大井赤亥の国会通信
【大井赤亥の国会通信】“ばらまき”よりも“知恵”、人口減・低成長の時代に必要な政治の役割
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大井 赤亥
政治学者
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2026.10.20(火)
参院予算委で質問を聞く高市首相=19日午前(写真:共同通信社)
消費減税進める高市政権は「新自由主義」か
秋の臨時国会が始まり、高市首相は所信表明演説であらためて「責任ある積極財政」を唱え、「経世済民」の志に基づく消費税減税に理解を求めた。消費税減税法案はきょう20日に審議入りする。
高市によれば、政府が一歩前に出て「危機管理投資」と「成長投資」を行い、国内投資を引き出して経済成長を実現してこそ、国民の暮らしも豊かになる。それこそ、「私が内閣総理大臣を志した原点」だという。
「経産大臣の所信演説かと思った」(岡本三成・公明党代表)と皮肉られたほど、経済関連分野が全体の6割の比重を占め、国主導で経済成長を牽引しようとする高市首相の考えがよく表れた演説といえる。
やや巨視的に振り返れば、2001年の小泉政権の登場以来、各政権の性格を論じる際に「新自由主義」という概念が一つの定点観測の基準を提供してきた。
新自由主義とは、教科書的にいえば、「市場でこそ最も効率的な財とサービスの生産と交換が可能になる」という立場であり、それに基づき規制緩和や民営化といった行政機構の縮小再編成が進められてきた。平成年間の政治では、各政権が「どれほど新自由主義的か否か」が、その特徴を定めるメルクマールとなってきたのである。
成立から1年となる高市政権についてはどうだろうか。高市が「憧れの政治家」として元イギリス首相のサッチャーを挙げることから、高市政権も新自由主義のイメージを持たれることもある。新自由主義研究の第一人者である政治学者の渡辺治も、高市政権について、表向きは積極財政を掲げながら、その実、自由競争の再稼働をはかろうとする「新手の新自由主義」としている。
しかし、「行き過ぎた緊縮志向」に対する反対は、現在、ほぼすべての政党に共有されており、財政支出の拡大や何らかの消費減税は日本保守党から共産党までが横一線で唱えている。このことは、日本政治が新自由主義というトレンドから脱却し、政党対立の構図があらたな局面において形作られていることを物語っている。
そこにあって、現下の高市政権は、アメリカ覇権の衰退、経済のブロック化とAIなど新技術の勃興を受けて、安倍政権以上に「強い国家」を志向し、政府主導の産業政策と経済安全保障を中心とする経済ナショナリズムの色彩を基調とするものであろう。
