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    私たちの税金はどのように使われているのか? 会計検査院って何をする機関なのか?

    会計検査院長を務めた著者が、「アベノマスク予算1000億円の行方」「給付金が誰にいくら配られたのか」「複雑なガソリン補助金」といった「お金の流れ」を解き明かした話題書『税金はどこへ行くのか――元会計検査院長が見た「日本の財政」』のレビューを掲載する。

    ここでは良心に抗うことなく仕事ができます

    「血税」って言葉があるじゃないですか。税金は、国を、世の中を回していくための血液みたいなものですから、言いえて妙なんですが、ちょっと生々しいっていうか、税金チュウチュウ吸われているイメージ? チュウチュウならまだいいんですけど、最近、ゴクゴクじゃね? なんて感じませんか。私は感じています。きっついよねー、税金。

    そういう私たちの税金、ひいては日本の財政。そういうものはムダなく、キレイに、そして節約して使ってほしいもの。そんな税金の使い方、日本の財政に目を光らせているお役所があるんです。それが会計検査院。知っていましたか? 私、まったく知りませんでした。

    会計検査院は、国費が投じられているものはすべて例外なく検査を行い、問題が見つかれば、それを担う省庁や自治体に対して正すように指摘をする国の財政監督機関である。

    設立されたのは内閣や国会よりも前のことで、前身となった組織は、大隈重信によって明治2年に作られたという歴史を持っています。組織運営や検査内容への外部からの干渉や介入を防ぐための独立性。そして検査に必要な情報提供を求める権利や、相手はそれに応じなければならない義務などの検査権限。これがしっかり法律で定められた組織で、いわば「国の財布を見張る無敵の経理部」です。

    本書の著者は、この会計検査院の検査官として、また院長として計5年半務めた田中弥生氏。天皇陛下からお言葉をいただいて、会計検査院の検査官となったのは59歳のこと。日本光学工業(現・ニコン)に総合職として入社し、結婚を機に退社。主婦業を経て財団、政府系金融機関、大学、独立行政法人、個人事業主などを経ての8つ目の職場が、会計検査院だというのですが、一発ツッコませてください。

    「なんて経歴だっ!」

    もし、この著者が自伝を書かれたら、またレビューを書きたいです。

    なかでも主婦業をしていたときに、義父が経営する鰻店を手伝った話が面白いんですよ。あまりの不器用さに、店頭での仕事がまったくできないし、経理のスキルもない。そこで与えられた仕事は、スーパーで売られている真空パックのうなぎが、いつ腐敗するか観察すること。賞味期限が切れても腐敗しないことを義父に報告したら「メーカーに電話して尋ねなさい」と言われ、そこで賞味期限表示がどういう基準で設定されるかを知ったそうです。

    義父が無言で教えてくれたのは「物事は自分の目で確かめ、疑問があったら直接確認してみること」の大事さだった。

    それは書類のチェックにとどまらず、検査対象となる職員への面接や、事業の現場、工事現場にまで出向く会計検査院の仕事の根本と同じ。人生の経験に、不要なものはないって本当ですよ。

    そんな著者の経歴のほか、会計検査院の歴史や役割、実際にどんなことをしているのかについて、第2章まで書かれているのですが、これがもうめちゃくちゃ面白いし、興味深い。日本の省庁から地方自治体、警察、税務署まで「お役所なんて、どうせ、しがらみで雁字搦めなんでしょ」みたいに思っていましたが、

    会計検査報告について、少なくとも私が在籍中に、外部から“横槍”が入り、修正を求められることは一度もなかった。その意味で良心に抗って仕事をしていると思ったことはなかった。

    そう言い切れる組織が、国の中枢に存在していることに「スゲー!」と感心しかなかったです。

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