“beautiful people”というファッションブランドがあると同僚から聞いた。「『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』(P5R)とのコラボアイテムがおもしろくて、ユースケさんは気に入ると思いますよ」とのこと。「絶対に見たほうがいい」、「試着レビューを書いてください」と、ぐいぐい来る熱の入れよう。
僕はわりと服に興味があるほうだ。見せてもらって納得した。たしかにこれはおもしろい。

beautiful peopleはデザイナーの熊切秀典氏を中心に、2006年に立ち上げられたブランド。熊切氏の経歴を調べてみると、“コム デ ギャルソン”などで経験を積んだという。
コム デ ギャルソン! 世界中で評価される日本発のハイブランドである。いきなりのビッグネームに怯んでしまう。恐れ多い……と、びびる僕にbeautiful peopleさんは気前よくサンプルを貸し出してくれた。大物は心も広い。




コラボアイテムは、デニムブルゾングラフィックTシャツ(2種)ミニウォレット(2色)メッシュバッグ(2色)
の4種類。ありがたく試着させていただく。
裏表ではなく、上下逆で二面性を表現。理解を越えたデニムブルゾン
いちばん実物を見たかったのはこれ。「上下逆でも着られるんですよ」と聞いていたから。ブランドとして、この構造を“ダブルエンド”と呼んでいるらしいのだが、意味がわからない。どうやったら肩の位置が合うのだ。

背中にはタロットカードの絵。愚者(The Fool)のアルカナが刺繍されている。
第一印象は“オーバーサイズ気味に着るブルゾン”。上下をひっくり返すということは、背中のアルカナは正位置から逆位置になる。これで『ペルソナ』シリーズが描く“二面性”を表現しているのだと思う。
なお、心の怪盗団の活躍を描く『
P5R』のアイコンと言えば“仮面”なので、仮面みたいな眼鏡をかけています。
うきうきしながら着てみる。袖の作りがかなり特殊。


【左】ボタンを閉じた状態。/【右】ボタンを開けるとこう。
着た瞬間、「ほほぅ」と声が出た。新品のデニム製品にありがちなごわごわを感じない。デニム生地特有の“固さ”はあるのに、逆に着心地がいいのである。“カチッとしたいいものを着ている”気分というか。どういうことだ。

腕を広げたときのシルエットが独特。
腕を広げると、袖ぐりがすごく大きく作られていて、肩とお腹の辺りにつながっていることがわかる。“<●>”みたいな形がおもしろい。
サイズは36、38、40で展開されており、僕が着ているのは36。着用イメージがあったら伝わりやすいだろうと思ったものの、165cm・43kgという軽量小型なのであまり参考にならないかもしれない。

背中側はこう。よく見るとブルゾンの裾が襟みたいな形になっている。
では、上下をひっくり返してみよう。肩回りに余裕があるとはいえ、そのまま着られるはずないと思うのだけど。

脱いで、

ひっくり返して(矢印の方向に回転させている)、

袖を通すと、

スーパーイリュージョン。
さかさまにしたのに何の違和感もなく着用できてしまった。しかもデザインまで変わっている。
ひっくり返す前は左胸に胸ポケットがあったが、今度は左右にひとつずつ。その左胸ポケットは右脇に移動してサイドポケットになった。もはや変形機構である。

意味がわからなすぎて爆笑している写真があった。
脱ぐときに気付いたのだが、肩回りが楽でめちゃくちゃ動きやすい。一般的に、厚手のデニム生地は固いものだ。固いから肩が凝るのは仕方ないと思っていたのに、そうじゃない。カメラマンと「やっぱりオーバーサイズは楽だよねー」なんて話していたら、こんなことを言われた。
「腕を下ろすと超すっきり見えますよ。でかいけど
全然ダボっとしてない」
どういうことだ。写真を見比べてみる。


【左】腕を上げている状態。/【右】腕を下げると、こう。
ほんとだ。上の写真2点は上下を反転させているので厳密な比較にはならないけど、右側は体形にしっかり沿っているように見える。
ふだんからレディースのXSかXXSを着ている僕にとって、世の中のメンズやユニセックスの服はたいてい大きい。しかも、タイトな服が好きなので、ゆったりブルゾンは選択肢に入らないはずなのに、これはあり。体のラインがきれいに見える。
たぶん、型紙(洋服の設計図)作りの技術がすごいのだ。直線的に縫えば作るのは楽だが、人間の体は曲線でできている。可動域を計算に入れて縫っているから、一見タイトなのに動きやすいのだと思う。


