
ヤナギクラゲ属のプロカミアシーネットルは繁殖力が強く、沿岸を埋め尽くすことがある。人間活動が一因の海洋環境の変化によって、こうしたクラゲの大量発生の頻度は高まっている。(PHOTOGRAPH BY KARL MANCINI)
世界中の海岸に、これまで見たことのないほど大量のクラゲが押し寄せている。漁がさかんなタイでは、この動物を広く世界の食卓に届けようと取り組みが進む。
タイ中央部にあるサムットソンクラーム県は、メークローン川がタイ湾に注ぐ河口に位置する。
ある蒸し暑い日、同県にある水産加工会社の工場を、経営者のワンリー・ムエンソワットが見て回っていた。そこには容器がいくつも並んでいて、中に乾燥して平べったくなったクラゲがいっぱい入れられている。彼女の工場には、タイ湾やアンダマン海の沿岸で捕獲されたクラゲが毎年1000トンほども運び込まれ、加工された後に出荷されていく。このチョークディー水産加工会社をムエンソワットが立ち上げたのは20年ほど前のことで、当初はビジネスがうまくいくか不安だったという。しかし、食用クラゲには市場があり、特に中国では細切りにしたものを味付けした冷菜が好まれ、クラゲの需要が大きいことを彼女は知っていた。会社の設立以来、中国では中間所得層が急成長し、さらに韓国や日本でも食の多様化が進むなかで、ムエンソワットはクラゲの需要が右肩上がりに増加するのを目の当たりにしてきた。

タイ南部のソンクラー県の海岸で、作業員が水揚げされたクラゲから毒のある触手を取り除く。アジアの一部ではクラゲが食用にされていて、タイでも古くからクラゲ漁が行われてきた。(PHOTOGRAPH BY KARL MANCINI)
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