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     ⽇本⼥⼦⼤学(東京都⽂京区、学⻑:篠原聡⼦)は、海外文学・幻想文学を中心に美術・歴史関係書籍など幅広い分野を手掛ける株式会社国書刊行会(東京都板橋区、代表取締役社長:佐藤丈夫)の協力・仲介のもと、英文学者の南條竹則氏より書籍の寄贈を受け、10月8日(木)に日本女子大学にて受贈式を執り行いました。

    南條竹則氏(左)から北村暁夫図書館長(右)へ書籍を寄贈された際の様子
     今回受贈した書籍は、南條氏が長年大切に所蔵されてきたもので、日本女子大学図書館が所蔵する「松村みね子旧蔵書」の全集The Works of “Fiona Macleod”(全7巻)のうち、長年欠本となっていた、Vol.2にあたります。
     フィオナ・マクラウド著作の名訳として今も語り継がれる松村みね子訳『かなしき女王』の収録作の多くは、全集のVol.2『罪食い』に収められています。なお、今回受贈した書籍の見返しには、芥川龍之介の旧蔵書に見受けられる、芥川の自筆署名が確認されています。今回の受贈により松村みね子の歴史的な訳業において欠くことのできない1冊が、芥川旧蔵書によって補完され全集が揃います。

    ■受贈の概要寄贈者: 南條竹則氏(英文学者)
    寄贈先: 日本女子大学図書館
    寄贈資料: 芥川龍之介署名入り書籍1冊(全7巻中、未所蔵となっていたVol.2)
    The Sin-Eater ; The Washer of the Ford and Other Legendary Moralities by Fiona Macleod ([i.e.] William Sharp), The Works of “Fiona Macleod”, Vol. 2 Uniform edition, (London: William Heinemann, 1912)
    資料の特徴: 
     ①見返しに芥川龍之介の署名(R, Akutagawa)あり 
     ②見返し左上端に、丸善の商標ラベルあり(緑色で縁が切手様のギザギザ) 
     ③目次に書込みあり(×印8か所、うち7つは松村訳『悲しき女王』収録作。
      文字2か所、「琴」「精」いずれも前述の『悲しき女王』収録作の訳題)

    ■本学所蔵資料の特徴: The Works of “Fiona Macleod”, Vol.1、3~7
    標題紙に、松村みね子(文学者・片山廣子の筆名)の旧蔵書を示す「片山蔵書印」あり

    見返し左上端に、丸善の商標ラベルあり(紺色)

    ■本学が所蔵する「松村みね子旧蔵書」の来歴 本学図書館が所蔵する「松村みね子旧蔵書」は、片山廣子(筆名:松村みね子)と35年余にわたり親交を深めた本学英文学科卒業生の川原信氏が、片山の没後にその蔵書のうち洋書を譲り受け、日本女子大学英文学科へ寄贈したもので、現在は図書館に所蔵します。1958(昭和33)年3月28日以降の図書原簿には「松村みね子氏寄贈図書」として160冊の洋書が確認できます。全集The Works of “Fiona Macleod” は第1巻と第3~7巻の6冊が記録され、第2巻は当初から欠本にあたります。
    全集The Works of “Fiona Macleod”(全7巻)第2巻の芥川龍之介自筆署名
    ■ 片山廣子(筆名:松村みね子)と芥川龍之介の関わり 片山廣子は大正13~14年の夏に避暑のために訪れた軽井沢で芥川龍之介、室生犀星、堀辰雄らと出会います。文人たちの交流からは、後に文学史を飾る佳作も多く創生されました。なかでも芥川龍之介と片山との知的な魂の交感は、作品上に昇華されて衆目を惹きつけました。芥川の『或阿呆の一生』の次の一節「彼は彼と才力の上にも格闘出来る女に遭遇した。が、「越し人」等の抒情詩を作り、僅かにこの危機を脱出した。それは何か木の幹に凍(こご)つた、かがやかしい雪を落とすように切ない心もちのするものだった。」※は、片山廣子について綴ったといわれています。
     2027年は芥川没後100年の節目の年にあたります。今回の受贈により松村みね子の歴史的な訳業において欠くことのできない1冊が、芥川旧蔵書によって補完され全集が揃います。両作家ゆかりの1冊を、文化資産として世代を超えて保管継承しつつ、今後の研究の進展に貢献してまいります。

    ※『芥川龍之介全集』第16巻(1997.2), 岩波書店

    ■ 貴重な文化資産の散逸を防ぐ取り組み 本件の寄贈実現にあたっては、国内外の文学作品の紹介を数多く手掛ける出版社・株式会社国書刊行会が調整と橋渡しを担いました。貴重な文学史的資料の散逸を防ぎ、大学図書館へ受け継ぐ今回の取り組みは、出版界と学術界が緊密に連携して文化遺産を次世代へ守り伝える、社会的価値の高い取り組みです。

