
レッドソックスの吉田正尚(C)ロイター/Imagn Images
【松井監督で巨人はこうなる 長嶋&トーリを師と仰ぐゴジラの哲学 】#3吉田
松井秀喜新監督(52)の船出を、球団はどこまでお膳立てできるか。
複数の球界関係者によれば、24年ぶりに巨人のユニホームに袖を通す「ゴジラ監督」への“ご祝儀補強”として、レッドソックスの吉田正尚(33)の名前が浮上しているというのだ。
吉田は2022年オフ、オリックスからポスティングでレ軍入り。5年総額9000万ドルの大型契約を結び、来季が最終年。今季の年俸は1800万ドル(約28億円)にも上る。巨人が欲しいと手を挙げても、契約が残る限りは本人と交渉できるわけではないが、レ軍では吉田の今オフの放出が取り沙汰されている。
メジャー1年目に140試合で打率.289、15本塁打をマークした吉田だが、その後は故障などで出場機会が減少。今季は8月に左太もも裏を痛め、87試合で打率.274、5本塁打、28打点に終わった。レ軍の外野の選手層は厚く、守備より打撃がウリである吉田の起用法は編成上の悩みの種になっている。
「そこで取り沙汰されるのが、レ軍が残る年俸を負担したうえで吉田を自由契約にする、いわゆる『バイアウト』です。米メディアでも、年俸の一部を負担して他球団へトレードする案や、放出に踏み切る可能性が論じられている。自由契約になれば巨人にも獲得の道が開けます」(米特派員)
来季からセ・リーグにDH制が導入されることも追い風だ。守備の負担を減らし、打撃に専念できるだけに、吉田にとっても、国内復帰を考える際の重要な条件になるだろう。
巨人は打線強化が喫緊の課題。阪神との優勝争いに敗れて2位に終わった今季、チーム打率.234はリーグ4位。本塁打103本は阪神、DeNAの125本を大きく下回った。優勝した阪神には8勝16敗1分け。昨オフ、長年の4番だった岡本和真がブルージェイズへ移籍した穴も、埋められないままだ。
松井監督は23日の就任会見で、高校生を中心に指名したドラフトについて「来年の戦力という意味では、お構いなしに育成に全振りして」と冗談交じりに話した一方、V9以来の黄金時代構築を目指すうえで、将来を見据えたドラフトを歓迎している。
しかし、生え抜きを育てる環境づくりに注力するとはいっても、育成にはそれなりの時間がかかるだけでなく、昨季3位、今季2位で2年連続のV逸に終わった。日本一は2012年を最後に、14年間も遠ざかっている。満を持して就任した松井監督には、いやが応でも「優勝」「日本一」への期待が重くのしかかる。
親会社の後押しを含む資金面の覚悟、米球団との調整
そんな指揮官を親会社、球団は全力でバックアップする方針だ。山口寿一オーナーは松井監督の就任会見で、「球団の総力を挙げて強い巨人の復活を目指す」と宣言した。新監督が若手を育てながら勝負もできるよう、不足する戦力を整えることこそが、親会社や球団の仕事ということだろう。
「その最大のターゲットが吉田だというのです。オリックス時代に2度首位打者に輝いた打撃技術は折り紙付き。今季メジャーでも297打席で三振はわずか33。長打力があり、走者をかえす確実性を求める巨人打線において、ぜひとも欲しい存在です。走塁に関しても決して手を抜かないフォア・ザ・チームの精神は、WBCでのプレーを見ても一目瞭然で、松井監督が求める野球観にもフィットしそうです。ただし、吉田の獲得には、親会社の後押しを含む資金面の覚悟、米球団との調整、本人への説得が必要になる。どれひとつ欠けても成立しない大仕事といえます」(在京放送関係者)
松井監督は就任会見後、「一軍の監督をやって目標はやっぱり、それはセ・リーグ優勝と日本一しかないですよ。セ・リーグで目標の半分、日本一で100%」と言い切った。若手の育成と目先の勝利。その両立は容易ではないが、黄金時代構築という使命を成し遂げるためには、吉田のような主軸を担える打者のピンポイント補強も欠かせない。
実際、V9時代も生え抜き一辺倒ではなかった。川上哲治監督は、国鉄の大エースだった金田正一をはじめ、吉田勝豊(東映)、高倉照幸(西鉄)ら他球団の主力を補強。V9後も張本勲(日本ハム)を獲得するなど、外部の血を入れていた。
吉田正尚獲得の成否は、松井体制を本気で支えるという親会社、球団の総力を示す試金石となりそうだ。 (つづく)
