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    OECD比較で浮き彫りになる異質さ、中教審「多様性の包摂」をどう実現するか

    多喜 弘文

    多喜 弘文
    東京大学大学院教育学研究科准教授

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    2026.10.3(土)

    東京・霞が関の文部科学省(写真:共同通信社)

     次期学習指導要領に向けた中央教育審議会の論点整理は、「多様性の包摂」を三つの柱の一つに掲げている。そこで想定されているのは、多様な個性や背景をもつ子どもを教育課程の内側に包み込むことであり、その一環として、子ども本人が選べない初期条件によって学力を含む教育成果に差が生じる「教育格差」(松岡2019)への配慮もあげられている。

     本記事では、このうち教育格差に軸足を置き、日本の高等教育とジェンダーの結びつきを例に、「多様性の包摂」との接点を時代背景と国際比較から整理する。

     日本では、短大や専門学校まで含めた高等教育全体への進学率は、いまや男性より女性の方が高い。ところが四年制大学だけを取り出すと、依然として男性の方が高い。産業先進国を見渡しても、日本のように大学進学率において明確に女性が男性を下回る国はほとんどない。なぜこうした状況が生じ、それはどのような意味で「不平等」なのか。これが本記事の問いである。

    誤解の多い「高等教育」とは何か?

    「高等教育」は、高校を意味する「高等学校」と混同されるなど、誤解の多い用語である。学術的にも法的にも単一の定義はおそらくないが、「初等教育(小学校)」「中等教育(中学校・高校)」の後にくる教育段階であり、それらより専門性の高い内容を扱う教育段階を指す。

     日本でこれに該当するのは、まず量的・制度的に中核を占める四年制大学(大学)である。これに加えて、高校卒業を入学要件とする短大(短期大学)、中学校卒業後に入学する5年制の高専(高等専門学校)がある。さらに、学校教育法第1条に定める1条校ではないため中等後教育機関と呼ばれることもあるが、専門学校(専修学校専門課程)も現在では高等教育に含められることが多い。高等教育段階の修業年限が大学より短いこれら3機関を、本稿では「短期高等教育」と呼ぶ。

    大学進学率は男性61%、女性56%

     図1を教育機関ごとにみていこう。よく知られているとおり、大学への進学率は2025年度で男性61%、女性56%であり、1990年代以降その差は急速に縮まっている。

     一方、短期高等教育のうち短大と高専には極端な男女の偏りがある(機関ごとに縦軸の目盛りが異なることに注意)。短大は1990年代半ばのピーク時に女性の約25%が進学したが、同時期の男性は2%程度である。1962年に制度化された高専は、工学系の技術者の養成機関として評価が高いが、進学者のほとんどが男性で、その男性でも進学率は1%台にとどまる。1976年発足の専門学校は女性の方が一貫して多いものの、偏りは短大や高専ほどではない。

    図1 男女別の高等教育進学率(文部科学省「学校基本調査」各年版より筆者作成)

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