で評価。有線接続はできず「カジュアル路線」

    といったところで、今度は評価機材を使ってチェックしていこう。

    紹介してきたように、ボディはシンプルでカジュアルだ。折りたたんで小さくすることはできないが、バンドは細く、あまり邪魔にならない。バンドを折りたためないのは、カバンにしまってしまうより、カバンにかけて外に出しておいて欲しいからかもしれない。

    色が「クラウド」の本体

    手元には本体(クラウド)の他、ニットの「ネイビー」と、UltraPlushの「ブラック」のクッションキットがある。

    ニットのイヤーパッドのうち「ネイビー」クラウドの本体とネイビーのパッドの組み合わせUltraPlushの「ブラック」クラウドの本体とUltraPlush・ブラックの組み合わせ

    取り外し・取り付けは簡単だ。イヤーパッドは90度回すだけだし、ヘッドバンドクッションは下に引っ張るだけ。ヘッドバンドクッションを初めて取り外す時にはちょっとドキドキするが、折れるほど力をかけなくても外れる。

    イヤーパッドを外したところ

    まずは全体の音質から説明しよう。

    フラッグシップではないので、ハイエンドの超高音質、というわけではない。輪郭は少し眠い印象だ。だが、これが「左右にもワイヤレスで音を伝送している」完全ワイヤレス型に近いものだと思えば、「なるほどこんな感じか」と納得できる。悪い音ではなく、「完全ワイヤレス型のヘッドフォンを、大きなスピーカーで鳴らすオーバーヘッド型にしたらこうなるのか」という納得感がある。少なくとも、イヤフォンよりは明瞭で開放感のある音だ。

    また完全ワイヤレス型なので、有線接続して音を聞くことはできない。

    こうした点を考えると、そもそもがかなりカジュアルな使い方を想定したものであることがわかる。

    ANCの効きはかなりいい。まだ飛行機内では試せていないが、屋外・駅・オフィスの中などでは十分な効果がある。他社製品と比較しても、見劣りはしていない。

    つけた時の側圧は若干高いが、イヤーパッドの柔らかさでカバーしている印象が強い。特に、ニットのイヤーパッドの着け心地が良い。汚れてもすぐに洗えそうなところがありがたい。

    Beatsは、イヤーパッドを別素材にしても同じ聴感が維持される、としている。確かに「同じ方向性の聴感」だ。細かく言えばイコールではなく、UltraPlushの方が若干開放感が弱い。個人的にはニットの方が好ましい音質に思えた。だがこれも、屋外でANCを効かせて聴いているなら、気になるような違いではない。本当に小さな差だ。

    時にはケーブルでつないで落ち着いて……というような層にはおすすめしない。だが、すべての音楽再生がワイヤレスであり、カジュアルに使うことを前提とするなら、かなり満足度は高いのではないかと感じる。まさに、Beatsが狙った通りの音であり、作りである。

    今後もハイエンドである「Beats Studio Pro」などは併売される。ただし、Beats Studio Proは、アップル公式サイトおよびApple Store直営店での価格を49,800円に改定するという。USBケーブルによるロスレスオーディオ対応が必要なら、Beats Studio Proを選ぶべきだ

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