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     筆者は長年にわたり、オフィススイートとして「LibreOffice」を愛用している。もっとも、実際に日常的に使用しているのは、「LibreOffice Writer」だけだ。スプレッドシートやプレゼンテーションを使用する場面が、ほとんどないからである。だが、筆者はプロのライターなので、しっかりしたワープロソフトは仕事をする上で欠かせないものだ。

     実は、筆者が利用してきたアプリは、LibreOfficeだけではない。小説を執筆するときは、Appleの「Pages」を使うことが多いが、その理由はただ1つ。共同編集のためである。出版社の担当編集者が「Microsoft Word」を使用しているのだが、LibreOfficeの校閲ツールは使い物にならないほどひどいからだ。

     しかし、AppleのPagesにも、筆者にとって致命的な問題がある。それは、書類が存在しないため保存できない、というエラーメッセージが表示される場合があることだ。

     今、実際に作業をしているのだから、書類が存在しないことなどあり得ない。なぜこんなエラーが発生するのか。

     その「機能」のせいで、作業内容を失ってしまったこともある。エラーの原因も、いまだに解明できていない。

     「Microsoft Wordを使えば済む話ではないか」と思う人もいるだろう。だが、それはそう簡単なことではない。オープンソースや「Linux」を長年使ってきた人間に向かって、「Microsoft Wordを使えば済む話だ」と言い放つのは、インディアナ・ペイサーズ(NBAのチーム)のファンに「ニューヨーク・ニックスを応援すればいい」と言うようなものだ。

     そんな提案、聞き入れるわけがない。

     そもそも、Linux版のMicrosoft Wordは存在しない(「Microsoft 365」を使うという手もあるが、執筆作業に外部サービスを使うのは気が進まない)。

    新たなオープンソースの選択肢

     記事を読んだ人もいるかもしれないが、Brandon Thomas氏の率いる開発チームが、AIと「Rust」を使って「Adobe Photoshop」をリバースエンジニアリングし、「PhotoCraft」というアプリを作り上げた。その出来栄えは非常に素晴らしい。しかし、彼らはPhotoshopにとどまらず、「Adobe Illustrator」や「Adobe Premiere」「Adobe Lightroom」(「Adobe Lightroom Classic」は除く)「Adobe Acrobat」「Adobe After Effects」「Adobe InDesign」に対しても同様のアプローチで開発を進めた。

     彼らは、Microsoft Wordにもリバースエンジニアリングを行った。そして作り出したのが、そう、「WordCraft」だ。WordCraftは筆者のメインのワープロソフトになった。

     WordCraftは完璧とは言えないものの、見事な滑り出しだ。アルファリリースとしては驚くほど快適に動作する。

     実は、本記事もWordCraftで執筆している。

     それでは、まずは良い点から見ていこう。その後、悪い点について解説しようと思う。

    良い点:動作が速く、便利なツールがそろっている

    (提供:Jack Wallen/ZDNET)
    (提供:Jack Wallen/ZDNET)

     WordCraftは最初からLinux版と「macOS」版、「Windows」版が用意されている。これだけでも、筆者はうれしくなる。Linuxは長年、Microsoft Wordに関する会話から排除されてきたからだ。これは、多くの人がLinuxを採用してこなかった理由でもある。

     WordCraftが登場したことで、そうした言い訳は通用しなくなった。

     アプリそのものについては、まず動作の速さに度肝を抜かれた。これほど高速に起動する本格的なワープロソフトは、これまで見たことがない。爆速と言ってもいいだろう。立ち上がりが速いだけでなく、ユーザーインターフェース(UI)も瞬時に反応する。これほど感心したのは、この開発グループがPhotoCraftをリリースしたとき以来である……そろそろ、パターンが見えてきたのではないだろうか。

     次は、校閲ツールだ。これはLibreOfficeの大きな弱点である。LibreOfficeの校閲ツール(特に、コメント機能と変更履歴の記録)は、ページ数の多い原稿には全く使えない。実際に、何百件ものコメントが追加された書籍の原稿を読み込もうとして、LibreOfficeがクラッシュしてしまった経験がある。

    (提供:Jack Wallen/ZDNET)
    (提供:Jack Wallen/ZDNET)

     WordCraftなら、そうした文書でも全く問題なく処理できる。

     校閲の話題をもう少し続けると、LibreOfficeが抱えていた問題で、WordCraftで解決した問題がもう1つある。それは、変更履歴やコメントを扱う仕組みだ。LibreOfficeでは、変更履歴がポップアップウィンドウに表示されるが、これは使いにくく、効率も悪い。WordCraftはMicrosoft Wordの機能を忠実に再現しているため、共同編集作業も円滑に進められる。

     この点で、WordCraftは他のどのオープンソースワープロソフトよりも優れている。

     WordCraftのUIはカスタマイズできないが、非常になじみのあるデザインなので、短時間で使いこなせるようになるはずだ。確かに、UIをカスタマイズできるようにしてほしいとは思うものの、アプリの使い勝手の良さを考えると、あえて指摘するほどのことでもないだろう。

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