Jessy Leite氏が開発するBlender向けの自動スキニングアドオン「Adaptive Auto Skinning」の紹介です。
Adaptive Auto Skinning とは
「Adaptive Auto Skinning」は、アーマチュアを選んでボタンを押すだけで、体と服のメッシュをまとめてバインドし、指まで分かれたウェイトを約1秒で付けるツールです。
2026年7月14日にバージョン1.0.0が公開され、現時点(2026年10月7日)の最新版は9月25日の1.4.4です。1.4.2からは、Auto-Rig Proのフェイシャルリグを対象に、顔のウェイトも自動で付けられるようになりました(実験的な機能)。
Blender Automatic Weights, But They Actually Work // Adaptive Auto Skinning
Adaptive Auto Skinningは、すでにあるスケルトンに対してウェイトを計算するアドオンです。ボーンを作ったり配置したりする機能はないため、先にRigify、Auto-Rig Pro、Mixamo、または手作業でリグを組んでおく必要があります。
Blender標準の「自動のウェイトで(Automatic Weights)」は、メッシュの表面でボーンヒートを計算する方式です。この方式は、重なったパーツ、細い指、別オブジェクトの服で失敗しやすく、ウェイトが入らない頂点が残ることもあります。「Bone Heat Weighting: failed to find solution for one or more bones」のエラーもこの方式から出るものです。
Adaptive Auto Skinningは、メッシュの中身(ソリッドな体積)をボクセルで埋め、それぞれのボクセルをボーンに割り当ててから、ウェイトを表面へ広げます。内側と外側の判定にはワインディングナンバー(形状が点を何回囲むかで内外を決める方法)を使うため、すべての頂点にウェイトが入ります。
体積の中のボクセルを、ボーンごとに1色で塗り分けたもの主な機能体と服を1回でまとめてバインド
アーマチュアを選んで「Run Skinning」を押すと、そのアーマチュアを対象にしたArmatureモディファイアを持つメッシュをすべて見つけ、体と服をまとめて計算します。結果は標準の頂点グループとして書き戻されます。

服を体のメッシュに結合しておく必要はなく、アドオンがメッシュを結合してしまうこともありません。1.2.0からは、Armatureモディファイアのない選択中のメッシュも、ワンクリックでアーマチュアに取り付けてスキニングできるようになりました。ベルトが太ももの上に重なる部分や、指と指のすき間のように重なったパーツも、それぞれが属する部分からウェイトを受け取ります。
Subdivision、Mirror、Solidify、Arrayなどのモディファイアは、メモリ上で適用した形で計算され、ウェイトは元のメッシュに書き戻されます。モディファイアのスタックはそのまま残ります。
狭い部分だけ細かくなるアダプティブなボクセル
名前の「Adaptive」は、ボクセルの細かさが場所によって変わることを指しています。一様なグリッドでは、指を分けられる細かさにすると体全体のセル数が増えてしまいます。
このアドオンでは、体の大部分は粗いグリッド(既定で92ボクセル)のままにし、2つの面が近づく指の間、わきの下、あごなどだけを、368相当以上の細かさまで分割します。
左が細分化なし、右が細分化あり
作者は、同じ指の分離を得るのに必要なセルの数が、一様なグリッドの約13分の1で済むとしています。細かさは「Base Resolution」(全体の解像度)と「Depth」(狭い部分の細分化の深さ)で調整できます。

重なったメッシュ、二重になった面、閉じていない(ウォータータイトでない)メッシュでも、体積として埋められます。表面を拾う方式でつまずきやすいAI生成の3Dモデルも、リグを組んだあとであればバインドできます。
GPUで1秒前後のバインド
計算はGPUで行われ、Metal、Vulkan、DirectXに対応したグラフィックスカードで動きます。作者のテストでは、一般的なキャラクターのバインドは0.5〜1.3秒ほどでした。ほかの方法と比べた時間は、後の「ほかの自動スキニングとの比較」で紹介しています。

計算の中核はRustで書かれ、各OS向けのモジュールがアドオンに同梱されています。追加でインストールするものはありません。1.0.2で、CPUで計算する「Force CPU」モードも追加されました。