洋裁の知識がある人はびびると思う。「そんなに手間かかることしてるの⁉」と。
体を大きく動かしても突っ張った感触がない。縫製部にダメージが伝わらないから頑丈だろうし、長く着続ければデニムならではの色落ちも楽しめそう。キャラを自分好みに育成するのと同じ、育成型のアウターと言える。


正直に言うと、このブルゾンは安いものじゃない。8万9100円[税込]を高いと感じる人もいるだろう。でも、高いものにはそれだけの理由がある。闇雲に流行を追い求めるより、お気に入りのいいものを買って長く着るほうが、こだわりを感じられてかっこいいと思う。

「すごいな……」


楽しくなっていろいろな写真を撮る。


キャラクターなどの缶バッジが多数付属しており、自由にカスタマイズ可能。


裾部分はアシンメトリーデザイン。こういうところも凝っている。
P5R double-end denim blouson
8万9100円[税込]
ジャージ素材のTシャツは春秋に大活躍しそう 大判のプリントが目を引く黒Tシャツ。デザインはアルセーヌ(表)+ジョーカー(裏)とカルメン(表)+パンサー(裏)の2種類で、ゆったり目の1サイズ展開。
アルセーヌモデルをメインの着用イメージとして載せるのが一般的だろうけど、僕はカルメンとパンサーが好きなので、まずはこちらを手に取った。僕なりの反逆の精神である。



タイトに着るというよりはスポッと頭と袖を通す感じ。
パッと見で「派手なプリントのわりに高級感があるな」と思っていた。ずっと正体がわからなかったが、着るときに理解した。ところどころに刺繍が併用されていて立体的なのである。
イラスト面積が広いから単にプリントするだけだとのっぺりしそう。こういう工夫はさすがだなーと思う。しっかりしたジャージ素材なので、これからのシーズンは下にインナーを合わせるなどして、ゆったり着こなしたい。僕ならそうする。

カルメンの髪(?)部分や一部の星マークなどが刺繍されている。


何よりジャージ素材がいい。きっと首回りがずるずるになったりしないぞ。




アルセーヌ&ジョーカーはこういうデザイン。
P5R high twist jersey T-shirts
3万5200円[税込]
メッシュ素材のバッグを見て、羽生結弦さんのスケーティングを思い出す
ラフに肩掛けして使いたいメッシュ素材のバッグは赤と黒の2色展開。僕は派手な色が好きなので最初の赤を手に取ったが、後で仕掛けに気付いてハッとした。


週刊ファミ通がすっぽり入って、まだまだ余裕のあるサイズ感。
赤いモデルにはイセカイナビのアイコンが刺繍されていて、主要キャラの缶バッジが散りばめられている。デザインイメージはきっとイセカイやメメントス、心の怪盗団。
もう一方は黒というより、よく見ると深みのあるブルーだった。『ペルソナ』シリーズで青と言えば“ベルベットルーム”である。頭の中に神秘的な女性コーラスが流れ、羽生結弦さんの演技よかったなあ(※)と記憶が蘇る。
※フィギュアスケーター・羽生結弦さんは、自身のアイスショーでベルベットルームBGM“全ての人の魂の詩”を使った演技を披露している。 イセカイかベルベットルームか。これは悩む。P5R mesh flip bag
各1万9800円[税込]
お財布の中に隠れモルガナ。かわいい カードを整理するのに便利そうなPVC素材(いわゆる塩ビ)の透明ウォレットは、赤と黒の2色展開。『P5R』風ステッカーも入っていた。星マークとイセカイナビ、モルガナの顔など、『P5R』を象徴するアイコンのエンボス加工が施されている。
いまはスマホアプリで支払いを済ませることも多い時代。よく使うカードと小銭だけこれに入れておけば、たいていのシーンで事足りる。ある意味で時代に即したアイテムかもしれない。


モルガナの頭風デザイン。

開くとこんな感じ。


赤いほうにはモルガナカー、黒いほうにはモルガナが隠れていた。かわいい。
P5R nothing to hide mini wallet
各1万7600円[税込]安くはない。でも、それだけの理由がある いまはアパレル全体で品質低下が騒がれている気がする。世界的な物価高のためにコスト削減を余儀なくされ、いい生地そのものをなかなか作れなくなり、高難度の縫製技術が失われつつあるとも聞く。
ゲームやアニメとのコラボアパレルが好きとしては、そんな世界情勢の中でも、いいものを作ってくれるのはありがたい。ある意味で、これも世の中への反逆なのかもしれない。「世の中がどうなろうと、うちのブランドはいいものを作り続けますよ」みたいな。すてきな服がなくなってしまうのは悲しいから、気に入ったものはどんどん買いたい。
上下反転ダブルエンドブルゾン……。やっぱりいいな。
