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    真山知幸の大河ドラマ解剖

    真山 知幸

    真山 知幸
    伝記作家・偉人研究家

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    2026.10.3(土)

    豊臣秀長が大和統治で対峙した奈良県興福寺金堂と五重塔(写真:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート)

     2026年のNHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』は、豊臣秀吉の弟・豊臣秀長にスポットライトが当てられ、そのユニークな視点で話題を呼んでいる。天下人となる秀吉(演:池松壮亮)を、秀長(演:仲野太賀)は右腕としていかに支えたのだろうか。第37回「秀長の国」では、大和を治めることになった秀長が宗教勢力の抑制へと動き出して……。今回の放送の見どころについて、『戦国最高のNo.2 豊臣秀長の人生と絆』の著者・真山知幸氏が解説する。(JBpress編集部)

    高槻から明石へ、高山右近が移封を喜べなかった理由

     歴史的背景を踏まえると、大河ドラマの内容をより深く楽しむことができる。今回の放送では、関白となって四国平定も遂げた秀吉が、畿内近国の領地分配を発表する場面があった。天正13(1585)年閏8月のことである。

     まずはキリシタン大名として知られる高山右近が、次のように告げられた。

    「高山右近允、摂津・高槻に替わり播磨・明石を授ける」

     この分配によって、右近の石高は約4万石から6万石への加増となったとされるが、それだけではない。

     明石は山陽道と瀬戸内海の両方を押さえる要地にあたる。九州攻めを視野に入れていた秀吉にとっては、信頼できる武将を置きたい場所だったはずだ。右近は摂津・高槻城主として、山崎の戦いでは先鋒を務めるなど、秀吉の天下取りを支えてきた。そんな実績と秀吉への忠誠を評価した人事だといえるだろう。

     だが、右近にとって、高槻は父・友照(ダリオ)の代から十数年かけて築いた日本有数のキリシタン領だった。イエズス会の記録では、領民の大半が信者になったとされている。教会が建てられて、本能寺の変の後には、安土のセミナリオ(神学校)も高槻に移された。

     明石への移封は、そんな共同体から離れて、仏教勢力の強い新領地で一からやり直すことを意味していた。劇中の右近は「ありがたくお受けいたしまする」と述べながらも、一瞬、表情を曇らせた。高槻で築き上げてきたものを思えば、ドラマがその胸中を複雑なものとして描いたのも理解できる。

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