ボーンの名前に依存しない
ボーンの名前ではなく、スケルトンの形(ボーンの位置と向き)を読んでウェイトを決めるので、Mixamoのリグ、Auto-Rig Proのスケルトン、手作りのアーマチュアのどれでも、命名規則を合わせずに同じ手順でバインドできます。人型以外のキャラクターも対象です。
マルチカラーのウェイトオーバーレイ
「Multicolor Weight Overlay」は、ウェイトペイントモードで、すべての変形ボーンの範囲をボーンごとに別の色で表示する機能です。ペイントに合わせてその場で更新されるため、ボーンを1本ずつ選んで確かめなくても、境界のおかしな部分を見つけられます。
アニメーションやほかのデフォーマーにも追従し、表示モードも複数用意されています。オフにすると通常の表示に戻ります。
選んだ頂点やボーンだけを計算し直す
計算する範囲(Scope)は、メッシュ、頂点、ボーンのそれぞれで選べます。頂点の「Only Selected」では、編集モードで選んだ頂点だけのウェイトを書き換え、ほかの頂点はそのまま残ります。ボーンも同じように、選んだボーンだけを計算し直せます。
肩の1か所だけがおかしい、といった場合に、体全体をやり直さずに直せます。作者は、自動のバインドなので顔など一部の部分には手直しが要るキャラクターもあるとしており、オーバーレイで場所を見つけ、範囲を絞って直す使い方を想定しています。
顔のスキニング(Auto-Rig Proのみ・実験的)
1.4.2から、Auto-Rig Proのフェイシャルリグに対して、顔のウェイトも自動で付けられるようになりました。「Face (experimental)」の「Skin Facial Rig (ARP only)」をオンにし、Base Resolutionを92、Depthを3にすると、あご、まぶた、唇、歯、舌、眼球が体と同じバインドで計算されます。
ほかのフェイシャルリグには、まだ対応していません。閉じた口やまぶたは上下の面が接していて間にすき間がないため、体積として1つのかたまりに見え、唇のボーンのウェイトが混ざってしまうためです。顔の処理はAuto-Rig Proのボーン名を手がかりにしているので、Rigifyのフェイシャルリグでは働きません。あごのボーンが1本だけのゲーム用キャラクターなら、多くの場合そのままバインドできます。
Auto-Rig Pro のバインドエンジンとして使える
Auto-Rig Pro 3.78.43では、「Bind Engine」の選択肢に、Heat Maps、Voxelized、Voxel Heat Diffuseと並んでAdaptive Auto Skinningが入りました。選んで「Bind」を押せば、Auto-Rig Proを離れずに体、服、フェイシャルリグをまとめてスキニングできます。
なお、3.78.43より前にこの項目を追加していたブリッジ用のアドオンは不要になりました。入れたままだとAuto-Rig Pro側の項目が隠れるため、削除しておく必要があります。
そのほかの機能Pythonからの実行: 「from autoskin.services.diffusion import bind_to_armature」で読み込め、フォルダ内のキャラクターをまとめて処理できます。説明は同梱のAPI.mdにあります。ボクセルの表示: 設定で「Show Developer / Debug UI」をオンにすると、グリッドのセルや、ボクセルごとのボーンの割り当てを表示できます。進み具合の表示と中止: 計算中は進み具合(%と残り時間)が表示され、途中で止めることもできます。ログ: Debugパネルの「Open Logs」で、OS、GPU、各バージョンと処理の手順を記録したログを開けます。不具合の報告に添付するものです。ほかの自動スキニングとの比較
作者は2026年9月30日、バージョン1.4.4で取り直したベンチマークを公開しました。Mixamoの102体とRigNet(研究用の公開データセット。人型以外のキャラクターも多い)の100体、合わせて202体で、各方法のウェイトを、アーティストが手で塗ったウェイトと比べています。比べた方法は次の4つです。
