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    日本フォトニクス協議会(JPC)は10月23日、浜松ホトニクス(静岡県浜松市)の中央研究所への見学会を開催した。

    今年のノーベル物理学賞には、南極のニュートリノ観測施設「IceCube(アイスキューブ)」の実現と、高エネルギーニュートリノ天文学への貢献が評価され、米ウィスコンシン大学マディソン校のフランシス・ハルツェン氏が選ばれた。このIceCubeには浜松ホトニクス製の大型光電子増倍管が採用されており、同社の高感度な光検出技術が、宇宙から飛来するニュートリノの観測を支えている。

    また、同社の光電子増倍管は、2002年に小柴昌俊氏、2015年に梶田隆章氏がノーベル物理学賞を受賞する契機となった「カミオカンデ」や「スーパーカミオカンデ」にも採用されてきた。こうした数々の研究成果を通じて、同社の光技術は基礎科学の発展に大きく貢献している。

    今回見学した中央研究所は、同社の研究開発を担う中核拠点の一つ。光の本質を追究する基礎研究から、光情報処理・計測、医療、バイオ、材料、エネルギーなどの応用研究まで、幅広い分野で光の可能性を探究している。

    見学会では、ニュートリノ観測施設「スーパーカミオカンデ」に使用されている20インチ径光電子増倍管を、間近で見ることができた。

    (写真)見学会では20インチ径増倍管を間近で見ることができた

    (写真)光電子増倍管(PMT)の破損・連鎖爆縮を防ぐための保護ケース

    光電子増倍管は、入射した微弱な光を電子に変換し、増幅することで検出する高感度な光センサーである。スーパーカミオカンデでは、直径約20インチの大型光電子増倍管が約1万本設置され、ニュートリノが水中の物質と相互作用した際に生じる荷電粒子が放つ、微弱なチェレンコフ光を捉えている。ニュートリノの性質を解明するには、光の強さだけでなく、光が検出された位置やタイミングを精密に測定することが重要となる。

    また、次世代の大型ニュートリノ観測施設「ハイパーカミオカンデ」に向けた光電子増倍管の開発・製造についても紹介された。同施設では、ニュートリノの研究に加え、いまだ観測されていない陽子崩壊の探索なども計画されており、今後も高感度な光検出技術が重要な役割を担う。

    その後、浜松ホトニクスの様々な研究開発について紹介があった。農業・環境分野では、中赤外光を利用して植物の栄養状態を診断する技術が紹介された。光の吸収特性から肥料成分の過不足を把握し、農作物の品質向上や環境負荷の低減につなげることを目指している。材料研究では、有機半導体を用いた薄く曲げられるフォトダイオードや、レーザーチップから直接、特定の光パターンを出射できるフォトニック結晶レーザーなどが紹介された。

    また、光情報処理分野では、光の位相を制御する空間光変調器(SLM)を活用した眼底観察やレーザー加工技術、高速画像処理による物体追跡技術などが紹介された。医療分野では、がんや認知症などの診断に利用されるPET(陽電子放出断層撮影)の研究について説明があり、高精度な放射線検出技術や、撮影中の患者の動きを計測し、画像再構成によって体動の影響を補正する技術などが紹介された。

    今回の見学会では、ニュートリノ観測を支える光電子増倍管をはじめ、医療、農業、産業分野など、幅広い領域に展開する浜松ホトニクスの光技術に触れることができた。

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