来日したIntel CEOのリップ・ブー・タン氏
インテルの日本法人が今年(2026年)で設立50周年を迎えた。インテルは10月7日、東京都内で、政府関係者や取引先企業のトップ、アスリートらを招いた記念式典を開催した。式典では、登壇者らが半世紀にわたる日本との関係を振り返るとともに、次の50年に向けた協業への期待を語った。
式典の冒頭では、東京2020オリンピックの空手・形で銀メダルを獲得した清水希容さんが登場。オリンピックと同じ「形(かた)」を演武し、その動きをモーションキャプチャで学習させたロボットの映像と、清水さん本人の演武を融合させたパフォーマンスが披露された。
インテル代表取締役社長の大野誠氏
清水さんとの短いトーク
続いて代表取締役社長の大野誠氏が登壇し、来場者に感謝を述べたあと、清水さんと短いトークを交わした。清水さんは、自身の競技生活を2年前に終えたとしたうえで、今回披露した形(チャタンヤラ・クーサンクー)について、見えない相手との攻防を想定したもので、いつも「これだ」と思う勝負の場面で披露してきた形だと説明した。この形は、身長145cmと小柄な北谷屋良氏が作ったといわれている。清水さんは「引退後も毎日の練習と鍛錬を通して培ったものを後世に伝えられるようにしたい。人と人とのつながりを大事にし、これからも縁への感謝を胸に発信していきたい」と述べた。

Intelから来日したCEOのリップ・ブー・タン氏も登壇し、インテル・トリニティ(ゴードン・ムーア氏、ロバート・ノイス氏、アンドリュー・グローブ氏)によってIntelが創業して間もなく日本と深い関係が築かれたと紹介。今日のCPUの源流も、当時日本のビジコンがIntelにプロセッサの開発を依頼したことに始まるとして、歴史を振り返った。
また直近では、ソフトバンクの孫正義氏やNVIDIAのジェンスン・フアン氏、米国政府の支援があったとした。最新CPUの製造においては日本のサプライチェーンの協力が必須であり、政府の支援によって強固な半導体エコシステムを構築できたという。今後はさらに日本企業とのパートナーシップを増やしていきたいなどと語り、日本との関係性を強調した。
政府関係者「AI・半導体は極めて重要な分野」
経済産業省商務情報政策局長の門松貴氏
日本政府からは、経済産業省商務情報政策局長の門松貴氏が登壇。ビジコンとインテルが共同で開発した「4004」に始まる両者の協業の歴史に触れたうえで、製造の自動化や基盤技術、世界のデジタル化の進展、さらにAIや自動運転、ロボティクスを支える半導体の重要性を説明した。
政府はAI・半導体など17の戦略分野に対し、官民合わせて累計370兆円を超える規模の投資を行なう。インテルが国内企業と共同で進める「SATAS(半導体後工程自動化・標準化技術研究組合)」や「ZAM(Z-Angle Memory)」といった取り組みに対しても、政府として積極的に支援しているとし、日米協業のさらなる発展に期待を示した。
駐日米国大使のジョージ・E・グラス氏
駐日米国大使のジョージ・E・グラス氏のビデオメッセージも寄せられた。ビデオの中でグラス氏は、「インテルは創業からわずか8年で日本に進出し、大胆な事業拡大を実施。協力と技術革新を通して成功を分かちあい、インテルの日本での歩みは日米開拓精神の歴史を形作った。そしてプロセス合理化やシステム最適化で人々の暮らしを大きく変えてきた。
インテルは世界の半導体市場を牽引しているが、その中核をなしているのが日本。量子チップやAIアクセラレータの開発など、次世代コンピューティングや半導体の未来を切り開き、まさに日米パートナーシップの模範例だ。逆境を超えて進化し、繁栄をもたらす絆だ」などと称えた。
楽天の三木谷氏や富士フイルムの後藤氏も登壇
楽天グループ代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏
また、楽天グループ代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏は、来年(2027年)で創業30年を迎える楽天について「Intelのプロセッサなしにはできなかった」と振り返る。「1997年に楽天市場を始めた当初、月の流通総額はわずか30万円、そのうち20万円は自分で購入したもの」と会場の笑いを誘いながら、現在の流通総額は数兆円に達していると紹介する。
その背景には、インターネットの発達と半導体のムーアの法則があった。特にCPUの処理速度はムーアの法則通りでも30年で約160万倍になったことが、楽天の成長の前提にあったと説明。これからはAIの登場によって世界は根本から変わり、さらなるイノベーターや起業家によって変革されていくだろうと語った。
また、楽天は「つながること」を重視して楽天モバイルや楽天シンフォニーを展開しており、完全仮想化とOpen RANによるネットワーク構築は大きな挑戦だったと振り返った。当初は世界中の通信事業者から賛同を得られなかったが、インテルが手を差し伸べたことでネットワークを実現できたという。そのうえで、AI時代にはコネクティビティがさらに重要になるとし、「誰でも安価につながる世界を実現したい。インテルにはパートナーの発展の中で大きな役割を担ってほしいし、楽天もサポートしてもらいたい」と期待を寄せた。