Adaptive Auto Skinning 1.4.4: 今回のアドオンVoxel Heat Diffuse Skinning: Mesh Onlineのアドオン。体積をボクセルで埋め、CPUで計算する方式Surface Heat Diffuse: 同じMesh Onlineの、表面で計算する従来の方式Automatic Weights: Blender標準の「自動のウェイトで」(ボーンヒート)
下のグラフは、頂点ごとに一番影響の大きいボーンが、手塗りのものと同じだった割合です。Voxel Heat Diffuseは既定の解像度(128)の値です。
手塗りのウェイトと、主なボーンが一致した頂点の割合(%、高いほど近い)。作者のベンチマーク(2026年9月30日)
Mixamoのセットでは、Adaptive Auto Skinningが3つの指標(主なボーンの一致、ウェイト全体の近さ、ボーンごとの近さ)すべてで一番高い値でした。一方、RigNetでは差が小さく、ウェイト全体の近さは68.8%で、Voxel Heat Diffuse(68.9%)やSurface Heat Diffuse(68.8%)と並んでいます。RigNetでは、6月のビルド(主なボーンの一致74.3%)より1.4.4のほうが下がっています。作者自身もそう書いており、人型のMixamoほど差はつかないようです。
Automatic Weightsの値が低いのは、Mixamoの102体のうち44体、RigNetの100体のうち15体で、ウェイトがまったく付かずに失敗したためです。失敗は0点として平均に入っています。バインドできたキャラクターだけで見ると、主なボーンの一致は約68%でした。
バインドにかかった時間は次のとおりです(MacBook Air M4、1体あたりの平均)。時間の差が大きいため、目盛りは10倍ごとにしています。
1体あたりのバインド時間(秒、目盛りは対数)。Voxel Heat Diffuseの解像度368はMixamoだけの値。作者のベンチマーク(2026年9月30日)
Adaptive Auto Skinningは、既定の解像度のVoxel Heat Diffuseより3.5〜4.5倍速く終わっています。Voxel Heat Diffuseは解像度を128から368に上げると、Mixamoで1.9秒から約140秒(約75倍)になりましたが、ウェイトの近さは数ポイントしか上がっていません。Surface Heat DiffuseとAutomatic Weightsはさらに速いものの、ウェイトの近さでは前の2つに及びません。
Voxel Heat Diffuseは、202体すべてを失敗なくバインドしています。体積を埋める方式で、重なったパーツや服を扱える点はAdaptive Auto Skinningと共通しています。違いは、キャラクター全体を1つのボクセルサイズでCPUで計算するか、狭い部分だけを細かくしてGPUで計算するかです。
ベンチマークのすべての数値
一致:主なボーンが手塗りと同じだった頂点の割合。全体:ウェイトの値の配分の近さ。ボーンごと:同じ近さをボーンごとに出して平均したもの(指のボーンも背骨と同じ重みで数える)。どれも高いほど手塗りに近く、失敗したキャラクターは0点です。
Mixamo(102体)成功一致全体ボーンごと時間Adaptive Auto Skinning 1.4.4102/10284.0%82.5%78.6%0.53秒Voxel Heat Diffuse(128)102/10275.2%71.4%63.0%1.87秒Voxel Heat Diffuse(368)102/10276.0%74.9%72.4%139.75秒Surface Heat Diffuse102/10275.0%74.7%74.1%0.34秒Automatic Weights58/10238.8%39.6%41.9%0.14秒RigNet(100体)成功一致全体ボーンごと時間Adaptive Auto Skinning 1.4.4100/10072.8%68.8%65.7%0.75秒Voxel Heat Diffuse(128)100/10070.7%68.9%61.6%3.36秒Voxel Heat Diffuse(256)99/10069.7%69.0%61.0%59.82秒Voxel Heat Diffuse(368・28体のみ)28/2869.5%69.3%59.7%275.14秒Surface Heat Diffuse100/10069.4%68.8%60.6%0.09秒Automatic Weights85/10058.2%58.0%51.8%0.01秒