    ■寄贈者 英文学者 南條竹則 氏のコメント 昔、早稲田の古書店でインドの詩人サロジニ・ナイドゥの詩集を買った。その本を英文学者の関川左木夫先生にお見せしたところ、芥川龍之介の署名があることを指摘された。先生は芥川の署名が入っているマクラウドの『罪食い』をお持ちだったので、すぐに気づかれたのだ。そのマクラウド本は片山廣子の旧蔵本だった可能性がある。私は先生の亡くなられた後、関川節子夫人からその本をいただいて持っていたが、今回、日本女子大学図書館に寄贈する運びとなった。
     これで同館所蔵の『フィオナ・マクラウド作品集』が全巻揃うことになる。大事な本が然るべき場所に保管され、研究者の役に立つことを願っている。
    プロフィール 南條竹則(なんじょうたけのり)
    1958年東京生まれ。東京大学文学部で西洋古典学を、同大学大学院で英文学を専攻。1993年、小説「酒仙」で「日本ファンタジーノベル大賞」優秀賞受賞。現在は文筆のかたわら、学習院大学非常勤講師を務める。
    ■学校法人 日本女子大学 図書館 北村暁夫館長(文学部歴史文化学科 教授)のコメント まずは、たいへん貴重な書籍をご寄贈いただいた南條竹則先生に、深く御礼申し上げます。本書は、歌人・翻訳家であった片山廣子の没後、本学に寄贈されたフィオナ・マクラウド全集全7巻のうち、寄贈時に欠落していた第2巻にあたります。これは単に欠落を埋めるだけでなく、マクラウドの翻訳者である片山廣子と生前深い親交のあった芥川龍之介の自筆署名があるという点でもたいへん貴重なものです。なにゆえに、また、どのような経緯で芥川が本書を入手したのかについては不明な点が多く、今後の調査・研究が待たれるところです。本学としては、残りの6巻とあわせて図書館に展示する機会を設けるとともに、本書を学内外での教育・研究活動に資するように努める所存です。

    ■片山廣子(筆名:松村みね子)とフィオナ・マクラウドについて片山廣子(1878~1957(明治11~昭和32))
     明治11年、外交官であった吉田二郎の長女として東京麻布で生まれ、7歳で東洋英和女学校に入学。卒業後は歌人・佐佐木信綱の門下に入り、『心の花』(1898(明治31)年に創刊)に歌や文芸作品を発表、1899(明治32)年、片山貞次郎と結婚後も文芸活動を継続した。松村みね子は翻訳作品に使用した筆名である。翻訳作品は1911~1930(明治44~昭和5)年頃に、アイルランド文学作品を中心に発表され、詩情と哀感を湛えた美しい訳文は上田敏、森鷗外、三島由紀夫、菊池寛をはじめ多くの文人から称賛を博した。主な著作に『翡翠(かわせみ)』(1916(大正5)、歌集)、『かなしき女王』(1925(大正14)、フィオナ・マクラウド著作より翻訳)、(『燈火節』(1953(昭和28)、エッセイ集)、『野に住みて』(1954(昭和29)、歌集)

    フィオナ・マクラウド(Fiona Macleod)
     フィオナ・マクラウドはウィリアム・シャープ(William Sharp、1855-1905)の筆名で、シャープが詩や小説を発表する際に用いた女性名である。シャープはスコットランド人(男性)の作家で、1890年代のケルト復興運動に本名で参加した。マクラウドがシャープの筆名であることは生前に気づかれることはなく、死後に判明し驚きをもって受け止められた。マクラウドの著作は松村みね子による翻訳が本邦初出となる。

    【国書刊行会について】
    国書刊行会は、1971年学術資料書籍の復刻出版を目的として設立、『明月記』『玉葉』の復刻版刊行によって産声をあげました。1975年の『世界幻想文学大系』(第12回日本翻訳出版文化賞受賞)の刊行を契機に、海外文学・幻想文学まで刊行分野を広げ、現在では歴史・仏教・神道・国文学などの学術書から美麗な美術書まで、「国書刊行会らしさ」を追求することをモットーに、コンスタントな出版活動を続けています。また1987年には国書日本語学校を開校。アジアを中心とする多くの国から留学生を受け入れ、今までに1万人を超える留学生が巣立っています。 詳しくは、 https://www.kokusho.co.jp/np/index.html をご覧ください。

    【日本女子大学について】
    日本女子大学は、日本初の組織的な女子高等教育機関として創立し、2021年に120周年を迎えました。私立女子大学唯一の理学部を有し、文理融合の教育環境をもつ女子総合大学です。「私が動く、世界がひらく。」のタグラインのもと、自ら学び、自ら行動し、新しい価値を創造できる人材を育てています。2024年度は「建築デザイン学部」を開設し、昨年度には「食科学部」を開設、さらに今年度には文学部2学科の名称変更をしました。2027年度には「経済学部」を開設予定、2028年度には「ファッションデザイン学部(仮称)」および「人間科学部(仮称)」の開設(構想中)、2029年度には理学部を発展させた「理工学部(仮称)」の開設(構想中)と、継続して大学改革を進めていきます。詳しくは、 https://www.jwu.ac.jp をご覧ください。

    ▼本件に関するお問い合わせ先
    学校法人 日本女子大学 法人企画部 広報課
    住所:〒112-8681 東京都文京区目白台2-8-1
    TEL:03-5981-3163
    メール:n-pr@atlas.jwu.ac.jp

    【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/

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