2026年9月
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    松岡美術館(東京都港区)で、「粧い眠る 秋と冬の日本画名品選」が10月27日から開催されます。

    松岡美術館の建つ場所にはもともと創立者 松岡清次郎が住んでいた日本家屋が建っていました。清次郎の日々の愉しみの一つが、自邸の庭や隣接する自然教育園に季節の鳥が飛来する様子や草木の変化をゆったり眺めることでした。

    本展では、松岡美術館の日本画コレクションを中心に、金風が吹き紅葉によって鮮やかに彩られる秋の風景、雪に覆われる山岳風景や厳しい寒さの中でも彩りを失わない松や竹など、秋冬の季節感溢れる絵画の名品を展観し、季節ならではの自然の美が体感できます。また、会期中「百花精彩 明から清までの中国陶磁」「いにしえのエトルリア 小企画展」も同時開催されます。

    「粧い眠る 秋と冬の日本画名品選」
    同時開催 百花精彩 明から清までの中国陶磁
    《通年企画》いにしえのエトルリア 小企画展

    会場:松岡美術館(東京都港区白金台5-12-6)

    会期:2026年10月27日(火)~2027年2月7日(日)
    【前期 10/27(火)~12/13(日)、後期 12/15(火)~2027/2/7(日)】
    ※前期・後期で絵画作品の一部展示替えがございます。
    ※通年企画は2/25(水)~2027/2/7(日)

    開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)

    休館日:毎週月曜日(祝日の場合は翌平日)、年末年始(12/28~2027/1/4)

    観覧料:一般1,400円/25歳以下700円/高校生以下無料
    ※障がい者手帳をお持ちの方と介助者1名まで上記料金の半額

    アクセス:
    東京メトロ南北線・都営三田線「白金台駅」1番出口より徒歩7分
    JR山手線・都営浅草線「五反田駅」より都営バス「白金台駅前」下車徒歩6分

    詳細は、松岡美術館公式サイトまで。

    「粧い眠る 秋と冬の日本画名品選」見どころ:江戸から昭和まで秋と冬の日本画の名品を一堂に展観
    寺崎廣業《春海雪中松図》 1914(大正3)年 後期展示

    山粧う、山眠るという季語があります。これは北宋の画家郭熙の「山水訓」にある「秋山明浄にして粧うが如く、冬山惨淡として眠るが如し(秋の山は空気が澄み切って明るく、紅葉で色づき着飾っているようである、冬の山はぼんやりと薄暗く眠っているようである)」に拠るとされます。本展ではこの言葉を引用し「粧い眠る」と銘打ち、秋と冬の日本画の名品が披露されます。

    秋のパートでは、メインビジュアルの華やかな紅葉見物の情景を描いた池田輝方《紅葉狩》をはじめ、伊藤小坡による《秋の夕》《歯黒め》といった秋の風情が漂う美人画、酒井抱一《月兎》、円山応挙《栗小禽図》、大山忠作《秋鯉》など江戸から昭和の作家による秋の花鳥画等が展示されます。

    酒井抱一《月兎》 江戸時代 前期展示
    川端龍子《安息》 1919(大正8)年 後期展示

    冬のパートでは狩野常信《富士三穂図》や木村武山《寒林富岳》、寺崎廣業《春海雪中松図》など、様々な雪景色を描いた作品、橋本雅邦《松竹梅七福神図》など松竹梅の歳寒三友を描いた縁起の良い作品が出陳されます。

    橋本雅邦《松竹梅七福神図》 1900~1901(明治33~34)年頃 後期展示
    木村武山《寒林富岳》 前期展示
    特に注目したい作品「池田輝方《紅葉狩》」
    池田輝方《紅葉狩》 1912(明治45)年頃 後期展示

    《紅葉狩》は当時おしどり画家として知られていた、池田蕉園・輝方の合作の六曲一双屏風のうち、夫輝方が描いた左隻にあたります。舞台は、幔幕の張られた紅葉の名所。供連れの洒落た若衆と、すれ違いざま思わず彼を注視する良家の女性たちとの情景が、見ごろを迎えた紅葉の下に華やいだ気分で描かれています。紅葉に若衆、着飾った女性たち、という取り合わせは、能楽や歌舞伎の題材にもなった、戸隠山の鬼女伝説を彷彿とさせます。まるで芝居の一場面かのような画面構成で、芝居好きの輝方らしさが垣間見える作品です。

    同時開催「百花精彩 明から清までの中国陶磁」(展示室4)

    本展では、景徳鎮窯で宮廷用に生産された官器を中心に、松岡美術館のコレクションを代表する《青花龍唐草文天球瓶》をはじめ中国明清陶磁の名品が展示されます。明時代は、潤いのある白磁に青藍色の伸びやかな文様が映える青花に加え、多色の釉薬で上絵付けしたカラフルな五彩が誕生し、中国陶磁を華やかに彩りました。

    さらに清時代には、技巧を凝らした完成度の高い製品が生み出され、なかでも西洋の技術を取り入れた粉彩は、まるで絵画のような繊細な色彩表現をもたらしました。花畑に咲き誇る色とりどりの百花のように、多彩な技法を駆使した華麗な品々を心ゆくまで楽しんでみてはいかがでしょうか。

    青花龍唐草文天球瓶 明時代 永楽期 景徳鎮窯
    黄地青花梔子文盤 明時代 「正徳年製」銘 景徳鎮窯
    豆彩龍鳳文大盤 清時代 「大清雍正年製」銘 景徳鎮窯
    展覧会の見どころ:溢れ出る色彩

    明清時代には、何色もの色を使って文様を描く絵付け磁器が花開きました。特に清時代に誕生したヨーロッパの七宝の技術を応用した粉彩は、鉛ガラスに砒素を加えた不透明な白色顔料を基にする新しい技術で、グラデーションや色味の微細な調整により写実的に表現できるようになりました。

    紅地粉彩花卉文扁壺 清時代 「大清乾隆年製」銘 景徳鎮窯

    白磁の円窓に咲き誇る花々は、まるで一幅の絵画のようです。牡丹の淡いピンク色の花弁は、粉彩技法で初めて可能になった白色を用いて、花芯から徐々に淡く白くなるよう丁寧に彩色されています。《紅地粉彩花卉文扁壺》に描かれた白木蓮、海棠、牡丹の組み合わせは「玉堂富貴」と呼ばれる高い官位や富裕を願う吉祥図。周囲の紅地部分にも、幸福や長寿を象徴する文様が乾隆時代らしい西洋風な唐草文とともにカラフルにちりばめられています。宮殿を飾るにふさわしい、優美でありながら吉祥性に満ちた作品です。

    《通年企画》いにしえのエトルリア 小企画展(展示室1)

    展示室1では、通年企画として小企画展「いにしえのエトルリア」が開催されています。また、展示室1・2・3およびロビーでは常設展示を展開。古代オリエント美術をはじめ、古代ギリシア・ローマ彫刻、ガンダーラ・インド彫刻、さらにブールデル、ヘンリー・ムア、エミリオ・グレコらによるヨーロッパ近現代彫刻も愉しむことができます。

    本展は、季節の移ろいを繊細に捉えた日本画と、絢爛たる中国陶磁の美が一堂に会する贅沢な展示内容となっています。創立者・松岡清次郎が愛した自然の情景に思いを馳せながら、秋から冬へと表情を変える名品たちの静かな吐息に耳を澄ませてみてはいかがでしょうか。(美術展ナビ)

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