男子生徒が受験の面接にも使用した自己紹介シート。写真の裏にはその場面の説明とそのときの気持ちが書いてあり、言いたいことを自分で選んで渡した(写真:家族提供)
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高校進学率はほぼ99%と、高校へ進むことが多くの子どもたちにとってあたりまえとなるなか、障害がある子どもは、本人が望んでも設備や支援の不足を理由に“門前払い”されることもある。特別支援学校に進学しで、一人ひとりに応じた支援を受けながら学ぶという選択肢がある一方、地域の高校で学びたいという希望に応えられる選択肢は、十分にあるのだろうか。AERA 2026年11月2日号の巻頭特集「『ともに学ぶ』をあたりまえに」より。
【写真】広島県が県内私立小中高校に出した通知文
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高校の募集定員に達していないのに、受験生を不合格にする「定員内不合格」。障害のある生徒がその対象となり、高校で学ぶ道を閉ざされる事例が各地で起きている。2025年度、全国の公立高校で定員内不合格となったのは延べ1806人だった。
定員内不合格を出すかどうかの扱いには、大きな地域差がある。同年度、定員内不合格がゼロだったのは東京都や大阪府など10都道府県。一方、100人以上に上る県も5県あった。
静岡県富士市で暮らしていた男子生徒は車いすを利用し、生活には全面的な介助が必要だ。言葉を発することは難しいが、表情や返事、そして選択肢を選ぶことで意思を伝える。
地域の小中学校で学んできたことから、一緒に過ごしてきた周りの友達と同じように、高校に進学したいと考えていた。
静岡で全日制や定時制の高校を受験、不合格に。再募集の作文試験では、用意された選択肢を使いながら「私の希望」をテーマに約350字を書き上げた。試験後は「よく話を聞いてもらえて楽しかった」と笑顔を見せたという。しかし結果は不合格。浪人して3年挑戦したが、合格できなかった。
社会参加の機会を奪う
そんなとき、「大阪に転居して受験してみたら?」と勧められた。転居し、母親と近くの府立高校を見学すると、教員たちが集まってきて、本人の学び方や必要な支援について話を聞いてくれた。静岡で3年間不合格だったと聞き、「大阪では考えられない」と涙を流す教員もいたという。「もう大丈夫、大阪はみんな一緒ですから」と言ってくれた教員もいた。そして今春、その高校に合格した。
男子生徒の母親はこう話す。
「本人の状態や学力が突然変わったわけではないのに、住む場所を変えたら、高校生になれたんです。日常生活に介助が必要な障害のある子が転居し、新たな土地でまた支援体制をつくるのはとても大変なこと。家族の生活も一変します。生まれた土地では将来を閉ざされ、悲しい思いをする子どもがまだいることを知ってほしいです」
10月に熊本で開かれた「『障害児』の高校進学を実現する全国交流集会」で基調講演した東北公益文科大学助教の藤原良太さんはこう話した。
「定員に空きがあるにもかかわらず不合格にすることは、生徒にとって『ほかの子はいいけれど、あなたはダメ』と言われるようなもの。それによって、同級生と一緒に高校生になる機会や社会参加の機会が奪われます。障害があるから難しいと考えるのではなく、どのような学校や教育行政ならともに学べるのかを考えることが必要です」
(編集部・深澤友紀)
※AERA 2026年11月2日号
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