
体長が24メートル近くに達することもあるピグミーシロナガスクジラ。通常は数千キロにわたる距離を回遊するが、ニュージーランドの南タラナキ湾には数百頭が定住しており、この湾内だけで、クジラの行動を研究できる環境になっている。(PHOTOGRAPH BY RALPH PACE)
シロナガスクジラは世界の大海原を回遊する生き物だが、ニュージーランド沖には“定住”する個体群がいる。それは温暖化する海の未来について、何を教えてくれるのか。
そのクジラはライフル銃に狙われていることに気づいているようだった。
その個体は、ニュージーランドの西岸沖に広がるコバルトブルーに輝くタスマン海の海面近くにいた。「横向きになっているみたい」。アイドリング状態のボートの上で、ハンターの一人であるドーン・バーロウが言った。「口いっぱいに頰張ってる。良かった。少しずつ浮かんできてる」
「海水を吐き出して食べ物をこし取ってるんだと思う」と、ボートを操縦していたリー・トレスが言った。この個体は、シロナガスクジラの亜種であるピグミーシロナガスクジラだ。“ピグミー(小さな)”とはいえ、巨大であることに変わりはない。シロナガスクジラは、私たちが知る限り、これまで地球に存在した生き物のなかで最大だが、ピグミーシロナガスクジラも、大きいものは体長24メートル近くあり、体重は72トンに達する。2番目に大きな動物の地位をナガスクジラと争う、巨体のもち主だ。その口には、競泳プール1杯分の海水が入る。それだけの量の海水の中からプランクトンや小魚をヒゲ板でこし出すには、それなりの時間が必要だ。

ピグミーシロナガスクジラは、必要な栄養を十分に摂取するために、毎日7トンものオキアミを食べる必要がある。一度に約7万5000リットルもの海水を巨大な口に入れ、その中にいる小さなオキアミをこし取る。(PHOTOGRAPH BY RALPH PACE)
続きを読む:なぜピグミーシロナガスクジラは“定住”するのか 母子の割合は「世界中のどのシロナガスクジラの個体群よりもはるかに高い」(有料記事)
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