(写真:EE Times Japan)
三菱電機と鴻海精密工業(Foxconn)は2026年10月16日、自動車機器事業の共同運営を通じた戦略的提携の最終合意を締結したと発表した。三菱電機はFoxconnの投資管理会社であるLin Yin International Investiment(以下、Lin Yin)に対し、グループ内で自動車機器事業を担う三菱電機モビリティの株式50%を譲渡し、同社を共同運営する。
株式譲渡の概要 出所:三菱電機
株式譲渡は2027年10月に完了見込みで、譲渡価格は1150億円を見込む。三菱電機およびFoxconnでは、三菱電機モビリティの企業価値を3200億円、契約締結後の資産の変動を考慮して算定した株式価値を2300億円としていて、同株式価値の50%相当で譲渡する形だ。
両社は2026年10月19日にメディア向け説明会を開催し、協業の狙いや今後の展望などについて説明した。
日本発EVプラットフォーム確立に貢献
三菱電機とFoxconnは2025年11月に、AIデータセンター向けソリューションでの協業を発表していた。協業拡大の動きの中、電気自動車(EV)化の進展に伴う競争環境の変化を機会と捉え、投資を推進するために2026年4月から三菱電機モビリティ共同運営の検討を開始し、今回の発表に至る。
三菱電機の取締役副社長でインダストリーモビリティビジネスエリアオーナーを務める加賀邦彦氏は「両社の強みを融合することで自動車産業の主要プレイヤーの一角を担い、日本からのEVプラットフォーム確立、引いては日本の産業基盤の強化に貢献したい」と述べる。
なお、三菱電機は本協業に伴い、2027年3月期(2026年4月~2027年3月)の連結決算に約1000億円の減損損失を計上する見込みだ。その他の要因も含めた精査を行い、2026年10月30日に2027年3月期の連結業績予想を公表予定だとした。
協業の決め手は「電子制御技術」
Foxconnは持続的な成長を達成するために、3つの事業領域と3つの技術、3つのスマートプラットフォームを注力分野とする「3+3+3 STRATEGY」を掲げる。EV領域も対象の1つで、従来の委託製造サービス(CMS)に加えてデザインも一貫して引き受ける「CDMS(Contract Design and Manufacturing Services)」や、より強力なローカライズ体制が強みだという。
一方、CMS/CDMSだけで持続的な成長は難しく、コンポーネントやモジュールからアフターサービスまでフォローする垂直統合体制の構築を進めている。今回の協業によって、川上のコンポーネント/モジュールを強化する狙いだ。
FoxconnのEV最高戦略責任者(CSO)を務める関潤氏は「Foxconnにとって最も魅力的だったのは(三菱電機モビリティの)電子制御技術だ。電子制御のためのソフトウェアのリソースも膨大で、自動車業界が実現を目指している先進運転支援システム(ADAS)やソフトウェア定義型車両(SDV)の要素技術を潤沢に持っているところに惚れた」と述べる。
「Foxconnは開発スピードの速さや調達力、交渉力、スケールメリットを強みとする。また自動車業界では自動車に合わせて部品を作る必要があるが、電子機器は内部容量などの物理制約をクリアできれば何でも使える世界だ。Foxconnは電子機器の背景を持った異例の自動車プレイヤーだが、自動車業界での顧客基盤はまだ弱く、コンポーネントや制御技術、ソフトウェアを強化する必要がある。三菱電機モビリティとは強み/弱みが大きく異なり、相互補完性が高いところも魅力の1つだ」(関氏)
