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2022年に配信され、世界中のゲーム・アニメファンの脳を焼いた『サイバーパンク: エッジランナーズ』。その待望の続編となる『サイバーパンク: エッジランナーズ2』の配信に先駆け、全10話を先行視聴する機会を得た。
筆者は2026年7月、ロサンゼルスのAnime Expo 2026で開催された第1話の世界最速上映とパネルディスカッションに参加して以来、ずっとこの続きを渇望していた。そのため、ようやく最後まで見届けられたという喜びのブーストがかかっていることは否定しない。
しかし、そんな個人的なバイアスを差し引いてもなお、本作は『サイバーパンク: エッジランナーズ』、そして『
サイバーパンク2077』の系譜にしっかりと名を連ねるクオリティーに達しており、ファンなら第1話の冒頭から最終話まで期待を軽々と超えてくる傑作に仕上がっていると断言できる。
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ナイトシティを舞台にしているからこそ、視聴中はつねに、今回はいったい誰が最初に死ぬのだろうという期待と不安が頭をよぎり、それが目を離せない強烈なスパイスになっていた。
本稿では、これから視聴する読者の楽しみを奪わないよう
重大なネタバレは徹底的に避け、あえて物語の立ち上がりとなる第1話〜第3話(および第4話の入り口)にフォーカスして本作の魅力をお届けする。
※とはいえ主要キャラクターやあらすじについては紹介していますので、それも気になる方は明日の公開を待って全部見てからまた読みに来て!呪いを背負う4人の主人公が織りなす点と線。容赦なきエッジランナーの現実
前作はデイビッドとルーシーのふたりを軸にしたボーイ・ミーツ・ガールの側面が強かったが、本作はロマン・カラックス、D(ディー)、ウィーク・キングズリー(キング)、タリアという4人の主人公を立てた多角的な群像劇として描かれる。
ウィーク・キングズリー(キング)
かつて伝説と呼ばれた初老のエッジランナー。アラサカ襲撃の依頼中にサイバーサイコシスを発症して大暴走し、ほとんどのクロームを剥奪され、莫大な医療費で財産も喪失。たった一夜で伝説から負け犬へと転落する。わずかに残るクロームが彼の未練という呪いを体現している。
ロマン・カラックス
唯一、呪いを持たないクローム化の少ない少年。ブレインダンスが主流の時代に、実在の名機であるSONY VX2000をベースにしたビデオカメラを携え、現実の映像作品にこだわる。偶然キングのアラサカ襲撃を撮影していたが、この時点ではまだ線はつながらない。端金にしかならない自作映像の代わりに、金になるメイルストロームを撮ろうとしたことで運命が動き出す。
タリア
1990年代ヒロイン風の髪型と猫科のモチーフが特徴の少女。とある事情から凶悪ギャングであるメイルストロームの文化に傾倒している。メイルストロームの撮影を試みたロマンと出会い、さらに転落したキングとも深く関わっていく。
D(ディー)
ノーマッドのクラン、スネーク族出身のネットランナー。不在中にクランがメイルストロームに虐殺され、仲間を助けられなかった後悔から毎晩悪夢にうなされるトラウマを抱え、復讐の鬼として彼らを追う。
マイケル・ベイよりスコセッシ的 7月のパネルでショーランナーのBartosz Sztybor氏が、前作がマイケル・ベイ作品なら本作はより暴力的で生々しいマーティン・スコセッシ作品に近いと語っていた通り、第1話から身体をクローム化することのメリットとデメリット、そしてエッジランナーとして生きる現実を生々しく突きつけてくる。
五十嵐海監督いわく、ロマンを除く3人にはそれぞれ呪いを設定して外見へ落とし込んだとのことで、序盤はロマンとD、キングとタリアという形で関わり合いながら、バラバラだった点が徐々に線としてつながっていく。
五十嵐監督が、
いじめるならイケメンでなければとデザインした通り、作中でのDの追い詰められっぷりは凄まじい。ロマンが流していたある映像作品を見て、過去の記憶から静かに涙を流してしまうシーンなど、彼の喪失感が痛いほど伝わってくる。そんな彼がある決定的な転機を迎えることで、物語は大きく加速していく。
第1話から第3話にかけては各キャラクターの背景が丁寧に描かれ、4人全員の線は完全にはつながりきっていない。しかし、第4話でバラバラだった点と線が徐々に結びつき、やがてひとつの巨大な渦となって中盤・終盤へと怒涛のように加速していく構成は見事と言うほかなく、気づけば全10話を一気に駆け抜けてしまった。
前作から受け継がれる母の愛と新たに対比される父親像
7月のパネルでSztybor氏は、前作が世界中の人々の心に響いた理由として、デイビッドと母グロリアが過ごすようなリアルな家族模様が普遍的な共感をもたらしたと分析していた。そのエッセンスは本作にもしっかりと受け継がれており、本作ではタリアの母親であるアヴィダが登場する。グロリアとアヴィダ、2人の母親に共通して、自分の子どもへの深い愛が丁寧に描かれているのが印象的だ。

