Electronic Artsと,カナダのエドモントンを拠点とする傘下スタジオのBioWareは現地時間2026年10月21日,スタジオの閉鎖と,初期段階にあった「Mass Effect」シリーズ最新作の開発中止を発表した。
これは,米メディアのBloomberg(リンク)などが社内向けメッセージをもとに報じ,その後にElectronic ArtsおよびBioWareが公式に発表したものだ(リンク)。
BioWareは声明のなかで,30年以上にわたり,物語を紡ぐクリエイターやデベロッパ,そしてゲームの世界に命を吹き込んできたプレイヤーたちの居場所であり続けたと振り返りつつ,「Mass Effect」シリーズ最新作の開発中止も明らかにしている。
BioWareは1995年,いずれも医師だったレイ・ミュージカ(Ray Muzyka)氏,グレッグ・ゼシュク(Greg Zeschuk)氏,オーガスティン・イップ(Augustine Yip)氏によって設立されたゲーム開発スタジオだ。

1998年にリリースした「Baldur’s Gate」で高い評価を獲得すると,「Neverwinter Nights」(2002年)や「Star Wars: Knights of the Old Republic」(2003年),「Jade Empire」(2005年)などを次々にヒットさせ,プレイヤーの選択によって物語が変化するストーリー主導型RPGの発展に大きく貢献してきた。
2008年にはElectronic Arts傘下となり,「Mass Effect」(2007年)や「Dragon Age」(2009年)に始まる人気シリーズで大きな成功を収めた。しかし,「Mass Effect: Andromeda」(2017年)や「Anthem」(2019年)は期待されたほどの成果を挙げられず,2024年に発売された「Dragon Age: The Veilguard」もElectronic Artsの販売目標を下回った。
2025年には開発スタッフの大幅な再配置や削減が行われ,残された少人数のチームが「Mass Effect」最新作の開発を続けていた。
Electronic Artsが公開した社内向けメッセージでは,最高スタジオ責任者のキャム・ウェーバー(Cam Weber)氏と最高執行責任者のデイビッド・ティンソン(David Tinson)氏が,ゲーム市場の競争激化やプレイヤーの嗜好の変化を背景に,開発リソースと投資を,成長が見込める事業へ集中させる方針を説明している。
Bloombergのジェイソン・シュライアー(Jason Schreier)氏によると,今回の事業再編ではElectronic Arts全体で,全従業員の3%に相当する約400人がレイオフされ,そのうち約50人がBioWareのスタッフだという。

今後は「Battlefield」シリーズや「Apex Legends」「EA SPORTS」などの主力フランチャイズへの投資を継続するほか,Respawn EntertainmentとDICEによる新たな共同プロジェクトも動き出す。
一方で,アクションアドベンチャー分野では,同時進行させる大規模プロジェクトを絞り込み,「The Sims」関連プロジェクトを一部停止するほか,「skate.」開発チームの縮小なども進められる見通しだ。
Electronic Artsは2026年8月,サウジアラビアの政府系ファンドなどによる550億ドル規模の買収を経て非公開企業となったばかりだ。
今回の再編と買収の直接的な関係は明らかにされていないものの,欧米RPGの発展を長年支えてきた名門スタジオの消滅は,ゲーム業界の大きな転換点として記憶されることになりそうだ。
BioWareは声明の最後に,これまでの作品がプレイヤーによって語り継がれ,キャラクターたちが愛され,その世界がプレイヤー自身のものになったことへの感謝を表明し,30年以上にわたる活動を締めくくっている。
「Mass Effect」シリーズ最新作の開発も中止された

