日本で服を作る繊維産業の担い手不足、高齢化、倒産が続いています。
帝国データバンクが今月公表した調査では、2026年1〜9月のアパレル関連企業の倒産は210件。小売は前年同期比12.1%減った一方、製造は4.0%増、卸は9.9%増と苦戦が目立ちました。経産省の調査では、繊維工業の就業者は2007年の67万人から2023年には35万人へほぼ半減。65歳以上は22.9%と約4人に1人です。
服が店頭に並ぶまでの「見えない生産基盤」で、いま何が起きているのでしょうか。
ココがポイント
アパレル関連企業の倒産は(中略)このペースで倒産が発生すると、通年で5年連続の増加となる可能性もある。出典:株式会社 帝国データバンク 2026/10/8(木)
仕入れコストの上昇と価格転嫁が十分に進まない小売価格との板挟みとなっている川中業種が苦戦(中略)縫製業者の倒産が目立つ出典:株式会社 帝国データバンク 2026/10/8(木)
25年の繊維倒産 件数、負債とも大幅増 ジリ貧で10億円以上が増加出典:繊研新聞 2026/1/19(月)
「Made in Japan」が消えていく未来 国産衣料は過去最低 「約99%が海外製」という衝撃出典:Yahoo!ニュース(砂押貴久) 2026/7/22(水)
エキスパートの補足・見解
今回の倒産増は、単なる「服が売れない」という話ではありません。
製造や卸は、原材料費、外注費、物流費、人件費の上昇を受ける一方、そのすべてを取引価格や小売価格へ転嫁できるとは限らず、利益を圧迫されやすい立場です。帝国データバンクも、小規模な縫製業者の倒産が目立つと指摘しています。
そこに重なるのが、人材の減少と高齢化です。経済産業省によると、繊維工業の就業者は16年でほぼ半減し、65歳以上が22.9%。高齢者が働いていること自体が問題なのではなく、熟練者の技術を誰に継ぐのか、若い担い手をどう増やすのかという課題が大きくなっています。
消費者からは見えにくいですが、作る会社や人が減れば、将来的には日本のブランドが国内でものづくりを続けられるかにも影響します。服は完成品だけを見ていると、その変化になかなか気づけません。縫製や加工など一つの工程が失われれば、技術や設備を再び取り戻すことは簡単ではありません。
価格転嫁や事業承継、人材育成などを個々の企業努力だけに委ねるのではなく、産地のサプライチェーンそのものをどう残すのか。企業と行政の双方が、さらに踏み込んで考える段階に来ているのではないでしょうか。
