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    【JBpressセレクション】

    小谷 太郎

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    2026.10.7(水)

    南極にあるニュートリノ観測装置「アイスキューブ(IceCube)」。氷の中にあるセンサー(下)が、飛来するニュートリノを検知する。 Image by Icecube/NSF.

    スウェーデン王立科学アカデミーは10月6日、2026年のノーベル物理学賞を、南極の巨大観測装置「アイスキューブ(IceCube)」を率いてきた米ウィスコンシン大学マディソン校のフランシス・ハルツェン教授に授与すると発表しました。受賞理由は、「アイスキューブへの決定的な貢献と、宇宙の天体を起源とする高エネルギーニュートリノの発見」です。

    ニュートリノは、電荷を持たず、質量がきわめて小さい素粒子です。物質とほとんど反応しないため、地球さえ容易に通り抜けます。観測するのが非常に難しい一方、宇宙空間を進む途中で物質に吸収されたり、磁場によって進路を曲げられたりしにくい特徴があります。つまり、遠い宇宙で起きた激しい現象の情報を、ほぼそのまま地球まで運んでくる「宇宙からのメッセンジャー」なのです。

    アイスキューブは、南極の約1立方キロメートルもの氷を検出器として利用し、この捉えにくい粒子を観測することを可能にしました。その成果は、ブラックホール周辺などで起きる極限的な現象や、宇宙線がどこで、どのように生み出されるのかを探る「ニュートリノ天文学」を大きく前進させました。

    JBpressでは2018年、アイスキューブが検出したニュートリノの発生源として、遠方のブレーザー「TXS 0506+056」が浮かび上がったニュースを取り上げ、ニュートリノとは何か、なぜ南極の氷で観測するのか、その発見がなぜ重要なのかを解説しました。今回のノーベル賞の意味を理解する記事として、あらためて紹介します。(初出:2018年7月30日)※内容は掲載当時のものです。

    ニュートリノは幽霊のような素粒子です

     2017年9月、南極の氷を利用するニュートリノ観測装置「アイスキューブ(IceCube)」のチームが、ニュートリノを検出しました。そしてこのニュートリノの放射源が「TXS 0506+056」という天体であることを突き止めたと、2018年7月13日に発表しました。ニュートリノを放射するニュートリノ天体は、これを含めてまだ3例しかありません。極めて稀で重要な発見です。

     このニュートリノとは一体全体なにものでしょうか。アイスキューブとはどんな装置なのでしょうか。ニュートリノ天体はどうしてそんなに稀で重要なのでしょうか。

     ニュートリノは電荷を持たず、質量が小さく、あるんだかないんだか分からない、存在感の薄い素粒子です。しばしば「幽霊のような」素粒子と呼ばれます。

     電子や原子や中性子といった、あるんだかないんだか分からない小さな粒は、宇宙にごまんとありますが、中でもこのニュートリノは特別に影の薄い存在です。

     ニュートリノの反応性は極めて低く、物質に当てても、吸収も散乱も起きず、何事もなかったかのように通り抜けます。厚さ1光年の鉛の塊に当てても、反応せずにスルッと通過するほどです*1。

    *1:「スルッ」と「through(〜を通り抜けて)」をかけた高度なシャレです。

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