
カメラを向けるといつも笑顔をサービスしてくれた阪神・岩貞。本当にお疲れ様でした(撮影・遠藤 礼)
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阪神の岩貞祐太投手(35)が今季限りで現役を引退することが27日、分かった。13年のドラフト1位で入団し3年目の16年には先発で初の2桁勝利をマーク。20年からは中継ぎに転向し23年、25年の2度のリーグ優勝にも貢献した。ただ、近年は左肘などの故障もあって状態が上がらず今季も左肩痛を発症。4月を最後に1軍での登板はなかった。それでも、「良くなるきっかけを毎日探していた」と2軍でも向上心を胸に汗を流してきた左腕。入団時から取材を続ける本紙の遠藤礼記者は決断までの日々を追っていた。
9月5日が誕生日の岩貞には日頃の取材の御礼も込めて毎年プレゼントを渡してきた。古着好きの左腕にはこれまでTシャツが多かったが、今年は“ネタ切れ”もあって1950年代のビンテージのバンダナを手渡した。「今、バンダナ来てる(流行ってる)んですよね?最高」と感激してくれて嬉しかった一方、去り際に「来年の誕生日はどうなってますかね~」と冗談交じりでも意味深な発言が少し引っかかった。
9月中旬、ファームの残留練習を終えた岩貞と立ち話になった。「このトレーニングをやれば体の動きが良くなっていたトレーニングをしても動きが戻らない。逆に疲労が溜まったりもする」。言葉と表情にはもどかしさがにじんだ。続けて「今年、1軍でアウト2個しか取れてないんで。自分の現状の力は分かっています。今の1軍のブルペンを見ても自分のポジションがあるかって言われるとね…」と口に。明確に引退を意識しているのだと感じた。
昨季は29試合に登板し防御率2・12。2試合登板だった24年から復調も「あと数年できるか、ここで終わるか」と覚悟を胸にシーズンインした。「開幕から感覚は良くて、これで気温が上がっていけば球速も140キロ後半ぐらいになると思ってる時に肩を痛めて」。誤算は5月に発症した左肩痛で、約2カ月マウンドから遠ざかった。「1週間ぐらいで戻れるかなっていうのが長引いて。その間に1軍のブルペンもバチッと固まってきて、自分がこれをやれば上のピースにはまれるなっていうビジョンもなかなか見えづらいものになってしまった」。
決断したのは26日。その日も練習では育成右腕の松原とキャッチボールをして助言を授け、若手に交じって坂道ダッシュに取り組んだ。「自分はずっと、練習は“きっかけ作り”と思ってやってきたんです。キャッチボールで“この感覚になればこうなるな、こう使えるな”っていうのを積み重ねでずっとやってきました。結果が出なかったシーズンだったんですけど、今年もいくつも新しい感覚とかそういう発見とかはあったので。辞める年ですけど最後まで続けてこられて良かったかなと思います」。
最後に「後悔や悔いはあったか?」と聞いた。「(同じ大卒でドラフト同期入団の)ウメ(梅野)とザキ(岩崎)より先に辞めるのは後悔というか悔しいというか。ただ自分がやってきたことに対して後悔はないです」。私に残ったのは、少々の切なさとそれを包み込んで余りある35歳のすがすがしさだった。
(大阪総合コンテンツ部・遠藤 礼)
