町田樹に聞くフィギュアスケート2026-2027の展望
町田樹に聞くフィギュアスケート2026-2027の展望(3)日本のカップル競技編
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2026.10.3(土)
芸術文化 スポーツ
町田樹 撮影/積 紫乃
目次
シングルを引退してからでも挑戦できる
10年前には予想できなかった
フィギュアスケートの2026-2027シーズンが開幕している。
ルール改正などの動きもある中、どのようなシーズンになるのか。
研究者として、振付家として、競技者時代と変わらず真摯かつ誠実な姿勢とともに取り組み、さらには他の領域、例えば大会の解説者でもその一貫した姿勢で好評を博している町田樹を訪ねた。
シングルを引退してからでも挑戦できる
近年の日本フィギュアスケート界のトピックの一つには、ペアとアイスダンス、「カップル競技」の認知と関心の高まりがある。今シーズンはさらに加速しそうな気配もある。
町田樹も、ペアとアイスダンスの状況は「おそらく少しずつ変わっていくと思います」と語る。
「まず、ペアに関しては、りくりゅう(三浦璃来/木原龍一)のミラノ・コルティナオリンピックの金メダル獲得というのは、非常にインパクトのあることですよね。荒川静香さんの金メダルを筆頭に、そこから続く浅田真央さんや高橋大輔さん、羽生結弦さんたちの活躍というのは、やはり多くの子どもたちの憧れを生みます。純粋に私も僕もやってみたいと新たな選手を誘う要因になるので、ペアをやってみたいと憧れを抱く子どもたちや選手も着実に増えていくのではないかと思います」
三浦/木原の金メダルは一大ブームを起こし、今夏にはペアとアイスダンスに絞ったアイスショー「THE DESTINY」が多くの観客を集めるなど、熱が覚めることはない。
「そして、長岡柚奈/森口澄士ペア(ゆなすみペア)に関しては怪我や事故があって今季は心配な状態なのですが、でも着実に実力とつけて実績を積んでいますから、りくりゅうペアのように世界を牽引するペアに育っていくと思います。りくりゅうペアからバトンを渡されたゆなすみペア、そしてその次の世代と、これからも『日本ペア、強いよね』と恒常的に言える状況になれば、刺激を受けた若い選手がペア界に入って頑張って、また次世代が育っていく、という好循環が生まれるのではないでしょうか」
一方、アイスダンスでは、ミラノ・コルティナオリンピックの団体戦に、吉田唄菜/森田真沙也が出場した。
何よりも大きな変化は、国際大会で活躍するなどシングルで一定以上の実績を残した選手が転向して挑戦するケースが昨シーズンから次々に見られることだ。
「もちろん、あらゆるカップルが日本のアイスダンス界を引っ張って継承し続けてきてくれたからこそ今があるのですが、とりわけ高橋大輔/村元哉中組のインパクトは大きかったと思います」
シングルで数々の実績を残した高橋は、2020-2021シーズンより村元とともにアイスダンスに挑戦。世界選手権に2度出場するなどの成績を残したが、シングルでそれだけのキャリアがある選手の転向は当時、大きな反響を呼んだ。
「シングルを引退してからでも挑戦できるのだ、ということを広く発信することにもなったと思います。実際、櫛田育良/島田高志郎組(いくこう組)が木下グループ杯でも活躍されましたけど、彼らも元々はシングルの選手だったわけです。カップルを組んで2年目で木下グループ杯では161.76を獲得し、11月にはNHK杯にも出場する。こうした姿は、多くのスケーターを刺激していると思います。
さらに今シーズンは、新結成の本田真凜/宇野昌磨組も参戦してくるというところで、全日本選手権はかなり熾烈な争いになるでしょう。出場したら全員が表彰台に登れるというようなかつての状況が、嘘のようです。やはりスポーツというのは、競争原理が働いてこそ競技が発展していくと思いますので、今後アイスダンスも益々面白いことになっていくでしょう」