これらの数値は作者自身が測ったもので、今回の更新で測り直したのはAdaptive Auto Skinningだけです(ほかの方法は6月の比較の値)。MayaのGeodesic Voxel Bindingは、まだ比較に入っていません。詳しい条件と1体ごとの表は、作者のブログのベンチマークの記事で確認できます。購入前に結果を見たい場合は、方法を解説した記事に、ブラウザで回転させてボーンごとのウェイトを確かめられるキャラクターが置かれています。
使うときの注意点
Adaptive Auto Skinning FAQでは、うまくいきにくいケースも挙げられています。
Mayaで作ったリグ、一部のFBX: ボーンの向きが手足に沿っていないことが多く、ウェイトの質が下がります。編集モードでボーンのヘッドとテールを動かし、手足に沿わせてからバインドすれば、ほかのリグと同じように扱えます。中身のない薄い両面の布: 埋める体積がないため、うまくいかないことがあります。指や服のウェイトが混ざるとき: DepthかBase Resolution(または両方)を上げてやり直すのが一番の対処です。形の上で別のボーンのほうが近い部分は、オーバーレイを見ながら数回ペイントして仕上げます。左右の名前: 「mixamorig:LeftArm」のように、BlenderのMirrorが左右を判別できない名前のリグでは、パネルに警告が出ます。確認されている不具合と対処:インストール後にN-パネルに「Auto Skinning」タブが出ないときや、「autoskin_core wheel not installed」と表示されるときは、使っているBlenderのバージョンに合ったzipを入れたかを確かめてください。(4.2と5.xで中身が違います)。後者は初期の4.2.xで起きやすく、Blenderを更新して入れ直すとほとんどの場合は直るとのことです。
【Tips】ゲームエンジンへ書き出す前に
1頂点あたりのボーンの影響数は既定で8です(1〜16で設定可能)。ゲームエンジンやglTFは4までのことが多いため、書き出す前に4にするか、あとからウェイトの数を制限する処理をかけます。出力は標準の頂点グループとArmatureモディファイアなので、glTFやFBXのエクスポーターでそのまま扱えます。
バインドで変わるのは頂点グループだけで、計算はメモリ上の写しで行われます。Ctrl+Zで元に戻せるため、設定を変えて何度か試し、結果を比べることもできます。
これまでの主なアップデートと今後
公開から約2か月半で、次のような更新が続いています。
1.0.2(7月20日):進み具合の表示、計算の中止、ヘルプパネル、Force CPUモードを追加1.2.0(7月29日):Armatureモディファイアのないメッシュのワンクリックでの取り付け、指の分離の改善、設定パネルの作り直し1.2.4(8月17日):マルチカラーオーバーレイの改善、対応する手の形を追加1.3.2(8月28日):有機的な変形の改善、ポーズモードとウェイトペイントモードからのバインドに対応1.3.4(9月2日):ひざやひじが「伸びる」問題を修正、指の判別を改善1.4.0(9月14日):新しい品質パラメーター「Auto-convergence」を追加し、反復回数の設定を廃止1.4.2〜1.4.4(9月23日〜25日):Auto-Rig Pro向けのフェイシャルのスキニング(実験的)を追加し、唇やひげのある場合の結果を改善
今後の優先事項としては、服へのボクセルウェイトの転送と、Auto-Rig Pro以外のリグへの顔の自動スキニングの対応が挙げられています。
価格とシステム要件
価格は35ドルの買い切りで、サブスクリプションや席ごとのライセンスはありません。本記事執筆時点(2026年10月7日)のSuperhiveでは31.50ドルで販売されています。
価格35ドル(買い切り。執筆時点のSuperhiveでは31.50ドル)ライセンスGPL必要なBlenderバージョン4.2 LTS〜5.2以降(Blender Extensionに対応)対応OSmacOS(Apple Silicon・Intel)、Windows、LinuxGPUMetal、Vulkan、DirectXのいずれかに対応したものアップデート購入したバージョンの範囲内で無料返金30日以内(キャラクターで動作しなかった場合)
詳しい使用方法は、公式ドキュメントページから確認することができます。
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