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    8月に住信SBIネット銀行から社名変更したドコモSMTBネット銀行。2028年卒の新卒社員から、初任給を40万円に引き上げる。8月に住信SBIネット銀行から社名変更したドコモSMTBネット銀行。2028年卒の新卒社員から、初任給を40万円に引き上げる。撮影:土屋咲花

    初任給40万円。

    ドコモSMTBネット銀行(旧・住信SBIネット銀行)は、2028年卒の新卒採用から初任給を40万円に引き上げる。

    企業の採用戦略は転換期を迎えている。中途採用を重視する動きが広がり、富士通のように従来の新卒一括採用を廃止する大手企業も出てきた。AIの普及によって、若手社員に求められる役割も変わりつつある。

    そんななか同行は、新卒採用の強化を掲げる。

    なぜ今、40万円という高水準で新卒を採るのか。そして、わずか数年で初任給をここまで引き上げて、経営への負担はないのか。人事担当役員に、その狙いを聞いた。

    新卒一括採用をやめた富士通で何が起きているのか。時田社長が語る人事改革の現在地 | Business Insider Japan

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    ライバルはメガバンクじゃない撮影:今村拓馬撮影:今村拓馬

    そもそも同行は、今回初めて大幅な賃上げに踏み切ったわけではない。

    2022年に22万円だった初任給を段階的に引き上げ、2026年には33万円に。2028年にはさらに40万円まで引き上げる。わずか6年間で18万円増、約1.8倍となる。

    同じ「銀行」という枠で比べれば、メガバンクの大卒初任給は30万円ほど。ドコモSMTBネット銀行は2027年卒ですでに37万円を予定しており、その水準を大きく上回る。

    なぜ、さらに引き上げるのか。

    常務執行役員の酒井剛士氏は、背景の一つとして「採用市場で競う相手が変わってきたこと」を挙げる。

    「以前は、銀行志望者が選択肢の一つとして当社を志望するケースが多かった。一方で今は、日立製作所やNECといった大手テック企業、コンサル企業など、より報酬の高い企業と競合しています」(酒井氏)

    背景には、同行が自ら「銀行」からの脱却を打ち出してきたこともある。

    採用サイトに掲げるメッセージは「銀行を超えたテックカンパニーへ」。システムやAIを使って金融サービスを変える会社だと訴えることで、テック企業やコンサルと比較して就職先を選ぶ学生も増えてきたという。

    加えて、初任給を引き上げてきた効果も表れている。

    酒井氏は「初任給を上げることで知名度が上がり、応募者も増えた。それに伴って、採用者の出身大学の難易度も上がっています」と手応えを語る。

    同行によると、2026年卒の説明会への参加者数(選考希望者)は従来の約2.5倍に増えた。かつては2割程度だったという内定承諾率も、足元では5割近くまで上昇してきているという。

    それでも、課題視するのは「まだ採りたい人材を採りきれていない」(酒井氏)。

    採用競争力をさらに高めるため、37万円から40万円へと踏み込むのだという。

    「中途中心」から新卒へ。大手と逆の動きドコモSMTBネット銀行の新卒初任給の推移。短期間で4度の引き上げを実施している。ドコモSMTBネット銀行の新卒初任給の推移。短期間で4度の引き上げを実施している。編集部作成

    とはいえ、6年間で22万円から40万円。これだけ急ピッチで初任給を引き上げて、経営への負担はないのか。

    この間、会社の業績そのものは大きく伸びている。2021年3月期に787億円だった経常収益は、2026年3月期には1923億円と約2.4倍に。経常利益も207億円から408億円へと、ほぼ倍増した。

    ただし、業績が伸びた分をそのまま人件費に積み増しているわけではない。

    初任給を引き上げる一方、新卒の採用人数はむしろ絞る。国内の新卒採用は2025年卒の28人から、2027年卒は25人、2028年卒は20人程度を計画している。

    同時に進めるのが、中途採用から新卒採用へのシフトだ。

    もともと同行は、中途採用で人材を獲得してきた会社だ。2021年の採用実績は、中途76人に対して新卒はわずか7人。ところが2025年入社では中途40人、新卒37人(ベトナム人エンジニア含む)とほぼ並び、2026年入社では中途約20人の採用計画に対して新卒44人と逆転した。

    今後は中途採用をさらに抑え、新卒を人材獲得の中心に据える。現在は中途入社がおよそ8割、新卒入社が2割という社員構成も、新卒入社者の比率を高めていくという。

    その点では、40万円という初任給も必ずしも「高コスト」とは考えていない。

    「初任給40万円と聞けば高額に映りますが、キャリア採用で獲得する人材の年収と比べれば、それでも相対的には低い」

    つまり、採用人数を絞り、中途採用への依存も減らしながら、より高い待遇で欲しい新卒人材を採るということだ。

    酒井氏は「人を増やさずに成長する銀行を、人材とAIで実現することを掲げている」と話す。

    AI時代だからこそ、新卒を採る常務執行役員の酒井剛士氏。人事・総務・法務・コンプライアンス部、市場運用部担当、業務IT戦略部副担当を務める。常務執行役員の酒井剛士氏。人事・総務・法務・コンプライアンス部、市場運用部担当、業務IT戦略部副担当を務める。撮影:土屋咲花

    新卒採用には育成コストがかかる。即戦力を求めてキャリア採用に軸足を移す大手企業もあるなか、新卒を重視しながら、どう「人を増やさずに成長する」のか。

    重要になるのがAIの存在だ。

    AIによって若手の仕事が代替されるとの見方もある中、酒井氏は「私たちはどちらかというと逆に考えている」と話す。

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