米アンドリーセン・ホロウィッツ(a16z Capital Management)は、日本での事業活動を拡大し、日本市場におけるプレゼンスを強化するため、日本オフィスを開設したことを発表した。これに伴い、吉田仁志氏が日本における事業を統括する代表に就任した。
日本オフィス開設を祝って実施されたテープカットの様子。左から、アンドリーセン・ホロウィッツ マネージングパートナー兼グローバル・パートナーシップ部門代表 Jen Kha氏、マネージングパートナー Rague Raghuram氏、共同創業者兼ゼネラルパートナー Ben Horowitz氏、東京都知事 小池百合子氏、アンドリーセン・ホロウィッツ 日本代表 吉田仁志氏、ジェネラル・パートナー兼ガバメント・アフェア部門代表 Anne Neuberger氏

アンドリーセン・ホロウィッツ 日本代表 吉田仁志氏
吉田氏は、日本マイクロソフト 代表取締役社長兼コーポレート バイスプレジデントや日本ヒューレット・パッカード 代表取締役 社長執行役員などの要職を歴任してきた。就任理由について同氏は、「そもそもわれわれは、社会にデビューしたときよりも、引退するときの方が社会をよりよいものにすることが、人としての使命だというふうに思っている」と語り、「失われた30年という話もありますが、私が社会にデビューしたときは日本はまだ元気でした。今こうしてみると果たして日本はどうか。今若い人の目を見て『日本はいいよ』というふうに言えるかな? というのは常に私の中でクエスチョンとしてある」と振り返った。
さらに同氏は、アンドリーセン・ホロウィッツの共同創業者であるBen Horowitz(ベン・ホロウィッツ)氏の「一番ベストなことは、人々にチャンスを与えることだ」という言葉を紹介し、この考え方が「私自身の、次の世代のためにより良い世の中にしたい、という信念に合致した」ことが就任の理由だと語った。さらに同社の特徴について「単に投資するのではなく、投資先であるベンチャー企業が世の中のためになるところまで、成功に導くところまでをサポートしていくところ」だと語った。

東京都知事 小池百合子氏
就任発表の場にサプライズゲストとして登壇した東京都知事の小池百合子氏は「特にAIの劇的な進化もあって、世界は想像を超えるスピードで変化を遂げている」と指摘し、「その変化を的確に捉えながらイノベーションを進めていくことが重要であり、そのためにはスタートアップの存在は極めて重要である。アンドリーセン・ホロウィッツが東京に拠点を構えることは、スタートアップの挑戦を支え、大きな成長や世界への飛躍につなげることになるととてもうれしく思っている」と祝辞を述べ、東京の強みについて「東京には大企業、技術力の高い中堅・中小企業、多くの大学が集積している。世界に挑戦する企業家や研究者など、未来を切り開く人材も集まっている。この東京を起点にして、新たな挑戦と投資、そしてイノベーションの輪を広げていただきたい」と歓迎した。
米アンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)は、初のウェブブラウザーとなった「Mosaic」の開発者として知られるMarc Andreessen氏とBen Horowitz氏が共同創業者となって2009年に設立された、世界最大級のテクノロジー特化型ベンチャーキャピタルだ。同社の投資先にはSpaceX、Airbnb、Lyft、Slack、Pinterest、nicira、Instagram、GitHub、Facebook、PagerDuty、Oktaなどそうそうたる企業名が並ぶ。

アンドリーセン・ホロウィッツ 共同創業者兼ゼネラルパートナー Ben Horowitz氏
同社の共同創業者兼ゼネラルパートナーであるBen Horowitz氏は「なぜ今? なぜ東京?」という問いに答える形で、同社の投資先には防衛産業が多いこともあり、米国と同盟関係にある国のパートナーを選ぶことになるとした上で、「独自性が高い、世界水準の技術力があること」を条件として挙げ、「日本市場に参入することで、米国のベストの技術を日本に持ち込み、日本のベストの技術を世界に届けることを目指す」と語った。
さらに同氏は日本での事業において重視する産業分野として「ロボットと防衛」の2分野を挙げた。同氏は、ウクライナ戦争の過程でドローンの兵器化が急速に進んだ結果、既存の高額な戦車やミサイルなどの兵器が相対的に安価なドローンによって破壊されてしまうようになったと指摘。AIや自動化の技術の防衛産業における重要性が急速に高まっていることや、周辺状況の変化を受けて日本の防衛予算が増額される方向にあることから、日米の防衛技術を連携させることでよりよい成果を生み出せるとの認識を示した。
また、日本国内では既に盤石なロボット産業のサプライチェーンが構築されており、世界をリードしている一方、AIの分野ではやや遅れている状況であることから、AIに強みをもつ米国の技術と組み合わせることで大きな成果が期待できるとしている。
Horowitz氏は日本における最初の投資先のうちの1社として、GoogleのAndroidの初期開発者として著名なAndy Rubin氏が、日本で創業した人型ロボット開発企業Genki Roboticsを挙げ、既に日本での事業やパートナーシップ構築が動き出していることも明かした。
同氏は、日本発のソフトウェアがあまり世界で成功できていない理由について「日本市場でのニーズに特化していた」点を指摘した上で、生成AIの急速な進化によって言語の壁が取り払われ、自然言語によるユーザーインターフェース(UI)が実用段階に到達したことで日本のソフトウェア開発者にとっても世界にアプローチする新たな好機が生まれていると指摘しており、日本発のベンチャーやスタートアップ企業にはさまざまな成長機会があると語った。
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