「Linux」上で「Photoshop」が動作する日を目の当たりにするとは、思いもしなかった。これはLinuxへの移行を望む人々が語り合ってきた「Linuxでいつか」――という夢物語の一つだ。
そして、ついにその日(少なくとも初期リリースだが)がやってきた。AIの支援を受けた開発チームが、オープンソース版のPhotoshopをリバースエンジニアリングによって構築した。
LinuxにPhotoshopのクローンが登場した。これは、単に「GIMP」の外観をPhotoshop風に変更したものではなく、まさにPhotoshopそのものである。
リード開発者のBrandon Thomas氏率いる開発チーム「GetArtCraft」は、AIを活用してAdobeの主力アプリ群を再構築するオープンソースプロジェクト「ArtCraft」を立ち上げた。Photoshopに対抗する同チームのソフトウェアは「PhotoCraft」を呼称し、Linux、「macOS」、「Windows」向けに提供されている。ArtCraftプロジェクトでは他にも、「Illustrator」「Premiere」「Lightroom」(Classicではない)、「Acrobat」「After Effects」「InDesign」の代替バージョンが用意されている。
このプロジェクトを初めて耳にした時、筆者は開発チームが本当に実現できるのか疑問を抱いた。製品として実際に機能するのか。Adobeが弁護士軍団を動員して法的手段に出るのではないか。そして何より、本家のPhotoshopと比べてどの程度通用するのか。ユーザーが求めているのは、あくまで本物の使い心地だからだ。
PhotoCraftをはじめとするArtCraftのエコシステムに含まれるアプリ群は、全てネイティブ環境で動作する。これらはラッパー経由で動作するような単なる複製ではなく、見せかけの製品でもない。
出来栄えを確認するため、「Pop!_OS」「Fedora Linux」「macOS Tahoe」の各環境にPhotoCraftをインストールした。インストール手順は簡潔だったが、初期開発段階のソフトウェアであるため、Photoshopほどの洗練度を期待していなかった。
しかし、その予想は完全に覆された。
PhotoCraftの優れている点
プロジェクトの「GitHub」リポジトリーにアクセスすると、主要3プラットフォームでPhotoCraftを実行するための手順が記載されている。Linux環境ではDEB、RPM、Flatpak、AppImageの各パッケージ形式から選択できる。今回は、迅速に起動でき「Gearlever」や「AppImageUpdate」を用いた更新が容易なAppImage形式を選択した。
PhotoCraftと「ArtCraft Launcher」をインストールした後、デスクトップメニューからPhotoCraftを起動した。
驚くべきことに、起動速度が極めて高速だ。これほど高速に立ち上がる本格的な画像編集ソフトウェアは見たことがない。
ライトテーマに切り替えた後に気づいたのは、ユーザーインターフェース(UI)がPhotoshopに酷似している点だ。「PhotoGimp」プロジェクトとは一線を画す、Linux環境が長年必要としていた画像編集ソフトのUIがここにある。
最大の違いは、本家のPhotoshopにはAIツールが組み込まれUIの中心に配置されている点だ。PhotoCraftの無料版にはAI機能が含まれていないものの、有料のサブスクリプションを購入することで追加できる。料金体系は以下の通りである。
Basic:月額8ドル。1000クレジット/月、「Nano Banana」画像約250枚、「Nano Banana Pro」画像約67枚、Nano Banana Pro 4K画像約33枚、「GPT-Image-1.5」画像約200枚、「Seedance 2.0」動画約63秒、「Kling 3.0 Pro」動画約45秒。ArtCraftの永久利用権付き
Pro:月額28ドル。3750クレジット/月、Nano Banana画像約938枚、Nano Banana Pro画像約250枚、Nano Banana Pro 4K画像約125枚、GPT-Image-1.5画像約750枚、Seedance 2.0動画約234秒、Kling 3.0 Pro動画約167秒。ArtCraftの永久利用権付き
Max:月額48ドル。6600クレジット/月、Nano Banana画像約1650枚、Nano Banana Pro画像約440枚、Nano Banana Pro 4K画像約220枚、GPT-Image-1.5画像約1320枚、Seedance 2.0動画約413秒、Kling 3.0 Pro動画約295秒。ArtCraftの永久利用権付き
有料プランに関して機能追加の記載がない。これは、有料版の目的が純粋にAI機能の追加のみであるからだ。
そこで筆者は、業界のデファクトスタンダードであるPhotoshopに対し、無料版のPhotoCraftがどれほど通用するかテストした。
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