さらに本作ならではの要素として、母親だけでなく父親というもうひとつの家族模様が掘り下げられている点も見逃せない。
1人目は、タリアの父親である
キリル・ヤンだ。彼は巨大企業カン・タオの重役であり、言うなればゲーム本編(『サイバーパンク2077』)でコーポレートのライフパスを選んだ主人公・Vが踏み外したエリート街道を、もしそのまま突き進んでいたら…と連想するような人物として描かれる。
しかし、どれほど出世しようともさらに上役が存在するのがコーポの冷酷な社会だ。作中では、その上役からの容赦ないプレッシャーと、娘のタリアを愛する家族への感情の板挟みになって苦悩する姿が描かれており、とても興味深いドラマとなっている。
そしてもうひとりが、劇中で名前すら判明しない
ロマンの父親だ。じつは彼が登場するシーンはほんのわずかしかないのだが、この父がものすごくいい味を出している。短いやり取りの中から、ロマンがいかに愛されて育ったか、そしてどれほど幸せで温かい家庭であるかが自然と連想できるのだ。こんなにも善良でいい人が、よくこの狂ったナイトシティで生き延びていられるなと思わず感心してしまったほどで、ロマンが唯一、呪いを持たないフラットな少年として描かれている理由にも納得がいく。
映画的な画角が切り取る昼のナイトシティとTRIGGER節全開のアクション
映像面で強く印象に残ったのは、ロマンが常にカメラを回している影響や、五十嵐監督が1990年代の名作映画にインスパイアされていることも相まって、実写映画のような画角で切り取られたシーンが多いことだ。

さらに、夜のイメージが強かった前作とは対照的に、本作ではスプレーで吹いたような独特の光を美術に組み込んだ昼のナイトシティが強く打ち出されている。ゲーム本編で見慣れているはずの景色が登場する喜びと同時に、映画的な画角と昼の乾いた光によって、見知った街がまったく別の表情を見せてくるという発見があり、つねに心を奪われた。
また、原作プレイヤーにとってたまらないのが、
本作が『サイバーパンク2077』本編の後の物語である点だ。アラサカタワー襲撃を経てアラサカが落ち目になっており、ライバル企業たちが牙を剥く企業戦争の側面が強く押し出されている。
一方で、バトルが始まればそこはやはりTRIGGER。キレ味抜群の演出とゲーム設定の落とし込みが見事に融合している。Dが複数の敵をまとめてなぎ倒すシーンでは、魔法のように敵をハッキングするクイックハックの演出も織り交ぜられ、彼が相当な凄腕であることが視覚的に伝わってくる。
クロームの描写も細やかだ。全身をクローム化していたキングは、当初こそ凄まじい反動の銃(おそらくRT-46 Buryaのカスタム)を軽々と撃っていたが、クローム剥奪後はその反動に耐えられないという生々しいリアリティが描かれる。

また、身体の大部分をクローム化しているタリアは、顔面に口の映像をデジタル表示して表情を作る(Razerが数年前に発表したゲーミングマスクを彷彿とさせるデザインだ)。ところが食事の際には口もとがガバッと開口し、カマキリの鎌のような器官が出現して食べ物を切り刻みながら吸引するという独自ギミックが盛り込まれており、こうしたケレン味あふれる演出には思わず唸らされた。SNSでGIFが大量に出回るところまで予想できる。
オリジナル楽曲がもたらす没入感と『2077』本編後の広がる正史 サウンド面でも前作とは異なるアプローチが取られている。ゲームの既存曲もアニメに採用していた前作に対し、本作では今堀恒雄氏による劇伴やオリジナル楽曲が使用されているため、聴き慣れた曲が流れることはない。しかし、だからこそゲームプレイ時の記憶や余計な感情を掘り起こされることなく、目の前のシーンと純粋にマッチした音楽として新しい物語に深く没入できた(今石洋之氏が絵コンテを担当したOP映像も必見だ)。
特に印象に残ったのが、配信サイトでも公開されているテーマ曲
『You Can’t Run From Me』と、トレーラーでも使われた『A Rusty Dream』だ。どちらも全話を通してたびたび使用され、耳に焼き付く中毒性がある。とりわけ『You Can’t Run From Me』は、作中で流れるキーとなる場面が明確に決まっており、鳴り響くだけで感情と緊張感を一気に引き上げる象徴的なギミックとして機能していた。■サイバーパンク: エッジランナーズ2 公式ティーザー2
物語を動かす脇役にも注目してほしい
本稿で触れた序盤のエピソードは、全10話という壮大な物語の助走にすぎない。しかし、第1話から第3話の時点ですでに濃密なドラマとバイオレンスが詰め込まれており、第4話以降、点と線が完全に交錯してからの展開はまさに圧巻のひと言だった。

最後にひとつだけ個人的な注目ポイントを挙げておきたい。本作は公式には4人の主人公の物語だが、全話を見届ける中で、筆者が勝手に5人目の主人公と認識してしまうほど強烈でおもしろいキャラクターがひとりいた。こいつがいなければそもそもこの物語は始まらなかったと言い切れるレベルの重要な存在なので、ぜひ序盤からその動向に目を光らせてほしい。
7月のパネルの最後、Sztybor氏は「悲しみはセクシーだと思われがちだが、幸福のほうがよりセクシーだ」という意味深な言葉を残していた。その言葉が意味するものは何なのか。最後まで見届けた筆者から、原作ゲームのファン、そして前作に魂を揺さぶられたすべての人に断言しよう。再びナイトシティに飛び込み、脳を焼かれる準備をしておいてほしい。
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