特別展『源氏物語 王朝のかがやき』を鑑賞する塩野瑛久(オフィシャル写真提供)
平安時代に紫式部が記し、王朝文学の最高傑作と言われる長編小説『源氏物語』。1000年以上にわたって、日本人に愛されてきた同作をテーマにした特別展『源氏物語 王朝のかがやき』が、10月6日から「京都国立博物館」(京都市東山区)で開幕。さまざまな時代の写本から、作品をモチーフにした至高の工芸品まで、その影響力のすごさを実感できる展示ぞろいだ。
■ 千年の時を超えてクリエイターを刺激し続ける世界
類まれなる美しさを持つ光源氏が、多くの女性と恋愛を重ねながら栄華を極め、やがて思いがけない晩年を迎える姿を描いた『源氏物語』。当時の貴族たちの華やかな生活が描かれると同時に、人間の抱える痛みや無常感をも追求した世界は、時代を超えてクリエイターたちを刺激。
豪華な装飾を施した写本や、当代一の絵師が手掛けた絵巻などが次々に生まれ、作品の理解を深めると同時に、次の世代の興味を掻き立てる役割を果たしてきた歴史を持つ。
■ 京都限定、新発見の「若紫」含む「定家本」5帖が史上初の同時公開
京都国立博物館で『源氏物語』の大規模な企画がおこなわれるのは、なんと1975年以来51年ぶりだという。東京でも開催されるが、『源氏物語』誕生の地・京都限定の展示が多いのが特徴。
「紫式部像」土佐光起筆 江戸時代・17世紀 滋賀・石山寺蔵
そのなかでも注目は、紫式部とは比較的近い時代の歌人・藤原定家が関与した写本「定家本」だ。今私たちが読んでいる『源氏物語』の原点となっている貴重な本で、現在は5帖だけが現存している。
源氏物語(定家本)若紫 鎌倉時代・13世紀
そして11月3日~15日には、2019年に奇跡の新発見を果たした「若紫」の帖を含めた全5帖を、史上初めて一度に展示。また、教科書で『源氏物語』を紹介するときに必ずと言っていいほど掲載される、現存最古の絵巻『源氏物語絵巻』(国宝)から、「柏木」「鈴虫」「宿木」などの巻が展示されている。
国宝 源氏物語絵巻 柏木一 平安時代・12世紀 愛知・徳川美術館蔵(10月6日〜18日展示)
そのほかにも、戦国武将・細川幽斎直筆と言われる写本や、世界三大美術館の1つ「メトロポリタン美術館」などの海外の美術館に所蔵されている貴重な絵巻。
「源氏物語画帖」土佐光吉・長次郎筆 安土桃山~江戸時代・17世紀 京都国立博物館
物語に出てくる和歌を抜粋した二次創作本。江戸幕府三代将軍・徳川家光の娘の婚礼調度として、「初音」の帖からインスピレーションを受けた、当時の最高峰の技術が結集した調度品の数々など、文学・絵画・工芸・ファッション・芸能と、非常に幅広いジャンルに影響をおよぼしたことがわかる展示品ぞろいだ。
『源氏物語 王朝のかがやき』より、塩野瑛久が印象に残ったと語っていた、「胡蝶蒔絵挟箱(初音の調度)
■ 半世紀ぶりの開催…館長が語る見どころ
松本伸之館長は「1000年に渡って多大な影響を与え、日本人の心のなかに常に存在していた『源氏物語』の大規模な展覧会は、地元でありながら久しくおこなわれて来ませんでした。しかしその間、非常に研究が進み、新たな作品も発見されたので、新知見の数々をお楽しみいただける展覧会になったと思います」と、半世紀ぶりに開催する意義を語る。
特別展『源氏物語 王朝のかがやき』の報道発表会に登壇した塩野瑛久、京都国立博物館長・松本伸之氏ら(10月5日・京都市内)
さらに「絢爛豪華な、あるいは繊細優美な、ときには人の心情をグッと映し出す、まさに『もののあわれ』の感情を呼び起こされる数々がそろっています」と、『源氏物語』の真髄に迫る展覧会への自信を見せた。
特別展『源氏物語 王朝のかがやき』を鑑賞する塩野瑛久(オフィシャル写真提供)
おりしも2024年に、紫式部を主人公にした大河ドラマ『光る君へ』で、令和の式部ブームが起こったばかり。この展覧会で当時の感動を思い出しながら、ドラマではあえてくわしく描かれなかった『源氏物語』の魅力を、今からでも発見してみよう。
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『源氏物語 王朝のかがやき』は2026年11月29日まで。開館時間は9時~17時30分。金曜日は20時まで閉館時間を延長。最終入場はそれぞれ30分前まで。休館日は月曜。月曜が祝日の場合は開館し、翌日の火曜が休館となる。チケットは一般2200円、大学生1200円、高校生700円。中学生以下は無料。
特別展『源氏物語 王朝のかがやき』の報道発表会に登場した塩野瑛久(10月5日・京都市内)
さらに『光る君へ』で一条天皇を演じた、塩野瑛久がナビゲーターを務める音声ガイドもあり。会場レンタル版は700円、展覧会期間中なんどでも視聴できるアプリ配信は800円。一部の解説は塩野に加えて、学芸員の資格を持つスペシャルサポーターのVTuber・儒烏風亭らでんが担当。展覧会は東京でも、一部展示内容を変えて2027年1月から開催される。
取材・文/吉永美和子 写真/Lmaga.jp編集部
