
11月に待望の来日公演を控えるサー・サイモン・ラトル(指揮)とバイエルン放送交響楽団。世界最高峰の楽団のひとつといわれるバイエルン放送響で日本人初・女性初の第一首席奏者として活躍するヴィオラの湯浅江美子さんに、日本ツアーに向けてお話を伺いました!
湯浅江美子:2021年ヒンデミット国際ヴィオラコンクール優勝。2022年東京国際ヴィオラコンクール第2位受賞。同年にバイエルン放送交響楽団に契約団員として入団し、2024年に28歳で正団員として第一首席奏者に就任。バイエルン放送響の創立以来、入団した日本人としては3人目となり、女性初・日本人初の首席ヴィオラ奏者となる。
■BRSOに入団した経緯は?
―ミュンヘン音楽大学の卒業試験で私の演奏を聴いたBRSOの団員さんから首席奏者のオーディションを薦められました。世界屈指の楽団ですから、こんな若輩者が受けて良いのだろうかとよぎりましたが、とにかく挑戦しました。ちょうど、東京国際ヴィオラコンクールで入賞した翌月のことです。26歳から契約首席奏者を務めたのち、ラトルが就任した23/24シーズンに28歳で第一首席奏者になりました。
■団員として見るこのオーケストラの魅力は何でしょうか?
―BRSOはとにかく音楽に真摯で、妥協のないオーケストラです。ツアーが続いても、その演奏の一瞬を特別にするための集中力や熱量には凄まじいものがあります。
ストイックで、それを可能にする体力や筋力のようなものを感じますね。本番前もみんなギリギリまで練習していますよ!
真面目でありつつ、でも音楽に対する冒険心や爆発力も持ち合わせていて、どんな曲を弾いていてもワクワクします。自分を高められるこの環境でずっと頑張りたいと思っています。
主な本拠地であるヘラクレスザールは残響が少なく、粗も見えやすい。そのような環境もこのストイックな楽団のモチベーションを育ててきたのかなと思います。
■世界的に愛されているBRSO、自国ドイツではどのような立ち位置でしょうか?
―南ドイツを代表する楽団として国内でも厚く信頼されています。「北のベルリン・フィル、南のバイエルン放響」という表現は入団前から耳にしていました。ミュンヘンは家探しに苦労するのですが、オーケストラの名前を出すと上手くいくとアドバイスを貰ったほどです!
■首席指揮者のサー・サイモン・ラトルは団員から見てどんな人ですか?
―トップクラスの指揮者であることは言うまでもありませんが、それでいて、本当に皆から愛されるチャーミングな人です。表情豊かで、音楽が好きという気持ちが溢れています。一緒に演奏することが楽しいですし、一人一人のことをよく見ていて、心の繋がりを大切にしてくれる。私たちはファミリーです。
練習はみっちりしますが、やらねばならないことが明確で、練習スケジュールも完璧です。
■日本ツアーでソリストを務めるイザベル・ファウスト。同じ弦楽器奏者としてどのような存在ですか?
―昔からファウストさんのCDを聴いて勉強していました。憧れの存在ですね。
音楽に対する様は職人のようで、人望も厚いです。繊細でいてダイナミック、表現の幅が広い。ベルクがバッハのように聞こえることもあります。
ファウストさんと演奏するベルク:ヴァイオリン協奏曲は、混沌の中に美しさと輝きと祈りが潜んでいます。そのコントラストがとても美しいですね。
最後は天から光が射して、召されてしまいそう。(笑)
■シューベルト:交響曲第8番「ザ・グレイト」の聴かせどころは?
―まず我々はこの作品で「ラトル・マテリアル」の楽譜を使っているのですが、そこにはかなり詳しく、弓使いや強弱など、もはや1拍単位でラトルによる指示が書き込まれています。並々ならぬこだわりがあるのです。
この曲は一見、光に満ちていますが、ラトルは作品のなかにある重い悲しみや闇を表現しようとしています。リハーサルではシューベルトが生きた当時のウィーンの暗い社会的背景についても話していました。そうした背景も踏まえて、作品の持つ複雑な陰影を表現しようとしているのだと思います。
何においても、この曲が日本ツアーの全プログラムの中で最も大変だといえます。一番、このオーケストラの集中力や能力を見てもらえる作品ですね。
BRSOは木管セクションも非常に高いレベルを誇りますが、「ザ・グレイト」では木管楽器の美しさが際立っていると思います!
■最後に・・
―BRSOの団員は本当に日本が好きです!特別なんです。皆、日本ツアーを待ちきれない思いです。日本のお客様と素晴らしい音楽を共有できること、とても楽しみにしています!

≪公演情報≫
サー・サイモン・ラトル指揮 バイエルン放送交響楽団
2026年11月24日(火) 19:30 東京芸術劇場コンサートホール
https://www.japanarts.co.jp/concert/p2238/
富士電機スーパーコンサート
サー・サイモン・ラトル指揮 バイエルン放送交響楽団
2026年11月25日(水) 19:00 サントリーホール <ピアノ>クリスチャン・ツィメルマン
2026年11月26日(木) 19:00 サントリーホール <ヴァイオリン>イザベル・ファウスト
2026年11月27日(金) 19:00 サントリーホール <ピアノ>クリスチャン・ツィメルマン
https://www.japanarts.co.jp/concert/p2240/
◆バイエルン放送交響楽団のアーティストページはこちらから
⇒ https://www.japanarts.co.jp/artist/brso/
