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    真壁 昭夫

    多摩大学特別招聘教授

    「希望が持てない」と日本を選ぶ中国人

    最近、中国から日本にやってくる若者が増えている。例えば、2025年の中国籍の在留者は、前年比6.5%増の約93万人だった。2012年末と比べると、約28万人増えている。日・中政府間の関係は冷え切っているが、若者の考えは習政権とは同じではないようだ。


    建国77周年を祝うレセプションで重要な演説を行う習近平国家主席=2026年9月30日、北京、人民大会堂

    写真=ABACA PRESS/時事通信フォト

    建国77周年を祝うレセプションで重要な演説を行う習近平国家主席=2026年9月30日、北京、人民大会堂


    ここへ来て、「これからの中国に希望が持てない」と感じる若者の声をよく耳にする。それはデータからも確認できる。2025年、在留資格「留学」で、わが国に滞在する中国人は14.8万人と2012年以降で最多だった。大卒者向けの就労資格(技術・人文知識・国際業務)を持つ中国人も11.7万人と、2012年末の2.2倍に急増している。それだけ、中国の若者にとって、日本は魅力のある国といえるだろう。


    その背景には、何といっても、中国経済が依然として厳しい状況から脱していないことがあるとみられる。特に、若年層の労働市場はかなり厳しい。8月、若年層の失業率は、中国政府の発表で18.9%だった。中国の失業率は、計算の基準が主要先進国と異なる。先進国の基準で見ると、実際の労働市場が政府発表のデータ以上に悪化している可能性がありそうだ。


    【図表】在留中国人数の推移(2012年~2025年)



    若い人材を無理なく受け入れるには

    足元で、習政権は、反スパイ法や綱紀粛正などで社会全体への締め付けを強めており、国民の自由が制限されつつある。特に、最近、支配基盤の強化を徹底し、公職者の海外送金や私的な出入国の監視も重点課題に定めたようだ。


    一方、不動産バブル崩壊に伴う不良債権の処理については、期待されたほど進んでいないように見える。そのため、中国国内の不動産価格は低迷から抜け出せていない。このままでは中国経済の成長期待は高まらず、将来に夢や希望を持つことも難しくなるかもしれない。そうした状況を考えると、中国から海外移住を望む人が増えるのは理解できる。


    少子高齢化が進むわが国にとって、若い人材が流入することは相応のメリットはあるだろう。しかし、日本のように人種の均一化の割合の高い社会が、短期間に大量の外国人を受け入れることは口で言うほど容易ではない。海外からの留学生や永住希望者の受け入れ体制を整備して、可能な限り無理のない状況で彼らを迎える準備が必要だ。


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