成果を上げるCEOを後継者が決まっただけで交代させるのか、企業経営の視点から考える日本代表の最適解
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2026.10.9(金)
キリンカップで優勝した森保ジャパン(10月5日、写真:森田直樹/アフロスポーツ)
日本サッカー協会(JFA)は、森保一監督が2027年のAFCアジアカップ終了まで日本代表を率い、その後、現在U-21日本代表を率いる大岩剛監督が、2030年ワールドカップに向けてA代表監督に就任することを決めている。
JFAの発表によれば、大岩監督は2027年3月からA代表を率いる一方、2028年ロサンゼルス五輪を目指すU-21日本代表監督も兼務する。
私はこの人事について、長年サッカーをプレーしてきた一人の人間として、およびサッカーファンとしてだけでなく、長年、企業経営や投資、組織づくりに携わってきた人間として、強い疑問を持っている。
大岩監督が優れた指導者であることに異論はない。
問題はそこではない。問うべきなのは、「大岩監督は、現在の森保監督を2027年に交代させなければならないほど明確に優れた選択なのか」、そして「8年以上かけて形成された現在の日本代表という組織資産を、なぜ2030年まで使い切らないのか」ということである。
これはサッカーの問題であると同時に、典型的な経営問題でもある。
日本代表には巨大な「無形資産」が蓄積されている
企業経営でしばしば起きる間違いは、組織の成果をトップ個人の能力だけで説明することである。
優れた企業は社長一人でできているのではない。長い時間をかけて、経営陣、社員、技術、情報、意思決定の方法、共通言語、信頼関係、組織文化が形成される。
日本代表も同じである。
2018年から続く森保体制には、選手と監督の信頼関係、選手同士の相互理解、攻守の原則、海外組とのコミュニケーション、スタッフの役割分担、対戦相手についての膨大な情報、そしてワールドカップという最高峰の舞台でしか得られない経験が蓄積されている。
財務諸表には載らないが、企業でいえば人的資本、ノウハウ、ブランドなどと同じ巨大な無形資産である。
もちろんJFAも「継承と進化」を掲げ、森保体制で蓄積されたものを次の体制へ引き継ぐ考えを示している。
しかし、長年かけて築かれた監督と選手の信頼関係や、試合の中で共有される暗黙の理解まで、そのまま引き継げるとは限らない。
だからこそ私は問いたい。
それほど大きな組織資産を築き、現在もチームを進化させている森保監督を、なぜ2027年という時点で交代させなければならないのだろうか。
同じ時期の二つの日本代表が示したもの
この疑問をさらに強くしたのが、2026年秋にほぼ同時期に見ることができた二つの日本代表である。
2026年10月3日、大岩監督率いるU-21日本代表は、愛知・名古屋で行われた第20回アジア競技大会の男子サッカー決勝でU-23韓国代表と対戦し、0―1で敗れて銀メダルとなった。
もちろん日本はU-21、韓国はU-23を中心としたチームであり、条件は同一ではない。したがって、この一試合だけで大岩監督の能力を論じるつもりはない。
しかし、私が試合を見て感じたのは、現時点における個人のスキルとチームとしての完成度の差だった。
韓国の決勝点は後半16分、右サイドからのクロスを起点に厳智星(オム・ジソン)が日本の守備をかわして決めたものだった。
そこには、ゴールを奪うための技術、判断、落ち着きが凝縮されていた。少なくともあの試合を見た限り、日本の若い選手たちの中に、同じ局面であれだけ冷静にシュートを決め切れる選手を私は見いだせなかった。
問題は一つのシュートだけではない。ゴール前で時間と空間をどう使うか。いつ自分で行き、いつ味方を使うか。個人の技術をどのようにチームとして得点へ結びつけるか。
攻撃だけでなく守備、連携、試合を読む能力、そしてサッカーをする人の間で昔から「ファンタジー」と呼ばれてきた創造性や意外性まで含めると、大岩監督が率いる世代は大きな可能性を持つ一方、現在のA代表とはまだかなりの距離があるように私には見える。
