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     アップルは10月30日に「HomePod mini 2」、11月13日に「Apple TV 4K」を発売する。同時に発表となった「Apple HomeView」はオーストラリア、カナダ、インド、ニュージーランド、英国、米国、シンガポールのみの発売で、いまのところ残念ながら日本での発売はアナウンスされていない。

     おそらく、Siri AIが英語のみの対応になっている点が大きそうだ(iPhoneのSiri AIとは対応が異なるようだ)。

     日本でいつ手に入るかわからないApple HomeViewではあるが、個人的にはかなり興味深いデバイスだと感じている。これまで、グーグルやアマゾンが手がけてきた「スマートディスプレイ」という市場にアップルが満を持して参入してきた。

     グーグルやアマゾンがお世辞にも成功しているとは言えないスマートディスプレイ市場において、アップルがどうやってデバイスを普及させていくかが注目と言える。

     アップルはApple HomeViewを「なんでもできるディスプレイ」という位置づけにはしていない。実際、Apple HomeView向けのApp Storeは存在しない。

     時計やスケジュール、FaceTimeや写真などのアップル純正アプリやスマート家電をコントロールする機能は入っているものの、アプリ開発者がApple HomeView向けにアプリを開発し、配布する環境は提供されない。

     ただ、クルマのディスプレイ向け機能である「CarPlay」で表示できるアプリは動かせるようで、音楽やラジオなどのアプリはApple HomeViewで操作できそうだ。

     アップルとしてはApple HomeViewを「音楽を聞きつつ、様々なデバイスをコントロールできるデバイス」というコンセプトとして考えているようだ。

     今回、発表された3製品で気になったのが「ユーザーを6人、識別できる」というものだ。Apple HomeViewであれば6人の顔、HomePod mini 2などは6人の声を認識できるようだ。

     それぞれのユーザーに合わせたアプリやウィジェットを表示し、さらにSiri AIもそれぞれのユーザーに向けた振る舞いをするということで、iPhoneと接続した上で、ユーザーをそれぞれ識別しているのだろう。

     これまでApple TV 4Kではコントロールセンターからユーザーの切り替えが必要であったが、それが簡便になるということで、使い勝手はさらに向上することになりそうだ。

    Apple×LGの関係、そして日本の”家”事情

     アップルは今回、Apple HomeViewを投入する上で、LGエレクトロニクスとの関係を強化してきた。

     iPhoneやApple HomeViewから簡単に家にある家電などをコントロールしやすくするというのだ。すでにMatterと呼ばれる業界共通規格にも対応しているが、LGエレクトロニクスと組むことで、新しい製品ラインナップ全体で統合されたApple Home体験を提供していくという。

     LGエレクトロニクスは屋外に設置できるカメラやドアベル、スマートロックなどを投入するとしている。

     ただ、こうしたスマートホーム関連はアメリカでこそ盛り上がっているが、そのまま日本でも同じものが展開されるかはかなり微妙だ。アメリカの場合、サーモスタットと呼ばれる空調など室温調整できる機器の規格が統一化されており、そこをベースに様々な家電をつなげてコントロールできる環境が整っている。

     一方、日本においては「ガラパゴス」といえば大げさかも知れないが、スマートホーム関連が広がる土壌になっていないというのが現実だ。そもそも、ドアベルにおいては、日本ではパナソニックとアイホン(アップルではなくドアホン、インターホンの会社)が圧倒的に強い。

     しかも、賃貸に住む人であれば、ドアベルを買い替えるなんてことは考えもしないだろうし、自分で家を建てるような人もドアホンなんて工務店にお任せというのが大半だろう。

     防犯カメラなどは、最近は手頃な値段でWi-Fiにつながるものが増えており、家の周りに設置している人も増えているが、そうはいっても外の壁にコンセントがある家も珍しく、電源ケーブルがぞんざいに垂れ下がっているのをよく見かける。

     日本のスマートホーム関連では、アマゾンのRingが結構、頑張っている。日本の住宅事情に詳しい人を幹部として呼び寄せ、例えば、ドアホンであれば、日本の規格にあったアタッチメントを導入し、パナソニックやアイホンを外して、すぐに付けられるようにしてきた。

     また、充電式のバッテリータイプだけでなく、パナソニックやアイホンで使われていた電源ケーブルをそのままつないで、常時、給電できる日本市場に特化した製品もつくるなど、Ringは徹底したローカライズで日本市場を開拓しつつあるのだ。

     アップルは今後、様々な周辺機器を面倒な設定なしにつなげるようにするだろう。Siriを日本語化させ、Apple HomeViewを日本語で使えるようにしたとしても、どこまでスマートホームの周辺機器を日本市場向けにしてくるのか。

     単にアメリカで売られている製品を日本に持ってきて、アップルストアで売ることはできる。しかし、日本のドアホン事情、また、玄関についているカギの形状に合わせられるスマートロックを作る覚悟は日本のLGエレクトロニクスにあるのかどうか。

     アップルが本気で日本でApple HomeViewを売りたいのであれば、日本のLGエレクトロニクスを支援するか、日本の住宅事情に詳しいメーカーを別に探してくる必要があるのではないだろうか。

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