富士フイルムホールディングス代表取締役社長CEOの後藤禎一氏
サプライチェーンを支えた立場からは、富士フイルムホールディングス代表取締役社長CEOの後藤禎一氏が登壇。PCの中に入って目には見えないが、システム全体の安定性を消費者に知らしめた「インテル、入ってる(Intel Inside)」は日本発のアイデアであると紹介し、「富士フイルムも(半導体の)中に入っていたが、洗浄工程で流されてもう入っていない」と会場を沸かせた。
同社とインテルの取引は1980年代、たった1本のドラムの納入から始まったという。その後、イスラエルや欧州、米国の拠点とも、ともに価値を生み出す関係を築いてきた。過去には原材料の状態に起因する品質問題が発生した際、インテルとともにすぐさま原因を突き止めたほか、高価な材料を専用の車両で米国西海岸まで運んだといったエピソードを披露。「インテルは世界最高水準とは何かを教えてくれた。大切なパートナーであるだけでなく、私たちを鍛えてくれた存在」と語った。
現在はIntel 18Aの材料まで手掛けているとし、「AIはインテルにとって次の成長につながる変革。ともに技術の限界に挑み、次の50年も歩みたい」と述べた。
甘利氏「インテルは王者であり続けてほしい」
自由民主党の甘利明氏
式典では鏡開きが行なわれ、その際に乾杯の音頭を取った自由民主党の甘利明氏は、TSMCが数年前に九州へ進出したことに触れ、「今日の一番が明日の一番を約束しているわけではない。24時間365日、技術の進化を先取りし、それに耐えるものだけが来年も生き残れる。もしTSMCが安い労働力だけを求めて立地したのなら、明日はない」と半導体産業の厳しさを強調した。
そのうえでインテルについて「復活の途上にある。この緊張感を持ち続ければ、紛うことなく進化し、60周年は素晴らしいものになると思う。王者であり続けてほしい」とエールを送った。
来賓一同による鏡開きインテル50周年記念PCも各社から登場!
インテル日本法人の設立50周年に合わせ、国内PCメーカー5社からCore Ultra 7 270K Plusを搭載した記念モデルが登場している。いずれもインテル50周年のデザインを施したケースを採用し、購入特典としてピンバッジやステッカー、フィギュアなどのノベルティが付属する。
インバースネットは、FRONTIERブランドの「インテル 50周年記念モデル」を10月7日に50台限定で発売した。価格は45万6,800円から。最小構成の主な仕様は、ビデオカードがGeForce RTX 5070、メモリが32GB DDR5、ストレージが1TB NVMe SSD。
FRONTIERのインテル 50周年記念モデル
サードウェーブは、GALLERIAブランドのゲーミングPC「GALLERIA INDC7A-R57-W」を10月7日に発売した。価格は48万9,980円。主な仕様は、ビデオカードがGeForce RTX 5070、メモリが32GB DDR5、ストレージが1TB NVMe SSD。
サードウェーブGALLERIA INDC7A-R57-W
マウスコンピューターは、G TUNEブランドのゲーミングPC「G TUNE FZ-I7G80(インテル株式会社 50周年記念モデル)」を近日中に発売する予定。価格は50万円から。主な仕様は、ビデオカードがGeForce RTX 5080、メモリが32GB、ストレージが1TB NVMe SSD。
マウスコンピューターG TUNE FZ-I7G80(インテル株式会社 50周年記念モデル)
ヤマダデンキは、TSUKUMOブランドのゲーミングPC「G-GEAR インテル50周年記念モデル(GE7J-M261BH/INTEL50)」を10月下旬に50台限定で発売する。価格は未公表。主な仕様は、ビデオカードがGeForce RTX 5070 Ti、メモリが32GB DDR5、ストレージが1TB NVMe SSD。
TSUKUMO G-GEAR インテル50周年記念モデル(GE7J-M261BH/INTEL50)
ユニットコムは、パソコン工房で「インテル株式会社50周年記念コラボゲーミングPC」を10月下旬に発売する。4モデル合計で50台限定、価格は未公表。最小構成の「LEVEL-R789-LC270K-SSX-INTEL [RGB Build]」の主な仕様は、ビデオカードがGeForce RTX 5060 Ti、メモリが16GB、ストレージが1TB SSD。
パソコン工房のインテル株式会社50周年記念コラボゲーミングPC
式典会場の後方では、Preferred NetworksのNPUを使った高速英日翻訳デモも。モデルを翻訳に特化させてパラメータ数を610M(6億1,000万)に抑えたことで最大147tok/sを実現した
