2026年10月
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    B Corp認証は、社会・環境への取り組みや透明性、説明責任について、米国の非営利団体B Labが定める基準を満たした企業を認証する国際認証制度だ。日本で初めて認証企業が誕生してから10年を迎え、日本に本拠地を置くB Corpは2026年7月に100社に到達した。B Labの日本支部、一般社団法人B Market Builder Japan(BMBJ)はこのほど、都内で記念イベント「B Corp 100 Collective Japan ─100の『挑戦』が紡ぐ未来─」を開催。国内外のB Corpから60社が集まり、会場とオンラインを合わせて230人が参加し、認証取得から次の10年を見据えたシステムチェンジの在り方を議論した。

    認証からシステムチェンジへ

    冒頭に登壇したBMBJ共同代表の溝渕由樹氏は「10年前はまだ15社ほどだった。ビジネスを通じて社会を良くしたいという思いが合わさった107社と、200人を超える参加者とこの場で祝えることをありがたく思う」と喜びを表現。あわせて、2026年9月末までにB Corp認証を取得した107社の事業や思いをまとめた「B Corpカタログ」も公開された。

    溝渕由樹氏

    続いてトークセッション「Real change takes a movement ─認証からシステムチェンジへ」には、BMBJ共同代表でバリューブックス代表取締役の鳥居希氏、B Corp認証取得支援コンサルタントの岡望美氏、ファブリック Founder・CEOのジェームス・ホロー氏、ロクシタンジャポン サステナビリティ推進室室長の伊豆井豪氏が登壇した。

    この2年で日本のB Corpは50社増えた一方、議論では、個社の取り組みを社会全体の変化につなげていく必要性が浮かび上がった。

    岡氏は「1社1社がシステムチェンジを起こしている。それをさらに広げるには、相手に伝わる言葉で語る“ずる賢さ”も必要」と指摘。ホロー氏は「既存のシステムは互いに補強し合うルールで守られている。一つのルールを書き換えてもシステムは変わらない。隣に新しいシステムを立ち上げ、利益率が高く、入りたくなる仕組みにすることが必要だ」と提案。伊豆井氏は「Bのロゴを見れば安心して買い物ができる、そんな社会を目指したい」と述べた。

    ルールを書き換える具体策

    鳥居氏は、B Labが掲げる「Rewrite the rules of the system(システムのルールを書き換える)」に触れ、書き換えるべきルールとして金融や投資の基準、株主至上主義、商習慣、評価基準などを挙げた。「これらを書き換えない限り本質的な変化は起きない」と問題提起し、具体策の議論に入った。

    (左から)鳥居希氏、ジェームス・ホロー氏、岡望美氏、伊豆井豪氏

    伊豆井氏は、ロクシタングループが「Lead by example」を行動指針に掲げ、ピープル・プラネット・プロフィットの3Pでグループ目標を個人目標まで落とし込んでいる事例を紹介。「社員一人ひとりが自分ごと化できるフレームワークをつくることが、ムーブメントの基盤になる」と話した。

    ホロー氏は共同設計(コデザイン)の手法を提案した。「トップダウンだけでもボトムアップだけでも進まない。『B Corp日本として変えたい3つのポイント』を、全体でコンセンサスを取って決めることが必要」と指摘した。岡氏は「B Corp同士の協業も日々の業務の中では続けにくい。売り上げや従業員の幸せが上がるといったリアルなメリットが、ムーブメントを前に進める」と語った。

    鳥居氏は、B Lab共同創業者バート・ホウラハン氏の「ここに至ったのと同じ方法では、目指す地点には到達できない」という言葉を紹介し、ムーブメントとしての広がりの必要性を強調した。

    協業と認知拡大で社会に広げる

    BMBJが主催する認証取得支援プログラム「B Dojo」の第1期を卒業し、認証を取得した9社がピッチに登壇した。リユーザブル容器のシェアリングを手がけるカマン、DEIコンサルティングのAn-Nahal、図解で社会課題を可視化する図解総研、環境印刷の大川印刷、古材のレスキュー事業で知られるReBuilding Center JAPANなど、業種の多様さが際立った。

    事例発表では、日本総合研究所創発戦略センターシニアマネジャーの橋爪麻紀子氏が、国内のB Corp認知率が約10%にとどまるブランドアウェアネス調査の結果を報告した。認知経路の約半数が商品パッケージを占める一方、認知率50%の英国とは大きな差がある。

    続いて登壇したLIXILインパクト戦略室室長のデイブ・マテオ氏は、同社がB Corp認証企業ではないものの、ヘラルボニー、image MILLなど10社を超えるB Corpと協業している事例を紹介した。同社取締役代表執行役社長兼CEOの瀬戸欣哉氏の「Collaboration is the new currency」という言葉を引用し、「1社だけではシステムチェンジはできない。エコシステムをつくることが重要だ」と語った。

    次の10年に向けて

    BMBJによると、日本のB Corpは現在、22都府県46業種に広がる。日本でB Corpが初めて生まれた2016年に認証を取得した、石井造園代表取締役の石井直樹氏が乾杯の挨拶に立ち、「皆さんの自社ブランドがBの価値を持ち上げていく気概を持って」と参加者を激励した。

    10年前に始まった日本のB Corpムーブメントは100社を超える集合体となり、点から面へと広がり始めている。「Bのロゴを見れば安心して買い物できる」社会に向けて、次の10年の歩みが動き出した。

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