第103回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝=関東学生陸上競技連盟主催、読売新聞社共催)の予選会が17日、東京都立川市の陸上自衛隊立川駐屯地から国営昭和記念公園までのハーフマラソン(21・0975キロ)のコースで行われ、トップ通過の東洋大など10校が本大会へのキップをつかんだ。1990年代の箱根路を沸かせた「早大三羽がらす」の一人として知られる武井隆次さん(55)が、レースを振り返った。(デジタル編集部)
一斉にスタートする選手たち(17日、東京都立川市の陸上自衛隊立川駐屯地で)=杉本昌大撮影
序盤はスローペースになった。5キロの時点でトップの留学生グループと日本人の集団がくっついて走っており、今までの予選会では見られなかった光景だ。留学生がけん制しあって20~30秒タイムが遅くなったので、日本人選手にとってはちょうどいいペースになったようだ。
専修大がジャンプアップ
ゴール目前でラストスパートをする東洋大・宮崎優
その展開も味方につけて、ジャンプアップしたのは4位通過の専修大だ。前半から積極的に攻めていった。このコースの特徴から言って、前半から飛ばしたチームは軒並み順位を下げる傾向にあったが、最後までチームバランスを崩さずに走りきった。
1位通過は東洋大。チームを引っ張った宮崎優(3年)は主力の一人として責任感を持ち、後半の難しいところで追い上げてペースを上げるクレバーな(賢い)走りをした。途中まで並走した前田和摩(東京農業大・4年)とは52秒も差がついたが、タイムだけではなく、走りの内容にも差があった。
昨年は1位と2位の学校の総合タイム差が12秒という接戦だったが、今年の東洋大は2位の中央学院大に約2分の差をつけた。もともと力のある大学で、本大会でのシード権奪取も狙える走りだったと思う。
さすがの集団走で「連続」死守の日体大
集団を作って力走する日体大の選手たち=竹下真介撮影
79年連続出場がなるか、正念場といわれた日本体育大だが、伝統の集団走はさすがだった。前半は通過圏外の集団走をしていて危うさも感じたが、そこはきちんと計算をして、他チームが落ちてくるところをしっかりつかまえて9位で滑り込んだ。
法政大は最後の枠の10位で通過。2年ぶりの本大会返り咲きを果たしたが、本来はもっと上の順位を目指していたようで、本大会に出ても十分に戦えないという思いもあるだろう。伝統校のひとつであり、予選会と本戦を行ったり来たりする学校ではないはず。11月の全日本大学駅伝には出場しないが、その分、この1か月半でしっかり走り込んで本戦で上位を目指してほしい。
速い選手が足りなかった立教、明治
前回予選会から順位を大きく上げた武蔵野学院大の選手たち=大石健登撮影
今回、予選会通過がならなかったチームについて。5年連続出場を逃した立教大は、昨年までチームを支えた主力が卒業してメンバーが薄かったことが敗因だろう。タイムを見ても、上の2人が(1時間)2分台で、3人目以降は4分台以下で全体順位も100番以下だ。それは、3年連続で本大会出場を逃した明治大も同じで、速い選手が2人だけでは苦しい。3分台で2けた順位に入る選手を何人そろえられるかが、予選会では大事なポイントだ。
昨年は予選会26位だった武蔵野学院大が12位に躍進した。2028年1月に行われる第104回大会から出場枠が増えることが決まっているが、今回通過できなかった学校の中で明るい材料が見えたのは、この武蔵野学院大と11位の国士舘大だ。国士舘大には今シーズン、早稲田の箱根路で活躍したオリンピアンでもある遠藤司さんがコーチに就任し、チームの底上げがはかられている。武蔵野学院大も4選手が2けた順位で走っており、来年に期待を持たせてくれる内容だった。
武井隆次さん
たけい・りゅうじ
1971年生まれ。東京・国学院久我山高で高校初の5000メートル13分台をマーク。早大時代は箱根駅伝で4年連続区間賞(1区、1区、7区、4区)、うち3度が区間新記録で、同期の花田勝彦、櫛部静二と並び「三羽がらす」と呼ばれた。卒業後はエスビー食品で2002年びわ湖毎日マラソンを2時間8分35秒で優勝。02年アジア大会男子マラソン銅メダル。引退後はエスビー食品のコーチ、監督を歴任。現在は「したまちアスリートクラブ」の監督として小、中学生を中心とした後進ランナーの指導にあたっている。
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